きんえんさめずらしく
クルミさんが取り出した小型クルーザータイプの船に乗り、目撃情報が有った海域へと向かっています。取り出すときに何度か逡巡して出し入れしてましたが何だったんでしょう?
「近海だと弱いモンスターの生息地しかないからNPCが漁業に出られるくらいには安全だけど、遠くへ出るといきなりモンスターの分布が変わるって言うから少人数だと危険。って話しだったけど」
「どうしました?」
「いや、何でもないわ。続けて頑張ってね」
「はい!とても美味しいです!」
遠洋に出てからと言うものクルーザーへと攻撃するため海面からダツの様な魚や、ゲソの様な触腕が現れるので見かける度にパクっと美味しく食べています。最初の方は二人も対応しようとしていましたが、僕の捕食の方が早くて任せてくれています。
「うぅわっ、エグッ……」
「歯形から、サメの、口。ワニの、口の様、見えるが……。本来なら歯形が出来る、咬み切り方では、ない生物」
「そうね。こう、噛み付いてブチッて千切る印象よね。あんな風に咀嚼するために咬み千切ってる感じではないわ」
お二人が何か言ってるみたいですが、次々現れる御馳走に手を止めている時間がないです。あっ、毒持ちが混ざってたみたいで味変みたいで美味しかったです。
「さっき食べられたやつギルドで見たことがあるわ。解体の時耐性がそこそこあるブロワーでも死んでた記憶があるのだけど」
「その次、鯱、大きさあった。三口、完食」
「正確にはパンチ三発ね」
さすがにクルーザーと同じ大きさの鯱には驚きました。船を沈めるためにブリーチングをしてきたのに驚いて急いで技文字を使って倒しましたが、やり過ぎましたか?貯まっているドロップが屑肉しかありません。ボクの『戦利品黙食』でのアイテム回収は食べた量ではなくて食べ残した量で物が決まるので、急いでいるときは便利ですけどアイテムが少なくなるのは一長一短な所ですね。いつもはアラバスターがキュッとしてくれるので気づきませんでした。
「島、見えてきた」
「あれがいきなり現れた島なのね。隠蔽か作製か。どちらにしてもレベルが高そうなブロワーが居そうだわ」
「モンスターも小型化して、非活動的化してきてます。そう言ったスキルでも設置してるんでしょうか」
飛び込んでくる量が減ったことと船体側に突撃する事がなくなって来たことからそう推測します。もしかしたらある一定の大きさ的な環境要素もありそうです。
「うおるァァァっ!? お前ら何処のモンじゃ我ェ!!」
「見張りでしょうか?」
「水棲型モンスターに騎乗してますね。テイマー系なのかしら」
「飛魚?いや鰡か?どのみち、上陸目的。邪魔してる」
「じゃあ無視しましょうか」
「おいコラ止まれ!ぶっ殺すぞオラァッ!」
海の中から現れたブロワーがこちらに声をあらげてきます。そんな人に対してクルミさんが船の速度を上げて振り切ろうとしますが、向こうの方も速度を上げてついて来ます。
「向こう、若干早い。剥がせない」
「めんどくさいですね。攻撃してきたら敵対者なんですけど、警告だけですし」
「そう言う、ものか?」
「国所属ギルド間となると国毎で制約をかけられることもありますの。所属不明と言って攻撃したら様々な事柄に引っ掛かったなんてこともあるそうです」
「ボクは何処にも所属してませんが」
「あのバカ、受けた依頼、直属の依頼、はず」
「私達が代わりにしているのですが、元々がアラバスターが受けた国家依頼です。なので一時的に帝国所属となります。故に他の国での土地だと明確な侵略行為なのですが、海でただ実験しているだけなどの場合には被害が出てる前に関与すると越権行為と見なされる場合があるのです。領海侵犯なんてものは強力なモンスターには関係ありませんので」
「そう言うものなのですか」
「そう言うものなんですよ。ちなみに所属を言っていないあの方が我々を妨害しても、こちらは正規に依頼を受けているので調査だけを見れば強硬行為は可能です」
「攻撃、しない。調査、可能」
「なるほど」
ちなみに帝国の紋章を掲げているので態々宣告しなくても良いとクルミさんは付け加えました。この船の乗組員は帝国に保証されていると示しているという事で、知っていても知らなくても攻撃されたのなら帝国に対する行為らしいです。そのかわり保証されている分悪逆などを行うと広がるのも早いらしいです。
ようやく見えてきた島はとても大きくて、ネズミ返しの様に反り立ってます。これでは着船できないので強引にでも入れる場所を作りましょう。
「テメェ何する気だゴ━━」
「「「あっ」」」
崖を食い破るために放った技文字の範囲にさっきの彼が割り込んできて、そのまま呑まれて消えてしまいました。これは………?
「セーフ」
「ステータスになにも付いていないのでセーフです」
セーフらしいです。




