50.『竜門の滝』
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
『村人』→『ガイド』→『上級ガイド』へとクラスアップしたナヴィ。
デニス、テリウスとの一件があり、ナヴィは仕事を辞め心を閉ざしてしまった。
ナヴィを元気付けようと『幸運の聖水』を求めエンフィーとコイルの冒険が始まる!
アングリータイガーとの戦闘が終わり、二人の目の前にはダンジョンの前に立ち塞がる大きな滝が……。
アングリータイガーとの戦闘から数分後、二人は『竜門の滝』に着いた。
「大きな滝ですねぇ」
でこに手をかざし、真下にある川の岸辺から滝を見上げるエンフィーとコイル。
「有名なので名前だけは知っていましたが……コイル様はご覧になったことあるんですか?」
「僕も初めてです。見たところ崖から30メートルくらいですかね、あそこの下でこの激流の水を受けたら死んじゃいますよね」
「確かに……問題なのはあの滝の中に入る方法です」
底から十五メートルほどの所に人が数人は入れそうな穴があり、二人はその穴の奥にあるダンジョンを目指していた。
「思ったよりも水の流れが強いので練っていた作戦は使えそうにないかなぁ」
私の<エアシールド>で水流を一時的に防いでその間に<アクセル>でコイル様に担いでもらって駆け上がる。シンプルだし一番早いんだけどなぁ。
「あの水流、僕の剣舞なら一瞬ですが弾いて入れそうな気がします……」
「剣舞……そうか!」
エンフィーは手をポンと叩いた。
「何かいい案でも?」
「試しですが……」
耳打ちでエンフィーは思いついた作戦をごにょごにょとコイルに話した。
「なるほど、それなら確かに行けるかもですね!」
「はい、では早速準備に取り掛かりましょう」
「こ、これでいいんですか?」
コイルの背中には背中を合わせた状態でロープを括り付けたエンフィーが今か今かと待っていた。
「あのーエンフィーさん。手伝っといてなんですが、僕ら頭の悪そうな格好してますね」
「しょ、しょうがないじゃないですか、これしか今は方法が思いつかなかったんですから! さぁ、私が渡した<キャプチャーロープ>を使ってください!」
「分かりました。あの木ですね、掴め!」
滝の上にある一本の巨大樹目掛けてエンフィーの作った伸縮性のあるロープが飛んでいった。そしてそのロープは意識があるかのように木に向かい、数回幹を巻いた。
「よし、オーケーです。エンフィーさんお願いします!」
「はい。では……縮め!」
掛け声とともにロープはシュルシュルと短くなっていく。
ロープは木の幹に巻き付けていた方に向かい、その紐を持っていた二人は宙に浮いた。
「うわーー!」
「け、結構速いですね、大丈夫ですかコイルさん?」
「はい! 方向はばっちりですよ。ダンジョンの洞穴に一直線です」
「よし、あとはタイミング勝負ですね……」
二人の滝との距離はあと三メートルほどとなった。
「それじゃ私から!」
<ディレイムーブ!>
水の流れの速度が落ちた。
く、おんもい。この質量持って数秒。
「コイル様」
「ええ」
<剣舞・華輪!>
コイルの回転斬りで滝を分断された。
「エンフィーさん」
「はい!」
よし、ここまで作戦通り。
数刻前の作戦会議。
「な、結構無茶なことしますね……」
「すみません、私の魔法じゃこのくらいしか……」
「いえ、全然いいですけど、最後のは結構賭けですよね?」
「はい、<キャプチャーロープ>で幹を掴み、それを縮めて洞穴に向かって飛ぶ。そして<ディレイムーブ>からのコイル様の<華輪>で滝を分断。ここまでは確実でしょう」
「僕の<華輪>は性質上その場で回転するからロープで作った勢いが完全にでなくなっちゃうな」
「はい、ですからコイル様には回転後うまく前を向いてもらい、私が特大の<エアシュート>を放ちます」
「後ろ向きでですか?」
「はい。大きければ大きいほど反動が強くなりますのでその力を使えばおそらく」
「……分かりました。ただ<華輪>の後は気を付けてくださいね。慣れてない人は必ず目が回りますから」
「はい、ではやりましょうか」
よし、コイル様が作ってくれたこの空間に絶対入る!
「はぁぁ!」
<エアシュート!>
普段の三倍ほど大きな質量の空気の弾丸が奥に見える山のようなものに向かって放たれた。
「よし、これならぎりぎり!」
コイルは穴の縁に手を伸ばす。
しかしそれは届かなかった。
「なっ、しまった」
「コイル様!」
「うおぉ!」
落下するのを確信したエンフィーは目を瞑っていた。
数秒後ゆっくりと左目を開ける。
「あ、あれ?」
「エンフィーさん。大丈夫ですよ」
コイルの腰に差していた短刀が穴のすぐ下に突き刺さり、二人の体を支えていた。
「よ、よかったぁ」
「あぁ、エンフィーさん力抜かないでください! 重たくなってます!」
「あ! ごめんなさい。私つい安心しきっちゃって」
「いえ、そしたらエンフィーさんからロープをほどいて先に登って下さい」
「わかりました!」
こうして二人は無事にダンジョンの入り口に到達することができた。
その頃、ナヴィのいる案内所の目の前に一人の冒険者がいた。
「おーい、ナヴィ。僕だよ 君の愛するハンナが来たよー」
うーんおかしいな、今日は朝から店閉めてるって村の人も言ってたし。エンフィーもいない。ということはナヴィはまだあの状態から戻ってないってことかな……。
「ん? あれ、窓が開いてる」
案内所の外をぐるぐると回っていると、カウンター近くの窓が開いていることに気が付いた。
「しょうがないなぁ。盗賊ハンナが君を元気付けてあげよう」
ハンナは口角を上げ、窓から店の中に侵入する。
「おじゃましまーすっと、あれ、カウンターにマップ?」
「ふーん、これはエンフィーの字だね……どれどれ、このマップは……」
ハンナがマップを見始め十分ほど経った。
「なるほどね、エンフィー。やっぱり君もナヴィと同じで生粋のガイドだね」
ハンナはそのまま二回に上がりナヴィの部屋の前に立った。
「ねぇナヴィ。僕だよ」
……え、ハンナ?
最後までご覧いただきありがとうございました!
第六章 五話 いかがだったでしょうか。
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ナヴィの元へ向かったハンナ、何を伝えに来たのか……。




