199.ナヴィの答え
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
王都公認の案内人となったナヴィ。
レミアに強化魔法を掛けたナヴィの真意とは。
「それが、あたしの目指す案内人だから」
「ナヴィさん……?」
ナヴィは杖を下ろしレミアに微笑みかけた。
「それって……」
「まぁ色々と気づかされたのはここを出てからなんだけどね」
そう、レミアの言葉の意味、明朝に言われたヴィオネットさんの言葉。それにダンジョンの同行したクオードさんとの探索。
「出てから……ですか」
「クオードさんと別れたときには衝動的にグローリア案内所に戻らなきゃって思ってたけど、戻りながら考えててね」
そう。あの時に色々と決心がついたのよね。
「さぁ、マーガレット戻ろう。グローリア案内所へ」
「ヒヒン」
マーガレットに乗ったナヴィはダンジョンの入り口からグローリア案内所に向かい、勢いよく走りだした。
「とは言っても今日の朝出てったばかりなのにいいのかしら……それに、ヴィオネさんの」
『生まれとか。才能とかそんなのは関係ない。自分が決めた、自分がしたいって思ったことで輝きたい。それって普通のことなんじゃねぇのか』
あの言葉……。
いろいろと引っかかってたことがある。
案内所に来てレミアに言われたあれも。
『えぇ、妹も、従業員も、冒険者もみんなを守れるぐらい強くなりたいの。だからあたしはここに来たの』
『案内人なのに、ですか?』
あの反応。
それに鬼のようなノルマを課された書類の整理や記録の解析。
そしてレミアとの戦闘。
最初は全部ただの嫌がらせ、適当に言っているもんだって思いこんでいた。
でもそれが全部あたしに何かを気づかせるためだとしたら全ての辻褄が合った。
『自分にできないことは一人で抱え込む必要がない』ってことを。
あたしは案内人であって冒険者のような戦闘能力はなく『どんなに頑張っても越えられないものがある』ってことを。
でも、それに屈する必要はなくあの膨大な書類の整理や記録の解析から『自分の持っている武器で最大限に戦えばいい』ってことを。
あの言葉で、あの戦闘で、あの振る舞いで。そしてそれがたまたま遭遇した冒険者とのダンジョン探索で確信に変わった。
「ってこれは流石にあたしの深読みかな。あはは。まさかヴィオネさんがここまで考えている人のようには見えないし……」
でも、それがたまたまだったとしても、意図的だったとしても。
「あたしはあの案内所に戻らなきゃいけない。あの案内所で『案内人』として強くなっていきたい!」
この気持ちに嘘はない。
だから!
「ナヴィ。条件は前と同じでいいな? お前がレミアに勝ったらここで雇うのを認め好きにしていいぞ」
「はい。そのつもりで来ましたから」
さて。戻ってすぐとは思ってなかったけど。やっぱりそう来たわね。リベンジマッチ。
道中で何度も考えていた。
なんでこんな戦闘をわざわざさせたのだろうって。
クビにしたいならそのまま追い出せばよかったのに。
でも今ならわかる。
あれはきっと『お前の土俵はここじゃないぞ』そういうメッセージだったんだって。
攻撃魔法に取り憑かれてどうしたら目の前の敵を倒せるか。そこしか見ていなかったあたしにわざとその道は違うって看板を立ててくれたんだ。
ナヴィはくすっと笑い、レミアを見つめた。
「さぁレミア、リベンジマッチよ」
こうしてあたし達の二度目の戦闘が始まった。
「うわ、すんごい魔力。こりゃ一気に決めに来てるね」
「エンフィー、アミス、スーザンさん。ごめん。あたし、死ぬかも……」
苦笑いをし、杖を構えるナヴィ。
でも、あたしの答えはこれだから。
あたしにできること。あたしにしかできないこと。
それはレミアを倒すことじゃない。
「はぁぁぁぁぁぁ!」
<ドラグレットブレイズ!>
「ごめんねレミア」
「!?」
「あたしは案内人。冒険者じゃないからね」
<アタックグロウ!>
ナヴィの強化魔法がレミアの身体に纏わりついた。
「うわすっごい威力。これはやばいわね……ってあれ?」
威力が飛躍的に上がったレミアの攻撃が、決死の強化魔法を掛けたナヴィに襲い掛かるもナヴィの目の前でぱっくりと真っ二つになった。
「え!? どういうこと!?」
「レミア……?」
「私が気づかずそのまま直撃させていたらどうしたんですか……」
「なんであのタイミングで私に強化魔法を掛けたのですか……」
レミアもきっとこうなることは分かっていたんだね。
いや、望んでいた……のかな。
でもやっぱりこれがあたしの正解だったんだ。
「それが、あたしの目指す案内人だから」
戦闘能力なんかなくてもいい。冒険者の前に立つのではなく、横に寄り添ってサポートしていける。そして、一緒に戦っていける。そんな案内人に……。
「ヴィオネット・グローリアさん」
「あ?」
「レミア・グローリアさん」
「は、はい」
ナヴィは二人の前で深々と頭を下げた。
「あたしをこのグローリア案内所で働かせてください!」
「「!?」」
「……なりてぇもんは見つかったか?」
「はい!」
「それはうちで養えるもんなのか?」
「分かりません。けど」
「必ずここでそれを掴み取って見せます」
ナヴィの真剣な眼差しにヴィオネットが鼻で笑った。
「ふふふ。なぁレミア」
「はい、姉さま」
「三人分の食事用意しててよかっただろ?」
「……姉さま。そうですね」
顔を反らし、ふふっと笑ったレミアは一人急ぎ足で案内所へと戻っていった。
「ナヴィ。早速だがてめぇには明日の朝から働いてもらう」
その言葉にナヴィの口角が上がった。
「ヴィオネさん! それって……」
「いいから早く入れ、そして食ったらすぐ寝ろよ。うちの朝は早いんだ」
「はい!!」
「うちは厳しいぞ。次こそは逃げるなよ? ナヴィ・マクレガン」
不敵な笑みでナヴィを見つめるヴィオネット。
「望むところです。これからよろしくお願いいたします!」
こうしてヴィオネットとナヴィは横に並びながらグローリア案内所へと戻っていった。
「あ、ヴィオネさんそういえば勝敗はどうなるんですか!? やっぱりあたしの勝ちですか!?」
「あほか! レミアは膝着いてないだろ!」
「でもあたしを認めてくれるってことは」
「うるせぇ。レミアが手加減してなかったらてめぇは死んでたんだ。だからてめぇの負けだ」
「えーならあたしはクビかー」
「それはそれだ。とにかく明日からは俺の言うことだけ聞け」
「なんて理不尽!」
こうしてグローリア案内所でのあたしの本当の意味での『案内人として』の生活がスタートした。
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第十二章 十六話 いかがだったでしょうか。
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ナヴィ、グローリア案内所に再就職!




