アイツーユー
ここで少しばかりの身の上話。書物其処らにある閑話休題。
あるところに家族偏見であってもとてつもなく可愛い女の子が居ました。彼女は生まれつき脚が悪く立てない程。しかし、環境はそう悪くはなく、家族、血縁、家柄、財産、友人と恵まれており何者にも害されることなくスクスクと育つことが出来ました。沢山の愛を与えられ、その分の愛を返すことを心情に生きていましたが身体的不自由により返せる事が少ないことを悩んでいました。
そんな中、ゲームと出会い、曝された事の無い悪意に何度も触れながらも自らの『愛』を武器にすることでブロワーやNPCも増えとても充実した日々を送っていました。そんな中出会ったのは━━━━。
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双子の魔法で鎧の破損が多く、HPもレベル上限プレイヤーの一撃圏内。解放されたのが遅ければあのまま消えていたかもしれない状況で彼女は諦めず、流血する手足を気にする素振りなく立ち上がる。
「さてさて、横槍を入れてみたはいいけど、あのブロワーは私様の手には負えないのにゃ~」
「それならどうして私を助けに来たのですか?渡されたアイテムの損失を度外視しても良いと言っていた気がしますが」
「ん~、何て言うか面白さ?っていうのかさ、折角観客がいるんだから最後は派手にしたいじゃんかにゃ~」
「ふふっ、貴方らしいですね。でもそれも嘘でしょう。語尾、変ですよ」
あからさまに動揺したような言動を取りつつ、嘘を隠し味どころか主菜の様にして喋る変人に対して彼女から小さな笑いが溢れる。彼の言葉や動きには疑わしい物が混ざるが、今ここに彼女を助けに来たことは真実である。
「チッ、お前らは俺達を馬鹿にしてるのか!まだ戦ってるんだぞ!」
「ん?ああ、もうちょっと待ってて貰ってヨロシ?フッ!」
双子から放たれた魔法を彼は【波】系の技文字で強化された、手筒から飛ばした空気弾で乱し当たらないようにする。
「クライマックスなんだからそんな陳腐な技じゃなくてさ、ほらあるでしょキメ技がにゃ~」
「━━ッ。ムカつきますが、お望みとあれば見せてあげましょうか兄さん【比翼の理此此に】」
「そうだね。そんなに欲しいなら【会合経て標先に】」
背中合わせで突き出した左手、右手を合わせて彼女達に照準を合わせる。
「さぁて、クライマックスなのにゃ~。メリーの準備は如何かにゃ~?」
「あ、あの……」
「ん~?なんなのにゃ~?もう少し準備がかかりそうなのかにゃ~?」
「実は私、いまだに第3必殺技が使えないのです……」
「ん?」
「一応存在はしていますが、何かの条件が足らないらしく発動が出来ないんです」
仮面の内で鳩が豆を食らった様になっているであろう
彼は振り向いて、双子に向けて水平にした右手の真ん中に左手の先を当てる。
「ちょっとタイム」
「「待つわけないだろ【双魚宮の流星】」」
彼の一時中断を無視し、黄道武装から放たれると二つが合わさり彼女と彼を中心にした一本の巨大なビームが地面を抉る。第1必殺技と第2必殺技で強化された黄道武装に備わった共通の必殺技━━光線、強化、弱体化の三種の内の日に一回使用できる━━【(星座)宮の流星】の光線を受ければ普通のブロワーでは消滅は免れないだろう。
「く、くそぉっ!?こ、この私が計算を間違える事があるのか?いや無い、反語!」
「なんで生きてるんだテメェ!」
「ん?いや死んでるのにゃ~。ほらHPゲージもすっからかんだし。技文字でちょ~~~~~~っと化かし幽霊だけなのにゃ~」
ほらと双子に見せた手の先が光になってほどけていっている。
「そんな別のゲームみたいに消える訳ないだろ!」
「そうだにゃ~。この状態だとアイテムや他人からの回復が出来ないから、復活できないし干渉できないのにゃ~」
「それに大丈夫です兄さん。私達二人の黄道武装の技を受けてもう1人が生きているわけ無いでしょうし、私達の勝ちです。早く聖典の確保を」
そう言ってアラバスターの方に目を向ける双子。
「そうだった。俺達の勝ちなんだからさっさと聖典を……、お前、なんだそのHPの表示」
「ん?いやんエッチ。って何かおかしいのかにゃ~?」
「おかしいも何も━━」
「普通にHPが1人分マイナスなだけだにゃ~」
「「それは絶対におかしいことだろ」」
普通なら空が最低値となるHPゲージの表示が、削れた表記がマイナスを示している。となれば誰の分のマイナスかと問えば。
「それはいったい……いえ、貴方は【詐欺師】のジョブを持っていましたね」
「そうだにゃ~。【詐欺師】の技能にある【貸借】の応用だにゃ~。まあ、この状態じゃ戦えないアイテムが効かないのにゃ~」
「失敗すれば負けていたと言うのに貴方という人は……」
アイテム袋から椅子を取り出して腰かけるアラバスターにやれやれといった風の彼女。
「そこまでして貴方にメリットが有るのですか?」
「友情、努力、そして大技の均衡からの勝利が観客にはウケるのにゃ~。わっちも君も観客も大喜びなのにゃ~。それに」
「それに?」
「友達に無理を言ったんだから勝利くらいはあげないとにゃ~」
「ふふふふふ、……ほんに口がよろしおすなぁ」
「なにか言ったかにゃ~?」
「いえ、何も」
相手の愛のバロメーターが見える彼女の視界に見える彼の状態に声を漏らしたが、聞き流す彼に呆れながら双子へと視線を向け技文字を口ずさむ。
「ふふ、ふふふふふ」
「うわこわっ。なに?」
「いえ、私に足りないものが埋まった様で、いまなら行けますよ」
「それじゃあシクヨロにゃ~」
そう言って全身から光が舞うようになると一瞬で姿が無くなった。そしてその足元に一冊の本が残り、彼女はそれを拾い上げる。
落ちた本を確認した双子は小さく息を吐く。
「これでようやくウザイのが消えたね」
「さあ、改めて君を倒してその本を貰うよ。【連理の標此此に】」
「それが必要なんだ私たち。【共歩み経て理先に】」
互いにFBワードを発し必殺技の準備をし始めた双子に視線を向け、技文字を八つ呟きながら本をアイテム袋にしまう。
「ふふっ、本当にこんな簡単なことだったなんて。【思いの丈量り得り】【唯一天蓋を狙い定める】」
鎧がダメージを受けて歪み必要な大きさの展開が出来ないため、愛用している弓をアイテム袋から取り出し構えた。第一、第二の必殺技を発動すると弓だけだったはずのそれに光の矢が番われ、放つ光量が増えると共に脈打ち始めていた。
それに対して双子が発動した二対三種の計六種類の高威力の魔法が複雑に絡み合い、その威力を増加させている。
「【交わり重ね織る我らの心に勝る物無し】」
「【個の重いの先に障害在らず】」
ジェミニオン主体のFBワードが彼女に向かって放たれ煌々と色鮮やかに組み合わさったそれに対し、弓に番われ光量が周囲の影を消すほどに輝いた光の矢を射る――その一瞬に全てを飲み込むような闇の色に変わり一条の線を描く。数秒の拮抗もなく魔法の中心を貫くと途中で分かれて双子の肉体を時間差で射抜き、空へと昇った矢は色鮮やかに変わって天に煌めくハートマークを作り出した。
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
」]
|◎フ <三人のFBワードまとめ
ジェミニオン・ラブリンス
【連理の標此此に】【会合経て標先に】
【交わり重ね織る我らの心に勝る物無し】
ジェミニス・ラブリンス
【比翼の理此此に】【共歩み経て理先に】
【(考え中)】
第1必殺技、第2必殺技共にスキル、技文字の限界解除、極大強化、必中効果を次に使う物に付与する。その分消費魔力は大きいが、二人分使用可能なため限定文字を持っていない割に二人いる限りほとんど負けない。
ジェミニオンの第3必殺技は使用可能な魔法を発動、制御して相乗効果を無理やり発生させて強大な魔法を撃ち込む。使用する魔法によっては質量から物量、さらには回復、支援も行える万能技。それ故にジェミニオンとジェミニスの第3必殺技は運用上二人一緒が前提条件。
メリッシティアルマ・イテルルクトゥス
【思いの丈量り得り】【唯一天蓋を狙い定める】
【個の重いの先に障害在らず】
第1必殺技は彼女の感情の思いの量により威力を変動させる矢を生み出す。第2必殺技は重きに置いた感情により貫通力、高度を変化させる。
第3必殺技は事前に八個の愛の技文字を一定期間内に発動したのち、思いと感情を鍵に相手の攻撃を吸収し、確実に仕留める。吸収する量はその時に作用される。魔力、体力などをぎりぎりまで消費するため継戦能力は一気に下がる。
〝章題〟
3.Us Loving Please (Imao)
〝終了〟




