107.勘
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
王都公認 『案内人適性試験』に臨むナヴィ。
タイムアウトを機に傾く流れ……二人の激闘はまだまだ続く!
『時間になりました。それでは、試合再開!』
スーザン試合再開の合図とともにナターシャがロイに突っ込んでいった。
「何かあるならその前に潰さなきゃ!」
さっきの作戦会議でもケビンさんが言ってたしね……。
「え? 奥の手……ですか?」
「あぁ、おそらくだがあいつらが今のままで終わるとは到底思えない……」
「確かに、もう少し反撃してくるかなとは思っていたのですが」
「それにルナのアドバイスや一回戦で見せた阿吽の呼吸のような息の合った二人のコンビネーションがあまり見られなかった……」
「そ、それはきっと、あたしの攻撃に二人が動揺してたからそれができなかったんじゃ……」
焦りながらも話すナターシャ。
「あぁ、俺も最初はそう思ったんだがな。だが二次試験でルナが見せた動きから考えるに、それを今の時間動揺しきって終わるとは到底思えない」
「……」
「使えない。じゃなくて使いたくない、なのかもしれないな」
「使いたくない……そうしたくない理由が?」
「あぁ、そしてそれが最初の話に戻る」
「奥の手……」
無言で頷くケビン。
「とにかく試合再開後は警戒しながら……とは言いたいが、その奥の手が常時発動型なのか攻撃特化の必殺技なのかはわからない。できればそれを発動される前に叩きに行け」
「分かりました。発動される前に決着をつけろということですね」
「その通りだ。さぁ行ってこい」
「はい」
ケビンさんもかなり警戒していた。あたしにはロイたちにどんな奥の手があるのかは正直も検討もつかない……。だからこそ、ケビンさんの言う通りすぐに決着をつけてやる。
「はぁぁぁぁ!」
「……え! 目を瞑ってる!?」
ロイ、さっきまで防戦一方だったのにどうしてそんなことを……。まぁいい。ならここでそのまま叩き切って試合を終わらせる!
「ロイ、これで終わりよ!」
<フェザーウエイト!>
ナターシャが大鎌の重さを変え振りかざそうとした瞬間、目を瞑って下を向いていたロイの顔がちらりと見えた。
「……笑ってる?」
「行くよ、ルナ……」
「任せて、ロイ君」
<エンパシーオブプリセプション!>
「遅い!」
ロイが技を唱えたその時にはナターシャの大鎌がロイの目と鼻の先の距離にまで近づいていた。
そしてその大鎌が大きな衝撃音とともに振りかざされた。
会場には大量の砂煙が俟った。
「……手ごたえがない」
「いつまで振りかざしたままでいるのかな? ナターシャ」
「え! 後ろ!?」
<ガイアスタンプ!>
巨大化したハンマーがナターシャを叩き飛ばした。
「きゃあ!」
ケビンのいる方へと飛ばされたナターシャ。
「ナターシャ!」
「ケビンさん。だ、大丈夫です。」
大鎌を杖のように扱いゆっくりと立ち上がるナターシャ。体の砂埃を払いロイの方に視線を移す。
「あいつ、いつまで目を瞑って……」
「起き上がったねナターシャ」
「え!? あんたどうして見えてるの?」
「さぁ、勘かな?」
「は、勘……?」
ロイはさっきの技を唱えてからずっと目を瞑っている……。さっきの攻撃を躱したのもそうだけど、必殺技をt勝った瞬間もちらっと見えたけどあの時も目を瞑っていた。
ということはあの砂埃が俟っている中であたしの位置を特定して背後に移動した……?
「安心しなよ。おいらは見えてないよ」
「見えてないって……?」
「うん。さっきも言ったでしょ? 勘だって」
「そ、そんなので納得できるわけないでしょ!」
「あはは、そりゃそうか」
「…でも見えてないなら気配を消しながら攻撃すれば!」
足音を消しながら素早くロイに近づくナターシャ。
「無駄だよ」
ロイはナターシャから的確に距離を空けていく。
「な、なんで」
「あ、視覚を無くしたって言ったのはおいらの話ね」
「おいらって、それどういう意味?」
「<エンパシーオブプリセプション>これは『勘の共感』」
「勘の……共感?」
「今のおいらとルナは一心同体なんだぜ。そして視覚を無くしたおいらの今の目は……」
ロイは大鎌を振るナターシャの攻撃を全て躱し、何度もハンマーを当てた。
「くっ……」
「今のおいらの目は『ルナの目』だ」
「は、はぁ? ……って、消えた!?」
左右をきょろきょろと見渡すナターシャだったがロイの姿は見当たらなかった。
「ナターシャ! 上だ!」
「え?」
「遅いよ、ナターシャ!」
<ガイアスマッシュ!>
「く、きゃぁぁぁ!」
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第九章 十五話 いかがだったでしょうか。
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ロイとルナの奥の手……その本領が発揮されていく。




