アクラツシリョウ
もう年明けですが、寒さとクリスマスイベで執筆滞りました
ほとんど無限と言う程にワニベロスに食べられても次々出てくるゾンビたちの中から、本来の武器であろうレイピアで突っつきながらで攻撃しているがワニベロスの皮膚を突破できていない。
それに対してゾンビに群がられているワニベロスはその対処をしているが、尽きないゾンビの間柄攻撃を行っている元ブルーへ行えないから元ブルーの攻撃は皮膚で受けている。
全体で見ればワニベロスが劣勢に見えるが一進一退もしていない状況で千日手よりどちらかの疲弊での油断が勝負を分けるのだろう。……普通の状況なら。
「うげっ!?」
「なんだっ!?」
「身体が!!」
「ようやく効いてきたか。ここまで与えないと効力を発揮しないなんて大喰らい過ぎるぞ」
いきなりワニベロスの身体が倒れその上にゾンビが群がるが、その皮膚や装備には爪も歯も食い込まず、逆に折れていっているが上に上にと重なっていき総重量で動きを封じられた。元ブルーの取った戦法が攻撃にはもちろんゾンビや空気にも毒を混ぜて行動を行うことで相手に積極的に毒を与える方法だったのだろう。それに引っかかったワニベロスは積極的に大量の毒を取り込むことになって動けなくなったというわけだ。
「さて、騒がしくしてすみませんお嬢様。もうすぐすべて静かになりますから」
「そのお嬢様をやめてくれないか。私はそんなタイプではなくそう言われたくはない」
「いえ、貴方はお嬢様ですよ。まぎれもなく、そのお顔、そのお声まさしくお嬢様なのです」
「くっ、お前は誰を見ている。その目の中には私は映ってない。私はお前が見るお嬢様ではない!」
拘束を外そうと藻掻くが強力な物のようでベスタのステータスでも軋む事もなく身をよじるだけになっている。サポートに徹していた死霊使いが作業が終わったのか振り向きベスタを見て喉から声を出すように笑う。
「ひっひひ、そいつは見てきたブロワーの連中より突飛に頭がおかしい部類だ。私の作戦を試すために揃えてもらったが、必要以上に私も話をしたくないヤツだ」
「そんな準備をしてお前たちは何がしたいんだ!」
「ふんっ、そんなこと言うわけないだろう。まあ、私のは言えないが、そいつの目的なら訊ねれば答えてくれるだろうさ」
「……お前の目的はなんだ」
「俺の目的が知りたいんですねお嬢様!」
死霊使いの言葉を疑いながら恐る恐る訊ねてみると弾むような声でベスタの言葉に応える。聴いて置いてその反応に顔を顰めるがベスタを見ているようで見ていない元ブルーは気にせずに話し始めた。
「どうします?謳います?いろいろな場所に行くために吟遊詩人のジョブを持っていますから。くどい?そうですよね。ではどこから話しましょうか。あれは俺が別の世界の話です」
「別の世界……」
その言葉を聞いた瞬間さらに顔を顰める。それに構わず元ブルーは口を止めない。
「その世界は愛を奪いあう世界だった。そんな中でお嬢様は他の人より輝いた人だった。でもそのそばにはお嬢様の心を弄ぶクソ野郎がいて俺は近づけなかった。俺は何としてもお嬢様のそばに並ぶためにありとあらゆることをし、そのクソ野郎を排除するべく動いたがそのすべてが失敗に終わった」
「殺伐としてますねその世界。愛を奪いあうとか止めた方がいいですよ」
埋もれたワニベロスから真理の一言が発せられるが、愛の奪い合いになれた愛乞食の耳には届かない。攻略対象の愛を大量に所持しているプレイヤーの言葉に耳を傾けても意味がないため、大半のプレイヤーの耳は腐り落ちている。は?耳に愛が詰まってるから聞こえないのでわかりません理論である。
「そして漸く奴の悪行の隙を突き奴を殺したのだが、すでにお嬢様はクソ野郎に洗脳されており俺の言葉が届かなかったのです。そのあともお嬢様の場所に通ったが思いは届かずクソ野郎に穢されてしまったと気づき、俺は諦めて他の世界に旅に出ました。そうして幾世界を旅してこの世界で出会ったのです!あなたというお嬢様を!」
「私はお嬢様ではない。お前が求めるお嬢様ではない!」
「いいえあなたはお嬢様ですよ。声が似て、顔が似て、体形が似ていればそれはすでにお嬢様なのです」
ベスタの表面、そしてお嬢様の表面しか見ていない元ブルーの目から頭がオカシイ感じを受けたベスタの顔がさらに曇る。思いを吐き出した元ブルーは近くにあった椅子に座り魔力回復の水薬を呷り嚥下する。そしてベスタの顔を眺め始めた。
「あとは中身をお嬢様に変えるだけですね」
「……なっ!?お前!!」
「そう!あと一つ!中身を変えることで俺のお嬢様になる。そのために死霊使いの彼に俺は強力したのですよお嬢様」
「間違っている!そんなもの紛い物の人形を得るためだけのためにこんなことをしでかしたのですか!」
「間違ってなどいない!お嬢様はあのクソ野郎のせいで俺の物にならなかった。だからほかのお嬢様を俺の物にするんだ!あの可憐で、白百合のような優しく美しい、触ると折れてしまいそうな儚さも持つお嬢様を!」
椅子から立ち上がりレイピアを構えると技文字を発動したのか刃が染まる。その剣先はベスタの胸へ突き刺さる。その突き刺さった先から周りへ痣が広がり始め、その度に体を跳ねさせ……。
「意義あり!!」
レイピアが突き刺さったベスタの身体が消え、代わりにその剣先は変わりにハンドベルが刺さっており甲高い鐘のような音と共にレイピアが真ん中から折れた。




