アカキアイシュウト
「それで俺っちに何の用?中身によっては問答無用、それが理解出来る頭は入り用?」
軽快なステップと共に近づいて後ろ回し蹴りを当てようとしたが、意図が読まれていたようで手持ちサイズのギロチン台で止められた。黒檀よりも黒い木で枠が組まれていてそんじょそこらの木と言うわけではないらしい。
「済まない。君の行動が私が探している奴に似ていた故に一度攻撃をしてみた」
「Heyユー、俺っちと行動似ている、可笑しくしている、変な奴知っている?」
「知っているか、か。忘れてやるものか……、あいつは俺の故郷と言える村を――」
「ちょっと、彼がなにか意味深な事を語ろうとしてるのになに読んでるんですか!」
「こいつは悪の所業、事業のファイル。感じとれよ邪悪なフィール。公開すれば後悔のホール。トカゲ本体釣り上げるためのルアーとリール。俺っち用事あるからユーへフォール」
奥から取ってきて貰ったこの店に連なる連中の裏帳簿や手紙を髑髏の彼に投げ渡す。脚を踏み鳴らすとターンを決めて前蹴り、はやはり防がれたので膝のバネで壁へと跳ぶ。壁際のアイテムはまだ取ってないので後ろ手に探りながら回収する。
「このままの性格、正鵠射ない、決定打見当たらない。この貸し貸しとく覚えて、ろっ!!」
「壁壊して出て行ったぁぁぁ!?」
隣もここの持ち物なので遠慮無く風穴開け突き抜けて通りに転がり出る。周囲に人が居ないことを確認して城壁に向かい走る。
「居たぞ!こっちだ!」
「足止めが得意な奴らを呼んでこい!」
「ニィちゃん返すもん耳揃えて出して貰うで!」
「スッゾコラァッ!」
「きゃぁぁぁぁ!誰かぁ、誰か男の人呼んでぇっ!」
「ちょっと変な声出さないでくださいよ!」
「え?ちょっと助けの声出したら誰か来ないかなってさ。助けてぇぇ!怪人、怪物、怪獣よぉぉぉ!!」
そんな事をしながら追いかけてくる連中の攻撃を背中側から【音響波】を撃ち、迫る魔法や投擲物を弾き、回避、跳ね返しながら走って居ると前の建物の角から人影が現れた。
「うわっ、回り込まれた……ってやべぇの引いた!!」
「あ、本当ですね」
「━━━━………」
その姿が解る距離になると、その赤い戦闘服姿が今の俺に対してヤバい対象である。まあ祭りだしブロワーの何かしらあるかもとポロっと言ってみたから何人かが来ているだろうと思ったけど、ヤツも来ていたとは想定外だよ
「今のアラバスターさん端から見ると女性を拐ってる骸骨怪人ですもんね」
「回れ右して関われ皆!」
煙管に息を吹き込み火皿と共に仮面の隙間から煙を大量に吐き出し、往年のトンネルを通り抜けた後の蒸気機関車の様に煙を纏いながら追手のブロワーの群れに飛び込む。それと同時に嘘と煙玉を転がし煙の量を嵩増しして屋根の上や脇道に居た連中も巻き込む。反転して突っ込んできた俺に一瞬反応が遅れたため、文字通り煙に巻かれて集団が混乱に陥る。
「反応が遅れた!どこ行ったアイツ!」
「ちょっと、足踏まないでよ!」
「うわっ、誰だケツ触った奴!」
「イテッ、誰だこの突起!危ないだろ!」
「犯人を見た奴声上げろ!」
ごちゃごちゃと互いの動きで阻害されままならない状態で俺を把握しようとするが、追跡を消す効果のある煙幕に毒煙が風のスキルや技文字で晴れないため力業で消えるまで時間をかけた。
その間赤いアイツは俺の姿を見た瞬間に取った構えのままで煙を睨んでいる。アイツは怪獣や怪人等を問答無用に叩きのめすヒーローをモチーフにして狂戦士。一度目に入った奴は逃さないつもりだろうが、
「な、なんじゃこりゃぁぁぁ!?」
「ちょっと待って、姿が変化しているの?」
「こりゃ幻覚とか幻とかそんなちゃちなもんじゃねぇぞ」
「なんだこの状態異常の怪変化って、始めて見る奴だぞ!」
「なんでナメクジなのぉ!なるなら可愛い方が良かったのぉ!」
「待て!今そんな事を言っている場合じ━━ぐぁっ?!」
煙が晴れた時にその場所に居たのは同じブロワーの姿ではなく、怪獣や怪人の姿ばかり。そして冷静に現状を忠告しようとした一人に赤い蹴りが突き刺さる。
「答えは明快、性能は愉快、提供は『H&Hインダストリアル‐ヴィラン協会‐』。これは彼らの太鼓判、研究成果の改良版、ランダムに起こすぜ変幻自在」
「な、なんて物を作っているんだあの連中!ぎゃっ!?」
「くそっ、怪獣を前にしたこいつからは逃げられないとかじゃ、ぐぅっ」
赤いアイツが乱闘を開始し、殴る蹴る叩くジャーマンした後に怪獣となったブロワーの1人をヘッドロックしたときに今回始めて声を上げた。
「【ロッソ・コンバッテレ】!!」
「やめろ!俺らの元の姿知ってるだろ!」
「無駄だ!スイッチが入ったそいつは怪物しか頭にない!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
屋根に伏せて隠れて覗いていたが、俺が紛れている可能性なのかキャラ的に行動しているのか解らないがラッタロッサは全力で変化した怪物達を襲っている。そして技文字を発動した効果なのか彼の周囲の環境が変化してどこかの見覚えのある石切り場になっているのが、屋根の上から見ていると境目からくっきりはっきり見えている。あ、怪物一人が投げられる瞬間に崖上に数秒変化して落ちていき、その次には竹林に変わっていた。……崖下に落ちた人多分お守り持っているだろうから死ななかったはずなのだが、場面が変わったら消えていた。どこに行ったんだろう。
でもまああの連中はヤツに任せておいて屋根をシャカシャカと這ってその場を離れ、別の通りへと音を消しながら降りる。城壁に向かうためその方向を向くと複数人のブロワーと目が合う。一瞬硬直したが意識を戻して声を上げ始めた。
「こっちに居たぞ!」
「あれ?なんでバレてんだ?」
「バイブスマスクさん、持ってるもの忘れてませんか?」
「ん?あ、映像用のこいつか」
腕の1つに握らせていた映像用魔物にマイクロ波を当て、膨らみ始めたところで迫ってくるブロワーへ投げると中身をぶちまけて周囲を熱い血潮で塗りつぶす。見た目的にグロく小籠包の中身ばりに熱いが追ってくる方が悪いんだぞ。もだえるブロワー達の姿を視界から外して裏路地へ逃げ込む。




