64.三人の試験
世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
『村人』→『ガイド』→『上級ガイド』へとクラスアップしたナヴィ。
ついに筆記試験が始まった! 三人の上級ガイドのそれぞれの問題の取り組みとは。
「第一次試験『筆記テスト』開始!」
会場から一斉に紙を表にする音が鳴り響いた。
ナヴィは長い髪を耳に掛け問題用紙を両手で持った。
ロールプレイ形式だとどうしても経験の差がものをいうところがあるから正直助かったわ。さて、どんなテストなのかしら。
んーとなになに。
『下記のダンジョンマップを見て予測できること、また備えられる準備をできるだけ多くこの用紙に書き込みなさい』
な! なんてざっくりとした問題……。
書かれてるのはマップの緯度経度、方角。そしてダンジョンの地形や標高、なるほどね。五階層まであるからこの問題だけでもかなりの時間が必要だわ。どんなモンスターが出るとか、どこにボスがいるとかも全く分からない。
なるほどね。このテスト中々面白いわね。
『自分自身の今までの経験則や統計、直感力。様々なものを駆使して探索が仕切れていないダンジョンのマップをどれだけ精巧に作れるか』
趣旨はこんな感じでしょうね。だからスーザンさんは『良いものを作って』って言ってたわけね。
ふふふ。このテストいけるわ。目に穴が開くほどたくさんのダンジョンマップを見てきたんだから。
……とは言ってもここにいる人はみんなそういう人たちなんだよね。むしろあたしなんてまだまだこの中では駆け出し。
とにかく自分の今考えられる全てをこの紙に書き切る。
ケビン……。それにルナ。まぁあの人たちも大丈夫よね。
ナヴィは自分の席よりも前に座っていたケビンをちらっと見る。
ってめっちゃ書いてるー!
やばいやばい。こんなことしてらんない。あたしも取り掛からないと。
ナヴィはようやくペンを持ち問題に取り掛かった。
一方のケビンはさらさらとマップに情報を書き込んでいった。
ケビンの隣の席に座っていた受験者はケビンのあまりのスピードに驚いて手が止まっていた。
こいつなんだよ。このスピードありえねぇだろ。俺みたいなベテラン上級ガイドでもそんなさらさら書けねぇぞ。くそ、何とか追いつかねぇと。てかこいつめちゃめちゃ小声でなんか言ってんな。
「ここは方角から考えるに真南のダンジョン。そして標高も低い。というか地下だな。熱気がこもり、湿度も高め。十分な水分はもちろんのこと装備も軽装備……いや逆か。肌になるべく触れない方が体を守れる。モンスターも環境に合わせた炎属性のモンスターだな。レアアイテム、ボスは普通に考えると五階層目だが五階層目の位置を考えるとここは多分火の海のようなものがあるはず」
「ふぅ、これは時間がかかりそうだな……ん? なにか?」
ケビンを見ていた隣の席の受験者に話しかける。
「え、い、いやぁべつに!」
「そうか」
「そこ! 喋らない!」
「「すみません」」
トニーおじさんにこういう練習たくさんしてもらってたのが功を奏したな。これならいける。それにナヴィの方もこういう問題は得意だろうな。さて、問題は……。
ケビンは一つ隣の席を挟んだところに座っていたルナを見た。
あいつなんであんなにあわあわしてるんだろう。まぁいいか。自分に集中しないとな。
その隣の席を挟んだところにいたルナの顔は真っ青だった。
だめだ。全く予想できない……。今まで占いに頼ってやってきてたからセオリーなんてわたくしにはありません。あーやっぱりこんな試験受けなければ……。
あの時のブレビンスさんとスーザンさんが来店したときにうまく乗せられちゃったからなぁ。
たしか一か月前くらいだっけ……。
「どうですか。以上のようなメリットがあるのでぜひルナさんには出ていただきたいなと思ってますが」
「丁重にお断りさせていただきます」
「「はや!」」
「も、もう少しだけ考えていただけませんか? ねぇ理事長」
「そうですよ、きっとこのお店ももっと大きくすることできるしルナさんの実力なら確実に……」
「あの、失礼ですが看板ご覧になられませんでしたか? 『しばらく休業します』 わたくしは今仕事はしていません」
それにわたくしには仕事を続ける資格ももうないです……。
「で、でも」
スーザンは必死に交渉を続けた。
「すみませんお引き取り下さい」
ブレビンスが目を開き、低めの声と鋭い口調で話し始める。
「ルナさん。あなたがそうなったのは、あのデニスの誘拐事件の後からですよね。その時に何があったんですか?」
「……あなたには関係ないことです」
「えぇもちろん。私達には関係ありません。ただ」
「……ただ?」
「先ほどお伺いしたナヴィさんは出るそうですよ」
「!?」
反射的に上がった顔を再び下に向けた。
ナヴィさんが……だけど。わたくしはナヴィさんに合わせる顔なんて。
「何があったかはわかりませんが、とりあえず受けてみるだけ受けてみませんか。その後もし辞めても私は何も言いません。ルナ・マリオットさん。この仕事を辞めるにはあなたはまだ若すぎる」
「り、理事長」
ルナはうつむいた表情をしながら答えた。
「そ、そう……かもしれないですね……」
あーまたあの時のこと思い出しちゃった。
もう、ナヴィさんって名前に反応しちゃっただけでこんなところに来てしまうなんて……。わたくしもちょろいですね。
でも、きっともうあの事を話すならナヴィさんとしっかり仲直り……って喧嘩はしてないけど。そのためにはまずこの試験に全力で取り組むこと。そしてこの試験が終わった後でちゃんと言うんだ。
まずはわたくしの直感を信じてやるしかない!
「ふふ、いい目になったわ。ルナさん。何か決意が固まった感じね」
ルナの方を見守っていた、試験官のスーザンが腕時計を確認する。
「あと一時間です。まだまだ時間はありますので消化不良にならないよう全力で取り組んでください!」
わたくしもあの二人に追いつけるように頑張らなきゃ……まずはこの試験に全力で臨みます!
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第七章 五話 いかがだったでしょうか。
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試験終了まで残り一時間!




