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25.憧れ

異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。

職業『村人A』

仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。


『村人』→『ガイド』→『上級ガイド』へとクラスアップしたナヴィ。


ナヴィがケビンの過去に迫る……

「俺とトニーさんの関係?」


「えぇ、それに王都でどうしてあたしを突き飛ばしたのかも」

 

 ナヴィが皮肉めいた言い方でケビンに尋ねる。


「まぁそのこともどっかでは話さなきゃいけないってのはわかってたからな」


 そういうとケビンは視線をナヴィから川をへ移した。その紅い瞳はどこか更に遠くを見つめているようにナヴィには見えた。


「俺はもともと孤児だったんだ」


「え、孤児? 村人じゃなかったの?」


「あぁ、王都の孤児院で幼児期の大半を過ごした俺は読書をするのが好きだった。特に冒険者の伝記のような本はいつまででも読んでいられるくらい好きな本だった」


「ある日、十歳になった俺は冒険者と同じように戦いたいと思い孤児院を抜け出し、王都を出てそこから歩いて丸一日ほどの所にあるダンジョンに一人で潜った」


「トニーさんに会ったのはそのダンジョンの中だった」





「うわぁ、こっち来るな! 来たら叩くぞ!」

 木の棒を持った十歳にケビンが数体のスライムと対峙している。


 なんで、本の中では一番弱かったはずなのに……。俺はこんなモンスターにも勝てないほど弱いのか。


「くらえ! やっ!」

 その棒で何度か攻撃を繰り返すが一向にダメージが入らない。


 徐々にケビンに攻撃を仕掛けようとスライムが近づいてくる。


 そしてその一体がケビンに向かって突進をした。


「うわぁぁぁぁぁ」

 目を瞑り腕で身を守ろうとするケビン。


 だめだ、やられ……。ん?


 数秒経ったが攻撃をされずスライムの鳴き声だけが聞こえてくる。


 あ、あれ。


 ケビンは恐る恐る目を開けると、目の前には大斧を持った重装備の白髪の老人がいた。


「こんなところに子供が……。大丈夫かい」


「は、はいありがとうございます」


「まだスライムは残っておるな。もう少しだけ待っといてもらえるかな」


 そういうと、老人は常人の目では追えぬほどのスピードでスライムをあっという間に倒した。


 すげぇ。この爺さんすげぇ。


「さぁ終わりましたぞ」


 老人はケビンに笑顔を見せた。


 ケビンがきらきらと輝かせた目を老人に向けていると遠くから男の声が聞こえてきた。


「おーい! トニーさん、何してんだー!」


「アーサーさん。こちらに子供が……。迷い込んでしまったみたいです」


「ん? この腕輪、王都の孤児院の子供だろう」


 ケビンの腕を取りアーサーは言った。


「ほう、王都の孤児院。どうしてこんなところまで来たんじゃ」


 ケビンはその老人の質問に恥ずかしそうにしながらぼそぼそとした声答えた。


「冒険者みたいにみたい戦いたかったから」


「冒険者様か。なるほどじゃな」


「トニーさん、こいつは孤児院の子供だから冒険者には……」


「アーサーさん」


 トニーはアーサーにそれ以上は言わないようにと口の前で人差し指立て目で合図をした。


「とりあえず、この子もいることですしこのダンジョンからは出ましょうか」


「あぁ。分かった。さぁ坊主行くぞ」


 ケビンがその後ろをとことこついていく。

「あ、あの」


 その瞬間ケビンのお腹がぎゅるぎゅると大きな音を立てて鳴った。


「王都からここまでなにも食わなかったのか、お前」


 顔を真っ赤にしながらケビンは頷く。



「そういえばまだ名前を聞いていなかったのぉ」


「あ、ケ、ケビンです」


「俺はアーサーだ。これでも一応冒険者だ。そんでこっちの爺さんが」


 アーサーさんは冒険者なのかすごいなぁ。でもこっちの爺さんの方が装備から見るにもっとすごい冒険者なんだろうな。


 ワクワクしながらトニーに目を向けるケビン。

「トニーじゃ。わしは『スーパーアドバイザー』というものをやっておるぞい」


「スーパーアドバイザー?」


「まぁこの話は王都に帰ってからじゃな。そこで何か食べながらでもいいじゃろ」



 その後二人が馬車を使っていたこともあり、半日とかからず王都に着いた。



「さぁ怖かったじゃろ。とりあえず好きなもの食って元気出すんじゃ」


 小綺麗なレストランに入った三人の目の前にはたくさんの料理が並んでいた。


「すげぇ、こんなにたくさんの料理初めてだ……」


 ケビンは今までの空腹を満たすため一心不乱にむさぼりついた。


「きったねぇ食べ方するなぁこいつ。孤児院の子供って感じだな」


「アーサーさんいけませんよ。これは生まれ持った環境の問題です。この子に罪はありませんよ」


 アーサーがその言葉を聞くと、トニーの耳元で囁いた。


「いいんですか、初対面の子供にこんなことしちゃって」


「困っている冒険者を助けるのが私の仕事ですから」

 ケビンの方を向き微笑んだ。食べ物に食いついていたケビンもそれに気づき笑顔で返す。


「ケビン殿。ケビン殿はどうして冒険者になりたいと?」


 ケビンは胸をとんとんと叩き詰まりそうになった食べ物を胃に流し込んだ。


「トニーさん。俺いつかあの孤児院を出て冒険者になるんだ。それで強くなってたくさんの人を本の中みたいに救いたい」


「ご立派ですね」

再度微笑むトニー。そんなトニーを見たケビンはいけると思いそのまま話を続けた。


「なぁトニーさん、俺をあなたの弟子にしてください」



「お前なぁ。トニーさんはスーパーアドバイザーだから冒険者じゃねぇんだぞ。それになぁ」


「アーサーさん」

 トニーはアーサーの言動を止めようとするがアーサーは気にせず話してしまう。



「いや、男には最初にこういうのははっきり言っておいた方がいい」


「……どういうことですか」

ケビンはアーサーにその紅い瞳で冷たい視線を向けた。


「お前両親は」


「魔王軍に村を襲われて亡くしました」


「てことは普通の農民だな。いいかケビン。お前ら村の人間は二つの仕事を選ぶことができる。一つは商人だ。村で作物を作って売ったり買ったりする仕事だ」


「も、もう一つは……」


「村人だ」


「えっ……。どういうことですか」



「つまりだ。お前はもう農民に生まれた瞬間から冒険者になれないことが決まっていたってことだよ」


 アーサーの言葉を聞いたトニーが額に手を当てた。


 言ってしまったか……。


「俺は、冒険者になれないんですか……」


「あぁ、それはできない。そんなやつを一人も聞いたことがない。だがな」


 ケビンは一度顔を下に向けると、勢いよくそのまま店を飛び出した。


「あ、行っちまった。まだ最後まで言ってないのに」


「アーサーさん。流石に大人げなさすぎますぞい。ふぉふぉ」


「すまない。トニーさん。あんまりにも夢を見ているからついな……。そういうこともわかる年齢だろうし。まぁそれでも言い過ぎたのは確かだ」


「とりあえずお金だけ払ってケビン殿を追いますぞ」 


 ケビンを探すため二人は店を後にした。

最後までご覧いただきありがとうございました!

第三章 十一話 いかがだったでしょうか。

まだまだ仕様がわからないところ多数ですが、もしよろしければ評価、コメント、ブックマークお待ちしております!


どんなコメント、評価でも構いません。自分の糧としてこれから頑張っていきたいと思ってます!

ストックは特にありませんがこの先も続けていく予定です。

よろしくお願いします!


店を出て行ったケビンは何を思ったのか……

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