ヘロゥウィーヌ
10月なので、ちなんで
そんなこんなで、
「あそこがジュリアが言っていた賊が居座っているレヌネア所有の採掘型ダンジョン━━通称廃坑ダンジョンだにゃ~。今回は敵が未知数と言うことなのでフェリックスは街で待機なのにゃ~」
「どこを見て喋っているんですか?アラバスター」
「いや、単なる導入ごっこだにゃ~」
明後日の方向を向き説明をしているとワニちゃんからツッコミが入った。ただの遊びで本当になんでもない。
「ブロワーばかりだな。話によるとあそこの鉱石やモンスター素材を売って装備を整えて、時々レヌネアを襲っているってことだったな」
「そうです。やはり『愛』が足りないので襲う事で満たそうとしているのでしょう」
「いやいや、普通にレベル上げとか死んでも生き返るから特攻して遊んでるとかだろガシュガシュ」
「何も持たずここを復活拠点にしていれば何度でも戦えますからねザシュザシュ」
「それにしても横流しするための組織は何処なんでしょうか?」
「普通に運び屋クランだと思うにゃ~。あそこは信用が……あっ」
「どうしたアラバスター。腹でも壊したか?」
「いや、普通じゃなかったのにゃ~。あそこを見るにゃ~」
俺が指を指した方向に全員が双眼鏡を向ける。
「あ、ごめんにゃ~。素で嘘吐いたにゃ~。逆のあそこにゃ~」
「素で嘘吐くなや!……って、本当に普通じゃねえじゃねえか」
「えっと、アラバスター。普通じゃないってあの分数が書かれた全身を覆っているコートの人達の事を言っているんですよね?」
「そうだにゃ~。メリーとロゥリコンは知ってるみたいだし、ワニちゃんに優しく説明をしてあげるにゃ~。あれは拙僧が未だにレベル300台だった頃……まあそんな近い時では無かった時の話にゃ~」
ホワンホワンアラバスター(回想導入音)……。
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そう、あれは確か拙僧が巨大毒象を討伐し終えた後の頃。王国で『赤月の鉄騎兵団』のアネゴの優しさで鍛冶屋を教えて貰ったのを皇帝に自慢したら叩き込まれた色物鍛冶屋での注文を終え、ブラブラしていた頃の時だった。壊れてしまった楽器の修復の時間が開いてしまったので、手持ち無沙汰で道端に落ちていた爆弾を拾っては解体するのを繰り返していた。
「な~んか、城下が騒がしいのにゃ~。分数のフードが目に付くにゃ~」
23個目の解体が終わり見つけた24個目に取りかかろうとした━━え?なんで爆弾を解体できるのかって?いや、別にそんな特別な特筆するべきことじゃなくてね、え、説明をしろと。はいはい、あれは友人αからDLしたはいいが詰まらないと投げ込んできた『レジェンドジラフ』と言うパケに動物たちが戦う……説明は略せと。まあ、そのゲームの冒頭で答えるアンケと脳波で選り分けられた先がリアルな暗殺者ゲームでそこでなんやかんやして覚えたプレイヤースキルだ。━━でだ、24個目に取り掛かった時に分数フードの二人組に声を、いやその片方に声を掛けられた。
「お、おおおおお、お前っ!爆弾の反応が消えていくと思ったらお前が壊していたのか!」
「ん~?ああ、この玩具箱にゃ~。そこらに放置されてたから危ないと思って回収してたのにゃ~」
「それは明日の為に仕掛けて……いや、私が考え抜いて作った爆弾をそんな簡単に!?」
4/13と書かれた方と10/30と書かれた二人組。その4/13の方が叫んでいた。
「いやいや、現代のC4系統の物や振動感知式に比べたら子供の玩具箱のこれなんて頭の体操にもならないのにゃ~」
「くっそムカつくじゃないの!」
「おんや~?そんな『南瓜』なんて投げてどうしたのかにゃ~」
懐から取り出した小型の南瓜型の何かを沢山こちらに投げて来たが、全て落ちた拍子に割れて種を飛び散っていった。
「はあっ?おい、別の奴寄越せ」
「ダメだね」
「ああ?ケチ臭いこと言うなよ」
「違う。私の南瓜爆弾が全部ただの南瓜になってる」
「はあ?……!?まさか」
そう言ってこちらを睨んできたと思ったら顔を歪めあからさまな怒りの表情になった。その瞬間俺の首に剣が突きつけられていた。
「おやおや、なにやら物騒な物を突きつけて来て怖いのにゃ~」
「煩い!お前か!お前が私の【嘘】の限定文字を盗ったのか!」
「人聞きの悪いことを言うのはよすにゃ~。それに【嘘】なんて持ってないにゃ~」
「嘘を吐くな!私の鑑定できっちり持っていることはわかっている!」
「え?欲しいのにゃ~?こんなレベルが上がってもステータスが上がらない技文字いるのかにゃ~」
「吐いたな!ほら持っているじゃないか!」
「ああ、うん。持ってる持ってるにゃ~。騙して偽って騙って欺いたら取れたのにゃ~。少しの間使用不可だったけどにゃ~」
「キー!!何よアンタ!発言が一貫してないの大人としてどうなのよ!」
「大人として体重はそんなに軽すぎるわけはないのにゃ~」
「私は!発言って!言ったのよ!」
「まあまあ、相手のペースに乗せられてるよ」
激昂して地団駄をお手本の様に踏んでいて、それをもう片方が宥めているのを取り出した吹き戻し笛をぴ~ひょろろと吹いて手遊びをしながら待つ。ある程度落ち着いたところで怒っていた方のフードが着ていたそれを取り払うと白と赤色のチェック柄吊りスカートを基準にしたゴシック装備のアバターが日の下に表れる。
「あー、もう決めた。【嘘】が取れなかった怒りをぶつけるために爆弾を置いてたけど、このエイプリルがアンタが泣いて放棄するまで叩きのめしてあげるわ!」
「えー……、なんでそうなるかなぁ?まあ、私は汎用性が高い文字だから苦労しなかったけど、あとちょっとって言ってた限定文字を取られる気持ちはわかるから手伝ってあげちゃう」
「『謝肉祭』、4月組筆頭エイプリル・フール」
「『謝肉祭』、10月組筆頭ハロウィン・フェス」
「「今後ともよろしくお願いします」しなくていいわ」
「こんな嘘つきを追いかけるのはよした方がいいのにゃ~」
もう片方もフードを脱ぎ黄色と黒をベースにしたカボチャとお化けをモチーフにした仮装装備を表し、口上を上げながら武器を振りかぶって襲ってきた。俺は用意していた毒混ぜ煙幕をさっきから遊んでいた【思い増える吹き戻し】の中に吹き込むと分かれていた又の先から増量された煙幕が周囲を包み込む。
「げほげほ、私たちにこの程度の毒が効くものか!くそっ、追うよ!」
「待って!一応この煙幕を吹き飛ばして……ああ、もう!」
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「まあ、こんな因縁で発見されるたびに追われているのにゃ~」
詐欺技能の【写影】で煙で作った膜に映していた像を消す。
「へぇ~、あの人たちが『謝肉祭』の構成員なんですか」
「つまりあの分数は日付です。それでいて分子のほうが4と7と言うことは、エイプリルさんが混ざっているかもしれないですね」
「見つからないようにしたいのにゃ~」
「でどこまでが嘘なんですか?」
「巨大毒象の討伐後と皇帝に叩き込まれた色物鍛冶屋ってとこにゃ~」
眺めていると定期報告なのか、搬入だけなのか袋を渡してすぐにダンジョンから離れていった。
また戻ってくる可能性を見越して少し待っていたら、ロゥリコンが口を開いた。
「なあ、……あのあとあの二人どうしたんだ?」
「ん?あのあとは、煙幕から逃がした偽物の我輩に追いついた二人を偽物に詰め込んだ俺が改造したエイプリル製爆弾で吹き飛ばしたのにゃ~」
「えげつねえ」
「ん?ああ、それで嘘吐きを追うのは止めた方がいいと言ったんですね」
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
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|◎フ <クラン『謝肉祭』について
裏稼業の万事屋業を営む名前通りのクラン。好きなところにどこにでもいる。
名前被りが多いクランだが
1月組から12月組で部隊が分かれておりそれぞれの誕生日が書かれた体を全部覆うフード付きポンチョを着ている。クランリーダーと部隊筆頭も同じ物を着ていて、正体を隠すスキルを付与しているので脱ぐまでだれかわからない上に、顔が割れてないことから威を借る様に振る舞うメンバーもいる。そして同音の技文字をそれぞれ持っているので傍目からは正体を判別できない。
それでも筆頭は決まっておりそのイベントの名前を正式に名乗れるのはその人だけ。そして筆頭の意見には都合が悪くない限り従うことを徹底せている。バカ一人で祭りがおジャンになるのはつまらないからね。そしてゲーム内4クールごとに一回下剋上チャンスがある。
まあ季節イベントごとにそれぞれの筆頭が暴れまくるので何人か出禁になってるイベントがある。バレンタインとか。
クランリーダー
『ハッピー・バースデイ』
副リーダー
『エンドレス・ホリデイ』
クラン指標
「テロでも奉仕でも楽しく好きなようにカーニヴァルだヨッ」
後日談
「ほら、煙幕の方を潰してからのほうが良かったでしょ」
「あー!もうむかつくむかつくむかつく!必ずギッタンギッタンにしてやる!行くわよ!」
「……エイプリルって筆頭だけど直情的だから騙されやすいんだよね。まあそれも四月バカってことかな」
「いたわね!覚悟ギャーッ!?」
以後自分の仕掛けた爆弾に掛けられたアラバスターの幻影に襲い掛かり自分で処理を繰り返していくことに……。




