TRUTH FOUR
生まれつき僕の嗅覚は特別で、ちょっとした特技を持っている。普段はあまり気にならないが、特定の条件下で気づくとちょっと困ることが良くある。
「よーっす、フカ!待たせたな!」
「はい待ちました。でも今日は30分の遅刻で済みましたね」
「そうなんだよ。今日はなんか目がいきなり覚めてな。いつもならそのまま二度寝しそうなんだけど、なんか怖い夢だったかな?またその夢を見ちゃいそうで起きたんだよ」
「いつもそうなら良いのに」
「ひっでぇな」
待ち合わせしていた友人と一緒に歩きだした。彼が呼んだフカと言うのは僕のあだ名で、和丹深の名前の読みを変えてフカと呼ばれています。
「今日こそオススメの映画を面白いって言わせてやるぞ!」
「いやいや、オススメされた映画って全部BかC級、Z級とかですよね?この前のはいつの間にか解決していたと思ったらもやっとした終わり方でしたし」
「大丈夫だ。今回のサメ映画は大多数が満足したって評判だし、俺も楽しみだ!」
「サメ映画って言ってて、他の皆が来ていない時点で察して下さい。……っと、すいません。少しコンビニに寄らせて貰えますか?」
「良いぞ?いつもの事だし」
会話の最中に僕のお腹が鳴り響いた。良くあることなので二つ返事で了承してくれた友達と一緒に近くのコンビニへ入った。
鳴りやすいお腹の事情でやせの大食いの印象を持たれているので少し恥ずかしい。現実の僕は間食は多いけど定食1つでお腹いっぱいになるから。
「飲み物と少しの物なら奢りますよ。何かありますか?」
「いや~悪いね。朝飯は少し摘まんだだけだから空きっ腹でさ~」
ドリンクコーナーで友人と一緒に物色し始めると、後ろから声を掛けられた。
「すまない。少し退いて貰えないか?」
「あっ、はい。どうぞ」
「ありがとう」
背の高い男性と、天井に頭が近い更に背の高い男性が後ろで待っていたみたいだった。見始めたばっかりだったので先に譲ると、比較的に背の低い男性が経口補水液を四本とエナジードリンクを籠に入れた。
「すごい大きかったですね」
「大人が居るなんて珍しいな。入れた物からするとスポーツでもしてるのかも知れないな」
「ゲーマーかも知れないですよ」
何処かで嗅いだことのある匂いの標準的な背の高い男性が、書籍コーナーで漫画雑誌とゲーム雑誌を数冊籠にいれていたのを見てから自分達の分を籠に入れる。
しかし、この区域で大人の姿を学園外で見るのは珍しく、何かあったのかと考えてしまうけど危険と言うわけではなさそうだ。
「おーい、アイス入れても良いか?」
「朝からアイスですか。まあ、良いですよ。僕は家か帰りがけの時しか━━!?ちょっとそこの物陰に」
「ん?いつものか?」
いきなりの僕の言葉に少しだけ驚いた様子だったけど、いつものことかと素直に従ってくれる。
「異常に興奮した人が入ってきました。これは……」
「おいおい、こんな時に腹を鳴らすなよ」
「すみません。でも、なにか危なそうですから自然に隠れながら様子を見てください」
自動ドアからの匂いで警戒を強くする。入ってきた人物は目深にフードを被っていて、大きめの服で体型がよく分からない。マフポケットに両手を入れていて、なにやら呟いています。この匂いは焦燥と困惑?罪悪感の様な物も?でも傲慢みたいな……。
「あっ、ごめんなさ━━!?」
そんな風に様子を伺っていると児童生徒の子が前を向いていなかったのか、その人物にぶつかり謝った瞬間に捕まれ首にナイフを当てられていた。
「か、か金を出せ、せぃ。ここ、この子が、違うこんな事は、この子がどうなっても━━違う、違う……」
「おい、なんでこの区域にナイフがあるんだ!?カッターやハサミとは違うんだぞ」
「そうですね。基本的に持ち込みも調理場からやこう言った公共スペースに持ち出す事は厳重に注意していたはず。犯罪組織でもあったんでしょうか」
安全に学べるように整備されたこの学術院特区のセキュリティを突破できるなんて……。
幸い僕の支払いはレジスルー対応なので直ぐにでも出ることが出きるのですが、それで刺激して子供が刺されでもしたら。
「おい、逃げるぞ。お前絶対現金派って訳じゃなかったろ。アイツが入り口から意識反らしたら出るぞ」
「でもそれであの子が怪我でも」
「俺らじゃなんもできねぇよ。それに俺とフカの関係する子じゃねぇ」
そう言われるとそうなのでしょう。特区の警備員も優秀なのでもう少ししたら駆けつけると思います。
「それでも━━「ちょっとそこの若人」えっ!?」
「そんなとこでクレーム入れてないるなら先に譲ってくれよ」
僕が悩んでいる瞬間にさっき声を掛けてきた男性が雑誌片手に話しかけていた。もう1人の背の高い男性を無意識に探してしまうと、イートインコーナーで2本目の経口補水液を飲みながらこちらを見ていた。えっと、それ常飲するものじゃないと思うんですが。
「うううるさい!ち近寄るな!危ない、こここの子、来るな!」
「ほら雑誌一冊だけだから直ぐに終わるって」
「だだ黙れ。コレが目に、逃げ、危ないんだぞ」
さっき声を掛けてきた時とは違う飄々とした様子で少しずつ距離を詰めて行っている。そして子供と彼を往復していたナイフが彼に完全に向けた瞬間に大きく一歩踏み出した。
「よいしょ、よいしょぉぉっと」
「ななにして」
雑誌がナイフに刺さった次の時には空ペットボトルで押し込んで、ナイフに雑誌とペットボトルが串刺しになった。そして、
「精神がおかしい。両方」
「ナイスアシスト。……って、両方?」
いつの間にかもう1人の男性が真上から犯人を肩を押さえ込んで、話しかけていた方がすっと犯人の靴紐で両手脚を縛った。
「おっと、俺は警備員の厄介になったらいけないんだった。早くずらかるぞ」
「私は別に」
「他は良いけどこの状況がダメなんだって」
そう言って早足に出ようとした時に雑誌の万引きと間違えられていたが、レシートで誤解が解けた瞬間に走り出していた。
「なんか一瞬だったな」
「さっきの様子、何処かで見たような……」
「知り合いだったのか?」
「いえ、多分漫画かアニメで見たと思います」
「じゃ、改めて映画見に行くか」
予想外のことで更にお腹が鳴ってしまったため、レジ前フードを追加で購入すると食べながら映画館へ脚を運んだ。
そう言えば強盗と対峙したあの人の変化した匂い、やっぱり何処かで嗅いだ記憶が……。
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
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|◎フ <現実世界『学術院特区』について
小学生から高校生、僅かに大学院生が住んでいる地区。最大25歳まで。地区内全てが学校の様なもので、色々と専門の場所も存在している。授業は選択式で週に最低限の数、必要な物を受けていれば良いため、必要なときに必要な数受けることができる。更に専門の免許も取れる為入学する子供は絶えない。
特区内は安心安全安定的に学業を学べるようになっており、専門のスタッフ以外は大人と呼べる人達は町中には居ない。大型遊園地みたいに地下移動が主なため。
アルバイト等の社会経験も行える環境で最低限実力を付けて外に出られる仕組み。学生なら特区からは申請1つで出入り可能で、内部で買えない物の購入などで出入りしている。
安全がモットーの為に刃物の取り扱いは厳しく、銃器はもってのほか。破るとトムやサム、ジョンソンみたいな顔の怖い警備員が無表情にしょっぴいていく。抵抗なんかするとアクション映画ばりの捕り物になる。
このような至れり尽くせりなのに、それでも落ちこぼれて腐って内部外部の犯罪組織の作成や通じる人も出てくるため、少し安全とは言えない。大事になる前に取り押さえられるが、もはやアクション映画。




