67.首席の答案
世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
『村人』→『ガイド』→『上級ガイド』へとクラスアップ!
ナヴィの試験結果とは。
「ケビン、見て……」
そこにはナヴィの名前が書いてあった。
『首席 ナヴィ・マクレガン 四百点 合格』
「おぉナヴィ。お前やるな」
「いや、あたしも喜びよりも驚きの方が勝っちゃってどういう反応していいかわかんないわ……」
その姿を上から見下ろしていたスーザンがくすりと笑った。
「何あの反応。面白い! せっかく首席なのにあわあわしちゃって。可愛いんだから」
とてもあんな解答をしたような子には見えないわね。
まさか彼女にあんな特性があったなんて……。
スーザンがナヴィの答案用紙を手に取った時のことだった。
「何これ、どこまで書き込めば気が済むのこの子……」
ナヴィの答案用紙は黒ずんだ紙にしか見えないほど、細かい字でスペースを余すことなくびっしりと書かれたものだった。
こりゃすごい量ね。あの時間内でよくここまで。それにちゃんと見やすくなるようなレイアウトもされてるみたいね。
「まぁ、ぱっと見の印象は悪くないわ。でも肝心なのは内容よ」
スーザンはそのびっしりと書かれた字を一字一句余さず読んでいく。
「ふふ、この子。うそでしょ……」
何かに気が付いたスーザンは額に汗をかきながら口元に手を当てた。
情報量、マッピング能力はブランさんやケビンさんと同レベル。だけどここのスペース何……。
『このダンジョンに臨むためにはそのひとつ前のダンジョンの炎帝の墓場に行くのがおすすめ。ダンジョンの構造が類似しているかつ、このダンジョンよりも適正レベルが低いため、安全に臨むためにも、予行演習ついでに炎帝の墓場で修行するべし』
この試験の内容とは逸脱している情報……いや、これが本来あるべき案内人の形なのかしら。
それにこの他にもダンジョンに臨むまでの生活習慣や修行の取り組み方。ダンジョン攻略を有利に進めるための武器の素材を収集するのに適した場所の案内。それにこのダンジョンをクリアした際の次回のおすすめダンジョンの案内。
こんなのほとんどガイドの仕事の範疇を超えてる。その人の状況やレベル、装備から、そのダンジョンだけじゃなくてその前後も意識的にガイドをする。まさに冒険者に寄り添う『ホスピタリティ』って感じね。
これはとんでもない逸材かもしれないわ。さっきの特筆すべき点はないっていうのは前言撤回ね。
こんなの見せられたら他の答案用紙なんて全て霞んでしまう。
良かった。最後がナヴィさんの答案用紙で。
ナヴィの答案用紙にも合格の印が押された。
「ナヴィさん。まずは一次試験、そして首席おめでとう」
「いや、でもやっぱうれしいわ。答えがあるようでないような問題だったから自分の解答が評価されたのは素直に喜んでおこう。そういえばケビンは?」
「お前の少し下だ」
『三位 ケビン 三百八十五点 合格』
「う、本当にすぐ下ね」
あたしの得意分野のはずだったんだけど、さすがケビンとしか言いようがない。
「ん? じゃあ二位は?」
『次席 ブラン・ゴードン 三百九十点 合格』
「あ、ブランさんかぁ。あの人もかなり書いてたからなぁ」
きょろきょろと周りを見渡すナヴィ。
「ナヴィ、誰か探してるのか?」
「うん、いた! あ、ブランさーん!」
ナヴィは手を振りながら遠くにいたブランを呼んだ。
「…………ちっ」
それを見たブランはナヴィを一度睨みつけ大きな舌打ちをしてその場を去っていった。
「あれ、ブランさん」
「めちゃめちゃ警戒されてたなお前。何かしたのか?」
「え、そのつもりはないけど……」
「なら完全にテストの点だろ。かなりライバル視されてるみたいだな」
「う、うん。それで済めばいいけど」
昨日ケビンが言ってくれたこと。気をつけておかないと。ブランさんも何かありそうね。
「あ、そういえばルナは?」
「あーそれなら垂れ幕を見ろ」
『五十位 ルナ・マリオット 三百点 合格』
良かった……ルナ。
「五十一位までが合格でその先は不合格だ。危なかったな。あいつ」
「ほんとだ! まぁあの子占いできなかったから心配だったんだよね」
ナヴィの視線の先には安堵したルナの姿。
「な、何とか生き残ったぁ。ほぼぎりぎりだったけど……」
とにかく次の試験も頑張らないと……。ナヴィさんは首席、すごい。
やっぱりわたくしじゃ……。
「ナヴィ。いいのか? 声を掛けてやらなくて。」
「う、うん。あたしもなんて声かけていいのかわからなくて……」
ナヴィの顔がほんの少し俯いた。
「……お前らなんかあったのか?」
「あ、ううん、全然。気にしないで」
「ふーん、まぁ今は聞かないでおいてやるよ」
結果発表から十分ほど経つとテラスにいたスーザンからアナウンスが入った。
「はい、もう不合格者の人はいなくなったかな?」
あ、スーザンさんまだいたのね。
「それでは早速午後に向けての第二次試験の内容を発表したいと思います!」
来た、さて、次はどんな試験なのかしら。
「ナヴィ。お前急にそんな目を輝かせてどうしたんだ……」
「首席取っちゃったからなんか自信出てきちゃって。よーしなんでもこーい!」
「ふふ。では発表します。第二次試験は……」
「『グループワーク』でのダンジョン探索です!」
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第七章 八話 いかがだったでしょうか。
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第二次試験開幕……?




