73.近道
世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
王都公認 『案内人適性試験』に臨むナヴィ。
ナヴィ達の進路を断ったブランの目の前にはナヴィ達が……。
「ナヴィ。どうして君が……」
ブランはゴール直前で現れたナヴィを睨みつけた。
「ふふ、ブランさん。いえ、ブラン。そんなに怖い顔して睨みつけないでくれるかしら」
ナヴィの余裕のある言動により一層腹を立てた。
「君は僕が天井を破壊し道を断ったはず。それなのに……どういうことだ!」
ブランは声を荒げた。
「まぁ落ち着きましょう? それにあたしはあなたに感謝してるのよ。ブラン」
「……感謝だと?」
「えぇ、道を断ってくれたおかげでそれに気づくことができたのよ」
「どういうことだ」
「ふふ、それはね……あなたがあたし達の進路を断ってすぐのことだったわ」
今から一時間ほど前のことだった。
「これはまずいわね……」
「はい、ケビンさんどうしましょう」
「ケビンあんたの技で何とかできないの?」
「この積み重ねられた大岩を砕くパワーは出すことはできるが、お前らも巻き込むレベルになる。危険だからそれは避けたい」
大鎌を見つめながらケビンは答えた。
「んーじゃあどうするのよー」
「わたくしのガーディアンでもこの大岩の数は……」
「とりあえず戻るか?」
「そうね、この時間ももったいないし戻るしかないよね」
三人が諦めて、元に道に戻ろうと振り返って瞬間ナヴィが壁面に違和感を見つけた。
「……ん? 何かしら」
「どうしたんですかナヴィさん?」
「あ、ううん 気のせいだと思うんだけど、二人ともあの壁見て」
ナヴィは部屋の側面にある壁を指さした。
「えーっと確かになんか変ですね……色は同じですし構成物質も多分同じですが……」
「凹凸か……?」
ケビンは違和感を覚えた壁に近づきじっくりと観察した。
「ええ、この二メートル四方くらいのこの凹凸だけ周りとつながってない気がするのよね、ルナ。さっきまで占いできてなかったと思うけどここではどう?」
「あ、そういえば……ではやってみます。ここの壁ですね」
ルナは水晶玉を手に持ち数秒間目を瞑った。
「これは」
「どう?」
「お二人とも、この奥に空間が見えました!」
「「空間?」」
「はい、というより空洞です! 何か攻撃をしてもらってこの壁壊せますか?」
「あぁ、じゃあこれで。ふん!」
ケビンが大鎌を振りかざすと、ナヴィの言っていたちょうど二メートル四方の壁が崩れ始めた。
「おお。これいわゆる『隠し通路』ってやつね! やっぱりなんかこの壁おかしいと思ったのよね!」
「はい、これ気づけたナヴィさん凄いです!」
「ふ、今回ばかりは褒めてやる」
「ふふ。崇め奉りなさい」
してやったりの顔でケビンに笑顔を向けた。
この試験にも隠し通路みたいなものがあったのね。ルナはしっかりと見えたからよかったけど、実力のあるブランでもこれには気づけなかった……。ということは他の上級ガイドも気づいてないよね。
「ねぇルナ、ここからは占いもそのままできそうよね?」
「はい、先ほどはブランさんかそのパーティーのメンバーが魔力無効の結界を張ってたみたいだったのでできませんでしたが、今は大丈夫です!」
「なるほど。ルナの力でこういう隠し通路を探していければ……」
「ええ。きっと近道もできるし、多分他の受験者に会う確率もぐっと減少するわ」
「よし、じゃあ探していこう」
こうして、ルナの占いを主軸に三人は隠し通路を探し続け、結果的にはかなり近道する形でゴールに近づいていった。
「うん、方角的にも確実にゴールに近づいて行ってるわ」
「相変わらずすごいなルナの占いは……俺もできればどんなに楽か」
「あはは、逆にわたくしにはこれしかできませんので。あ、そろそろ広めの部屋に着きますね」
三人がそのまま部屋に入ると、目の前には人の三倍ほどの大きさはある金の卵が枯れ葉や樹皮で作られた鳥の巣のような上に置かれていた。
「ん? なにかしら、これ」
「おい、まじかよ……」
ケビンはその卵を見ると目を見開き、驚いた表情を見せた。
「ケビンさんご存じなんですか?」
「あぁ、というか、お前らも絶対知ってるはずだ。今はこの姿で分からないだけだ」
「そう? 今のところ思い当たる節が……」
「……!? 生まれるぞ、離れろ!」
金の卵にひびが入り、周りを吹き飛ばす勢いで卵が爆発した。
「「きゃ!」」
目の前には金色の翼を持った怪鳥が目一杯翼を広げ、耳がつぶれるほどの産声を上げた。
「うぅ耳がぁぁぁぁ!」
「ナヴィ、ルナ! しっかり耳を塞いでろ!」
ケビンは大鎌を構え先制攻撃を仕掛けようと切りかかった。
しかしその攻撃はいとも簡単に避けられてしまった。
「ちっ、やはり速いか……」
「ケビン! もしかしてあのモンスターって」
金色に輝く大きな翼、そして先端の尖った特徴的なくちばしに耳を壊すと言われている産声。まさか。
「あぁ、『ゴールデンフライ』」
「レベル六十クラス以上のパーティーにしか依頼されない最強のボスモンスターの内の一体だ」
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第七章 十四話 いかがだったでしょうか。
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最強のボスモンスターに三人が挑む。




