なんかいまんぜん
「ほわー、ビックリしました。罠でしたか」
こういう時はアフロを被るんでしたっけ?爆発に耐えたり、お笑いに変えたりするときには必須とかアラバスターが言っていたような?でもアフロ装備の用意出来てませんから煤でも含んで吹きましょうか。
「大丈夫ですか?普通に罠でした様ですので……って、無事みたいですわね」
「今ので、敵、知られた」
「そうですわね。お仲間でしたらこう言った罠を知らされている筈ですし。周囲に注意を払いませんと」
そう言って周囲を警戒しましたが、かなり時間が経っても一向に敵の方が現れません。煙も立ち上っているはずなのですが、なぜでしょう?
「敵と言いますか、モンスターなら沢山やって来ていますが」
「全て、平らげた」
「えっ?これが敵の襲撃だったんでしょうか?」
音に釣られてやって来たと思っていたモンスターですが、これも合わせて敵の罠の様です。美味しかったです。
「ブロワー、出ない。情報、ない」
「これだけの物量を出してブロワーを見かけないなんておかしいですわね。どこかに潜んでいるに違いませんわ」
「う~ん、変ですね」
「どうしました?」
「匂いに人の気配がありません。今確認しても、作ったときの匂いですか?多分それが付着していた感じなんですかね。多分倉庫か物置小屋程度だったんでしょう」
爆発で焦げ臭くなってますが、雨風にさらされた匂いと人の匂いがありますが、最近作られた物だったんでしょうか?
「これだけのことでも、見に来ているブロワーの反応がありませんわ。本当にモンスターの襲撃だけだったみたいです」
「見立て通り、物置、だけど」
「そうですわね。一応見られて困るものが有ったかも知れませんわ。ただの用心の可能性もありますけど」
推論に推論を重ねても結論は出ませんので、知っている人たちを探しましょう。地面に伏せて鼻と両手のワニトロス達で周囲の匂いを嗅ぎます。
「犬猫系のブロワーでよく見る体勢なのだけど、ワニベロスが伏せたら完全にワニの見た目になるわね」
「パペット、大丈夫、か?」
「そう言えばそうですね。口の部分、下顎に親指を入れるタイプのパペットですから、開けた口を地面に付けるようになってますわ。あれで大丈夫ですの?」
先ほど小屋で嗅いだ匂いを発見しました。ちょっと遠いですね。さて、技文字を準備して二人に声をかけるとします。
「道を作るので着いてきて下さい」
「道を作る?」
ガチンッと口を閉じると目の前の地面が消えて穴が開きます。軽く二、三咀嚼する間にワニトロスとワニナノカで更に穴を開けて順々に食べて行きます。
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地面を掘り進んでいったワニベロスさん。
「サイズ、抜けている」
「そうですね。小柄な彼が通れる程度の穴しか開いてませんわね。ギリギリ私はなんとかなりそうですが、あなたは入れませんわよね?」
「無理。地上、追う」
「どこに行くかわかってますのかしら?」
「わからない、探知する」
耳鳴りの様な音を彼が鳴らし始める。その数秒後、ワニベロスが向かった方向なのか指を指し示した。
「あら、戻る方向かしら?」
「いや、邪魔。くる」
そう口にした瞬間、大きな重低音が放たれた。音の音圧に向かってきていた数人が押し返された様子が見える。
「もしかして会話が聞こえていたのかしらね」
「場所、バレた。可能性、だから」
「はあ、あの子は向かった先で精鋭と戦うことになるのかしらね」
「なめてる」
「そうね。あの人数で私たちをどうにか出来ると思っていると言うのは少し軽く見られすぎているわね」
私たちの感より上の人でもいるのでしょう。遠くから監視を行っていたみたいです。まあ20人そこらのブロワー程度で私はともかく、あいつの友人に対して過小評価と言うもの。
「彼女、見た目以上。もう100人、必要」
「その言葉そっくりそのままお返ししますわ」
「……なら200人」
「……まあ、そんなところでしょう」
互いに同じことを思っていたみたい。多分彼の友人と呼べる方達は同じ感想を互い互い思うでしょうね。自分はあいつらよりはましだと。
「はあ、こう考えるってことが染まっている気がして嫌ですわ」
「元から、なんでも」
この程度の人数、すぐに片付けてワニベロスを追いましょう。そのワニベロスをなんとか出来る戦力がどうにかなる前に。
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かなり地面を食べ進んだ後に2人が着いてきていないことに気がつきました。僕の大きさでしか食べ進んでなかったので仕方がないです。彼らでしたら後で追ってきてくれるでしょう。
それで、かなり食べ進めていたら、土からなにやら肉質に変わってきていました。つまり、この島何か変ですね。
「と言ってもやることは変わりないですし、そのまま進みますよ」
「そうだな。食べ進めりゃここの主にも会うだろうからなガシュガシュ」
「かなり早く進みましたからそろそろの……おや、何か喰い破れないものに当たりましたザシュザシュ」
血肉の道を両手と喋りながら進んでいたら、牙が通らない壁が表れて阻まれました。少し文字技能を使用して噛み付いてみてもダメージが通っているか分かりません。
「匂いはこの先ですが困りました。どうしましょう?」
「こうなったら創るしかないなザシュザシュ」
「最近使える技文字が増えてますし、手作業でつくりましょうガシュガシュ」
「そうですね。そうしましょう」
ウインドウを開いて、最近していない手作業生成を用いて使用する文字を選択して、こうなったらいいなの想いを込めて決定します。
「さていきますよ。【暴食万歳】、【二重咬牙】【多合食牙刃】」
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[???:研究室]
「施設内の主要以外の防衛班は揃ったな。今回上陸してきたブロワーは帝国の手の者で、外の組からの情報だとここを突き止めたらしい」
その一言で集まった集団がざわつき始めた。1つ柏手を打つと、ピタッとざわめきは収まる。良くできた集団だ。
「上陸したのは3人。内1人は地面に潜り、後の2人は外の組が抑える手筈だ」
よく分からない機材が置かれているが、既に使用が終わっており壊されても問題がない。つまり囮部屋のこの部屋での戦闘にこちらは被害を考える必要がなく、あちらは証拠を探すため抑える必要が出てくる。故に此方に有利な場所と言える。
「こんな辺鄙な場所に送られてくるなんてついてない奴だねダーリン」
「そうだねハニー。俺たち二人で十分でしょ」
「HAHAHA!このナイスガイ様が一捻りにしてくれるぜ」
仲間達が頼もしい言葉を言ってくれた瞬間、天井から衝撃音が響いた。だが、ここは失敗作がどのような事を起こしても大丈夫な様に全方位の壁や天井、床にいたるまで堅固な材質で覆っている。中頃連中の攻撃程度では破壊不可能でいて部屋の入り口は前方しかない。…………だが、何故か頼もしいはずの仲間の言葉が嫌に前ふりと言うか、フラグのように聞こえるのはなぜなのだろう。
「へっ、天井にぶつかったか。だったらこっちから通る攻撃をしてやるぜ」
「いやん、ダーリンカッコいい~」
「まずは此方からの先制攻撃だ!」
「おい、丈夫だとはいえ不用意に近づくな!」
「大丈夫だ!このナイスガイ様が死ぬわけがな――」
「行くぜ、デッドエン――」
そう言って近づいていった3人の内1人が文字技能を放とうとしたそのとき、何重もの衝撃音が響いた次の瞬間にはブロワーが天井を破りそのまま3人を呑み込んでいった。
「あっ、お邪魔します!あとご馳走さまです!」
「元気いい挨拶だなおい!!」
その姿は悪夢かのように全身血塗れの三首ワニだった。
あっ、1つだけサメだ。




