タンタンコウサク
『謝肉祭』のメンバーが去ってから一時間ぐらいを四人で某デカいチェスで潰してから、戻って来る、又は聞き付ける事が出来ない距離にいると仮定してダンジョンに乗り込む事にする。
事前の情報によると廃坑型は道が決まっており、横道を掘ることで資源を得る。そしてその横道はゲーム時間で0時を回ると目に見える速度で修復される。
そんなダンジョン内を拠点としている襲撃者たちを排除する。と言うかひっ捕らえ牢獄に入れることでレヌネアの炭鉱夫にしてしまおうというのがジュリアの考えで既にそう言った手筈をダンジョンに課している。一応ここの扱いが主要国地下ダンジョンに近しい設定なので国主であるジュリアが設定を追加できるみたいだ。と言うか奪われている状態だとそれくらいしかできなくて、聞いたところ万全だと皇帝が俺にしているように個別にペナルティやそれの軽減、坑道内の監視、元の道を壊さない程度だったら掘った道の固定や大部屋が作れるらしい。それで先々代のヒューマリアン国主の時に作った中継地点などがあるようでそこに賊が溜まっているんじゃないかと地図を貰っている。
「で、どうするんだ?貰った地図によると入り口はあそこしかないようだが……」
「その地図って先々代の人が作成した地図ですよね。普通に考えてみればその地図が敵の手に渡ったりとか考えていますよね?」
「そうですね。見たところ出入りする人がないと言うことは他に出入口があって、それを載せてないと言ったこともしているでしょう」
「なるほどな。馬鹿正直に正面から侵入した奴らを他の出入り口から入った連中が不意打ちってこともできるってわけだ」
「では、少し探って別の入り口を探しましょう。使用している彼らが知らない、または見張るほどではない場所もあることでしょう」
「俺らは普通の連中より鼻が利くから基本的に俺たちが探すぜガシュガシュ」
「ブロワーもヒューマリアンも自然の中では異物ですから匂いを探れるでしょうザシュザシュ」
「では私たちは巧妙に隠されているかもしれない方に注意を払っておきます。アラバスターもそれでいいでしょう?」
そうメリーが俺に話しかけたが止まった姿のまま返事を返さない。
「おい、どうしたよアラバスター。聴いてたか?」
「意味ないですよ」
「あ?ここにいるんだから姿隠して近くにいるんだろ。おい、アラバスター」
「いえ、アラバスターなら先に行きましたよ。近くにいないので喋れないんでしょう。アラバスターの匂いが入口の方に伸びてますし」
「わかってたんなら先に言えよ!いつからいなかったんだ?」
「えっとたしか説明が終わった時にはもうすでに動き出していましたね」
「うっ……、ワシらにはあいつの真似は出来ないからな。まあいい、ワシらはワシらで行くぞ」
三人は俺の幻影を残したまま侵入経路を探し始めた。うん。先に侵入するっていい忘れてたから戻ったけど別に大丈夫だったな。
幻影を入り口を眺めた格好に変え森林偽装服を着せた囮にして、俺は姿を隠したまま正面から侵入する。ザルいな。
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貰っていた地図と道筋を照らし合わせながら、ダンジョンの中に残っていた気の抜けた炭酸どもをアンブッシュして幻影に変えて進んでいると1つ目の休憩所に着いた。
鉄製の扉が付いていて開けると重い音が響きそうだ。用心のため扉に耳を付けて【波響探索】を使うと……ああ、駄目だな。ちょっと騙せない相手が待ち構えているのでバレるの前提で幻を掛けて侵入する。そしてその中に居たのは全力でリコーダーを鳴り響かせるブロワー。
「ふぅ~、今日もいい音だったZE!みんなも聞いてくれてサンクスだZE!」
ファンタジーでよく見る酒場のようなデザインの中継地点のステージで演奏していたブロワーにノリのいい周囲の連中が声援を送っている。いい感じに視線が一点に集中しているのでこそっと殺れそうなんだが、さすがにここに詰めている連中を一息にできるわけが無く、完璧に気づかれて複数人に囲まれてのことで騒ぎになりそうなので通り抜けたいところだが。
「で、そこに隠れて居るのは誰なんだYO!」
そうステージ上のブロワーがこちらに向けた指を鳴らすと部屋の明かりが落ち、次の瞬間俺の周りがスポットライトを浴びたかのように明るくなり隠れて居た俺の姿が暴き出された。
「えぇ~っと、お届け物の指定された場所はここでいいのでしょうか?食料の配送と言うことで伺っておりますが……」
「Oh~!配送屋さんなのNE。But、でもここには頼んだ人がいると聞いてないYO。配送場所か君の間違いじゃないのかNA?」
「そ、そんな……、ここまで運んだのに……。じゃあ、貴方でもいいですのでここに配送間違い手続きの判子をこことここと……」
「HiHi、それならお安い御用ですYO」
「あとははこことこことここと、あとここここここ「いや、押印が多いN!!」
「「ハッ!?」」
縦じまの現実の配送服を映して反応を伺おうかと思ったら、先ほどと同じようなノリで俺のボケを理解して乗ってくれた。目の前に敵がいてもこうノリがよくてテンポが良いと更にボケたくなる。
「くそっ、何故バレたか知らないが、この人数ではこっちがやられる。だから、お前に任せて先に行く!」
「良しわかったZE!お前はその間に配達を……って私は敵!!見逃してやらねーYO。こっから先は私が父さん」
「そこをなんとか、許して下さい。私には、私にはこの道しかないんです。だから……認めて下さい音緒さん!」
「認めん!昔父さんが通さん案件が通さんといかん物だった事で父さんの会社が倒産して相当散見される状況に「もう“とうさん”のバーゲンセール!!」
「オチに行くまでが長い!しかもネタを混ぜるな!」
笑いに厳しい観客が痺れを切らして俺に斬りかかってきた。おお怖い怖い。だが、既に俺は移動しており残していた幻を素通りするだけ。
「だから通さないって言ってるだRO!」
「ふ~ぅ!さすが良く見てる。いや、良く聞いてるって言った方がいいかNA?」
「ふふん、さすがにわかられて「話を進める前に全身真っ黒な事にツッコミを入れろよな!」
空気の爆発で消していた姿が炙り出された。その姿はとある犯人の様だ。なぜなら幻を囮にこっそりと先に進むのを感知されているのはわかっているので、目と口以外の全身を黒が無双したハゲの姿を身に纏って居たからだ。で姿を現した俺にツッコミ君が早速入れてくれた。
「改めて名乗り合おうじゃないかにゃ~」
「誰が名乗るか。そんな事する奴はバカだろ」
「私は【演奏家】LBS・プレス。気軽にエルビスと呼んでくれてもいいYO」
「拙者は【一般人】タナカラボ・タモチ。ちなみに嘘にゃ~」
「いざ尋常NI」
「いざいざ?」
ツッコミを入れていたブロワーがバカを見る目でこちらを見ている。
「【開演】」
「うゎお!?」
技文字により、複数の楽器がエルビスの周囲に広がり奏で始める。それと同時に手にしているリコーダーで指揮をとり始めた。
それにより色づき、形作られた音が俺を目指して飛んできはじめた。




