200.一日目(二回目)
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
王都公認の案内人となったナヴィ。
戦闘を終えたナヴィの翌日。
「よし。五時起床。ばっちりね」
昨日の夜中のレミアとの戦闘? から夜が明け、あたしは今日からまたここ、グローリア案内所で働かせてもらうことになった。
「うーんちょっとやりすぎちゃったかしら……」
まぁでもこのくらいしてもいいよね。殻を破るためにもまずは形からってね。
ナヴィは自室にあった姿見の前でくるりと一回転をし、自分の服装を入念にチェックする。
「おっと、後ろの紐ほどけちゃってる」
姿見に背中を向けほどけた紐を手際よく結んだ。
「よし、っとあーやばいやばい。忘れてた。サテラのくれたダイアの髪飾り」
デスクに置いてある髪飾りを手に取りゆっくりとそれを頭に付けた。
「サテラも元気にしてるかな……」
その時部屋の外からコンコンとノックする音が聞こえてきた。
「ナヴィさーん。おはようございます。朝食ができましたよ」
「あぁ、レミア。おはよ」
扉を開け、挨拶を返すあたしの姿にレミアは驚愕していた。
「え!? ナヴィさんどうしたんですかその髪……あの綺麗な黒髪のロングはどこへ……?」
「あぁ、まぁ。これから頑張るぞってなったらつい……」
「ついじゃないですよ!? ついでできることでもありませんし!」
「まぁ、ほら。あれよ。過去の自分と乖離したいというかね。新たな気持ちでこの仕事を望んでいきたいのよ」
「過去の自分と乖離……そうですか……」
「レミア?」
「あーいえ。でもそのくらいの長さもすごくお似合いですよナヴィさん」
「ありがとう。うーんおいしそうな匂いがする! 早速いただこうかしら!」
「はい!」
そう。あたしナヴィは大事にしていた長髪をバッサリと切りました。
今は肩で少したゆむくらいの何て言うんだっけな。ロブだっけか、ボブより少し長めの。
さっきは軽さのあまりサテラの髪飾りを忘れちゃったけどこれはこれで動きやすくていいしなかなか気にってる。
この自室の扉を出たらあたしはここの案内人。
一分、いえ一秒も無駄にしないくらい成長してやるんだから。
「おはようございます! ヴィオネさん!」
「ういーす。なんだぁ朝からうるせえな」
ナヴィが自室のある三階から二階に降りていくと寝癖がひどくついたヴィオネットが、たった今起きたと言わんばかりの顔でナヴィを睨みつけた。
「あ、お前……」
「あ、気づきましたあたしの髪の毛」
首を横に数回振り、髪を切ったことをアピールしようとするナヴィ。
「なんだ、はげたのか?」
「んな!? 髪の毛ありますから!」
「あーっそ。まぁいいんじゃない」
「か、軽いですね」
「俺は朝がよえーんだ。罵倒罵声誹謗中傷その他諸々は後でいやというほど言ってやるから。朝はどうでもいいんだよ」
「いや、それは勘弁してください」
「ふむ……ただ。やる気満々って面だな」
その言葉ににやりと笑うナヴィ。
「もちろんです。盗めるもんは全て盗んでいきますよ」
「生意気な面だ。だが……前よりはましなんじゃねーの」
「……素直に褒めてはくれないんですね」
「変わったのは髪の毛と顔つきだけだ。俺が求めてるのは仕事での結果だ。レミア」
「あ、はい。姉さま」
「先ナヴィと食ってていいぞ。とりあえず顔洗ってから下に降りる」
「かしこまりました。ではナヴィさん」
「えぇ」
一階に降りた二人は朝食にありついた。
「うん。レミアの料理は本当においしいわね!」
「いえ、そんな私なんて……」
「謙遜なんてしなくていいんだよ! このおいしい煮物とか今まで食べたことないけど誰に教えてもらったの?」
「あ、それは私が自分で研究して」
「すごいすごい! 今度あたしにも教えて!」
ナヴィは机から身を乗り出しレミアにぐっと顔を近づけた。
「ナ、ナヴィさん。食事中ですのでお座りください」
「あ、ごめんごめんつい」
「そういえばナヴィさん。昨日私の攻撃で黒焦げになってましたが、火傷や傷はなかったのですか?」
「あぁ、レミアが咄嗟にあの光線の射線を外してくれたから何とかね。それでもあの後<ヒール>を使って何とか直したけど」
その話を聞いてぽかんと口を開けたレミア。
「え……あの火傷と傷をただの<ヒール>で?」
「えぇ、とはいっても相当魔力を使っちゃったし治したらそのまま目を瞑ってた」
「それでも、私の全力を……たったの一日で治すなんて……」
顔を俯かせるレミアの姿を見てナヴィが首を傾げた。
「レミア……?」
なんていうか、ちょこちょこ変なタイミングで落ち込んだり顔をした向けたりするんだよねレミアって。
普段は全然そんなことないんだけど。何かあったのかしら。
「おう、ナヴィ。もう飯は食ったか?」
二階から降りていたヴィオネットがナヴィの頭に胸を乗せた。
「ヴィオネさん。それ嫌がらせですか。あたしだって別にそこそこありますが」
ナヴィはヴィオネットが乗せた胸を下からぐりぐりと頭で持ち上げた。
「あはは、すまんな、つい癖で」
「それで、何か用ですか」
「あぁ。今日からのお前の仕事だ」
「おぉ! ついに。それであたしの仕事って……?」
「あ? 書類整理とダンジョン探索の記録分析だよ」
「同じじゃん!!」
「嫌なら出てけ」
馬鹿にしたようなにやけ顔でナヴィに顔を近づけたヴィオネット。
「分かりました。分かりましたよ、書類整理でも分析でも何でもやってやろうじゃないですか!」
「おう、その域だ。頑張れよ」
こうしてあたしのグローリア案内所での、前と同じような仕事を前とは少し違う心持ちでこなしていくのであった。
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第十二章 十七話 いかがだったでしょうか。
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ナヴィのグローリア案内所での一日目(二回目)が始まる。




