18.『ガイド殺し』
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
『村人』→『ガイド』→『上級ガイド』へとクラスアップしたナヴィ。
高難易度のダンジョン攻略に向かったナヴィとデニスのパーティー。
デニス達と魔王配下のダンジョンのボスとの戦闘が始まるが……。
ボスの扉を開けると、先ほどの狭さとは対極の広大な巨大な柱が何本も立った黄金の部屋だった。
ナヴィ達の目線の先にはレッドカーペットが敷かれている上にアヌビスの仮面を被った人型モンスターが立っていた。
「デニス様。あれがボスです。私もあれが魔王直属の配下『神官 ラハマン』という情報しかありません。戦いながら弱点を探すべきかと……」
「えぇ、これはかなり手を焼きそうですね」
魔法使いが杖を構える。
「みんな、慎重にいくぞ!」
「「おう!」」
アヌビスの仮面を被ったラハマンは小さな声で言った。
「ふん。雑魚が」
デニスのパーティーとボスの戦闘が始まった。
その頃ナヴィを追って村を出たハンナとエンフィーはダンジョンにかなり近づいていた。
ハンナは湿地草原に出てくる道中のモンスターを次々と薙ぎ払う。
「エンフィー。後ろに下がってて」
「はい!」
「行くよ!」
<アースエッジ!>
<ストーンウェーブ!>
双剣の斬撃と、岩石でできた波で複数のモンスターを一気に倒した。
「ふー何とかなったね」
「ハンナさんすごい!レベル三十とは思えないほどの身のこなしと魔力でした」
「あはは、まあね。くっ」
「ハンナさん、太ももが紫色に」
最初は小さかった紫色の斑点が徐々に範囲を広げていた。
「あー、さっきのモンスターにやられた毒だね。かすり傷だから大丈夫かと思ってたんだけど」
「ハンナさんちょっとそこに座ってください」
「え、大丈夫だよ。こんなの時間の経過で勝手にとれるし」
「いいから」
ハンナの毒で変色した箇所に手を当てる。
ん。これはエンフィーの魔力?
<エンジェルキュア!>
変色していた箇所が一瞬で元の肌色に戻った。
ハンナは顔を横に傾けた。
「エンフィー。君はどこでそれを」
「えへへ、お姉ちゃんの部屋にあった本を見て覚えたんです。お姉ちゃんが冒険者様の同行をしている間に」
腰に手を当てどんなもんだいと言わんばかりのどや顔のエンフィー。
本見ただけで覚えるなんて。それにこの魔力……。まったく、君たち姉妹は……。
「あ、でもお姉ちゃんには内緒ですよ。いつかもっと成長して驚かせてやるんだから!」
「うん。分かった。エンフィーこっからも頼んだよ!」
エンフィーの頭をポンと撫でた。
「はい!」
そこから先はこっそりと覚えていたエンフィーの補助魔法がしっかりとハンナのサポートをし、サクサクと進んでいった。
「着いたね」
「はい。お姉ちゃん、大丈夫ですかね」
「足跡から見るに入った形跡はあるね。逆に出た形跡はない。ここにいるはずだよ」
「まだ何とも言えないですよね」
「うん。それじゃ。入るよ」
ダンジョンに足を踏み入れようとした瞬間、二人の後ろからガシャンガシャンと重装備の鎧の擦れる音が聞こえてきた。
そのままその音は止まることなくハンナたちの前に現れた。
「ハンナさんこの人たちは……?」
「お嬢さん方。そこをどいてもらえないかな」
「邪魔だ。どけ」
ハンナは驚きを隠せない表情のまま話した。
「あ、あ、あなた方は」
一方、ナヴィとデニスのパーティーでは激しい戦闘が行われていた。
「皆さん。集まって下さい」
<ツヴァイアクセル!>
魔力を一気に高めたナヴィがパーティー全員の敏捷性を一気に上げた。
「よし、行けるぜ。くらえ!」
<シールドクラッシュ!>
「遅い」
ラハマンは大盾使いの攻撃をやすやすと躱し、側面から黒刀でわき腹を切った。
「ぐはっ」
ナヴィは即座に反応する。
「まずい」
<ヒール!>
「くそ。当たれ。当たれ。当たれ。」
弓使いは様々な属性で攻撃を繰り返すがすべて刀で弾かれてしまう。
<アイスバーン!>
<アイシクル!>
<アイスダストエッジ!>
だめ。そんなやみくもに撃った下級中級程度の魔法じゃさっきみたいに全部避けられて終わり……。
ナヴィの思った通りすべて当たらなかった。
「デニスさん。こいつ速すぎます」
魔法使いが震えながら言った。
「みんな。一旦集まりましょう」
デニスがラハマンから距離を取った入り口付近の柱の陰で招集をかける。
ナヴィの顔は暗く険しくもパーティーのもとによる。
まずいわね。必須レベルにも達していない、そのレベルすらの実力もない。このパーティーじゃラハマンに勝つことは不可能……。撤退の助言をしましょう。それに、あたしの体の調子もなんだかおかしいわ。魔力消費以上の疲労感が……。
「あの」
ナヴィが話を切り出そうとした瞬間、デニスが話し始めた。
「一点突破です。全魔力を使って最大火力を同じタイミングで当てましょう」
ナヴィは困惑した。
「ま、待ってください。さっきまで一度も攻撃を当てることができなかった私たちにそんなことが……」
「「分かりました」」
パーティー全員がデニスの意見に賛同した。
え、なんで。自分たちの置かれた状況がわかってないの。
「ナヴィさん安心してください。僕にもとっておきの上級魔法があります」
「あたしの弓も一日一回しか使えない上級スキルがあるわ。それに。この作戦の肝は……」
「君なんだよ、ナヴィさん。僕の盾ではなく君の上級魔法の盾を使ってもらうんだ」
「え、皆さんそれって。デニス様の言ってた作戦……」
「その通りだよナヴィさん。ラハマンはそろそろこの会話が待てずに突っ込んでくるでしょう。そこを君の堅固な盾で防いでもらいその盾に気が向いてる隙を狙って俺たちが最大火力の攻撃で決めます」
そんなことできるわけがない。この人たちにそんな実力はない……。
「それで倒せる保証は」
冷たい目でデニスを睨みつけた。
「大丈夫。何とかします」
またその不気味な笑み。
でも、もしだめだったとしても、逃げることはまだできるかもしれない。協力し合えば何とか外までは出られる。下手に最後まで体力と魔力を使って倒されるよりかはよっぽどましね。
「分かりました。しかし私の盾もそう長くはもちません。合図とともに全力の攻撃をお願いします」
「了解しました。ナヴィさん頼みましたよ」
遠くからラハマンの声が聞こえてきた。
「おい。雑魚ども。お前たちじゃ俺に勝つことはできないぞ。さっさと諦めて出てこい。さすれば苦しみの無い死を授けよう」
デニス達の方からは何も聞こえてこず、苛立つラハマン。
「これだから雑魚は。来ないならこっちから行くぞ!」
猛スピードでデニス達の隠れている柱を壊しにかかった。
その瞬間ナヴィが飛び出し魔力を一気に放出させた。
<イージスの盾!>
分厚いエメラルド色をした大きな盾が召喚された。
「ふ、なかなかの盾じゃないか。だがもって数秒だぞ」
ラハマンの二本の黒刀を使った猛攻にナヴィの盾はだんだんと削られていく。
「くっ、もう少し、もう少し」
作戦ではこの盾が崩れる瞬間後ろの四人で最大火力の攻撃だったはず。よし。今だ!
「皆さん、攻撃を!」
その瞬間ナヴィは時間が止まったかのような感覚に陥った。
え。
なんで。
どうして誰もあたしの後ろにいないの……。
後ろを振り返ったナヴィの盾はラハマンの刀によって砕け散った。
最後までご覧いただきありがとうございました!
第三章 三話 いかがだったでしょうか。
まだまだ仕様がわからないところ多数ですが、もしよろしければ評価、コメント、ブックマークお待ちしております!
ストックは特にありませんがこの先も続けていく予定です。
よろしくお願いします!
一人取り残されたナヴィ。絶体絶命……。




