102.パートナー
異世界転移をしたパーフェクトガール、北大路ナミことナヴィ。
職業『村人A』
仕事『駆け出し冒険者に、最初のダンジョンの情報を与える』のみ。
王都公認 『案内人適性試験』に臨むナヴィ。
トーナメント一回戦を突破した面々が準決勝に向け特訓を開始する。
ブランとの出会いを思い出すダリウスだが……。
「ダリウス! ダリウス! 何をしている」
「は! ブランさん…… あ、僕は今何を……」
「急にぼーっとし始めてどうした。早く行くぞ」
「ダリウス君行っちゃだめ!」
「ナヴィさん……」
ナヴィさん。どうして対戦相手の僕にそこまで……。
「行っちゃ……だめ……」
なんでそんな泣きそうな顔をしてるんだろう。僕なんて見捨てればいいのに。
「ダリウス」
「『約束』はどうした。対戦相手の案内人に同情されるほど君はまだ弱いんだ。強くなりたいんだろ……? な?」
「強く……」
「ブラン! あんたまたそうやって優しくダリウス君を……」
そうだ、僕は兄さんみたいに……強く……。
二人の間に挟まれていたダリウスがブランの方へゆっくりと歩いていった。
「ダリウス君……」
「いい子だ。ダリウス」
頭をブランに撫でられたダリウスがナヴィのいる方へ振り返る。
「ナヴィさん。あ、ありがとうございます。そしてごめんなさい。僕。強く……強くなりたいんだ……」
泣きそうな顔になりながらもその気持ちを押し殺しナヴィを安心させようと笑顔を見せたダリウス。
「ブランさん。今日もよろしくお願いします」
「あぁ、時間を無駄にした。早く行くぞ」
「……はい」
伸ばしたナヴィの手からダリウスが遠のいていった。
「あの……ナヴィさん? どうされたんですか……?」
「あ……サテラちゃん」
かすれた声でサテラに反応した。
ナヴィの喪失した顔を見たサテラが笑顔で話しかけた。
「おはようございます。 ナヴィさん。私、お腹すきました!」
「そうね、朝ごはん食べましょうか」
その後ナヴィとサテラは宿舎で朝食を取った。
「ハンナさんとエンフィーさんもうそろそろで起きますかね」
「うん、昨日もいろいろ協力してくれてたから疲れがたまってるのかも……もう少し寝かせてあげましょう」
「そうですね。すみません。私のために皆さん……」
「いいのよ気にしないで。当たり前のことなんだから!」
「……」
「……」
な、何だろうこの時間。ていうかあたしがいけないか! さっきの様子見られてきっとサテラちゃんも気を使ってくれてるんだよね……。
「あの!」
「はひ!?」
「あ、すみません……さっきのナヴィさんが見てたのって……あの後ろ姿ダリウスでしたよね?」
「あーそこまで見ちゃってたか……」
「あの、差し支えなければ今朝何があったのか教えていただけませんか?」
明日はもう準決勝だし変な気を使わせたくないな……。サテラちゃんは優しいからきっと考えこんじゃうし。
「ナヴィさん」
「な、なに?」
「ナヴィさんは優しいので、私が明日に集中できるようにするためにはって考えてくれてるんですよね」
「あ、あははばれちゃったか」
「でもそれはナヴィさんも同じですよ?」
「え?」
「戦うのは『私たち』ですから。一人で抱え込まないでください。頼りないかもしれなけど私はナヴィさんのパートナーですから。その気持ちを共有させてください」
「サテラちゃん……うん。ありがとう。サテラちゃんの言う通りだ」
「ナヴィさん……」
「じゃあ順を追って話していくね」
ナヴィは今朝あった一連の流れをサテラに伝えた。
「なるほど……ダリウスは苦しんでいたんですね」
「うん。あたし、本当はどうしていいのかわかんなくて……」
「そうですよね。でも私ダリウスの気持ちすごく分かります」
「え?」
「ダリウスは勇者の弟ととして。私は第一王女として。私たちのような生まれは常に周りの期待や批判を受けながらなんとか自分のプライドを保とうと足掻くんです。だから彼のその何かに縋ってでも強くなりたいって気持ちも痛いほどわかるんです」
「そうだね……」
「でも、今のナヴィさんの話を聞いてよかったって思いました」
「え? 良かった?」
「はい、明日の試合がちゃんと行われるということがです」
「……?」
「そうすれば、明日お客さんにも他のアカデミー生にもナヴィさんがパートナーの方が良かったって証明できますから!」
「サテラちゃん……」
サテラはナヴィに笑顔を見せる。
「私もナヴィさんの言う通り、ブランさんのやり方も、それに縋り付こうとするダリウスも間違っていると思います。だから明日は勝ってそれを二人で言ってやりましょう!」
あたしがこの子を助けなきゃいけないのに助けてもらってばっかりだ。
ナヴィの左頬からすっと涙が落ちた。
「え、ナヴィさん!? なんで泣いてるんですか!」
「ごめんね。なんかもう感極まっちゃってて……あたし大人なのに……サテラちゃんを助けなきゃいけないのに……」
「いいんですよ、パートナーですから……」
ナヴィの鼻をすする音が聞こえたのか二階からエンフィーとハンナが起きてきた。
「ふわぁお姉ちゃん達おはよーって、え!?」
「エンフィーどうしたのー? は!?」
「「なんで泣いてるの!?」」
「あはは、これには深いわけが……」
こうして四人で食卓を囲み二日目の特訓を始めるため店を出た。
「サテラちゃん」
「はい?」
「あたしはね。案内人の最高峰『スーパーアドバイザー』になって勇者のパーティーに入る。そしておじいちゃんの仇である魔王を討つこと。それがあたしの目標。っていうかやらなきゃいけないことなんだ」
「……そうなんですね。でもどうしてそれを今?」
ナヴィはその問いを全力の笑顔でサテラに答えた。
「パートナーだからね!」
「…………はい!」
こうして二日目の特訓に入っていった。
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第九章 十一話 いかがだったでしょうか。
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