ワニクライデス
アラバスターの匂いを追って、水路内をあちらこちらと彷徨いながら出会うゾンビを倒していると少しだけ大きい扉の前で匂いが消えていました。扉に向かって左右と後ろの方、あと上下にも匂いが続いていません。
「おかしいですね?ここからプツンと匂いが切れました」
「扉の中に入ったんじゃねえのかガシュガシュ」
「水路の方に匂いがないならそうなんじゃないの?ザシュザシュ」
「でもアラバスターだから違うと思うけど、まあとりあえず突入したらわかることでしょう」
扉をノックしてから部屋のなかに入る。間違いだと行けませんからキチンと確認してから入ります。礼儀です。
「お邪魔します」
開けた瞬間に水魔法みたいな攻撃がやってきて、危ないので全部食べておく。思った通り毒の液体みたいで少し口がピリッとした。毒に対してこの前のことがあったから対策として【悪食胃大】を作ったので、まずいと言うことはなく香辛料程度にまでに刺激が落ちています。
「敵の本拠地にノックして入る奴がいるかぁぁぁぁ!!」
「あっ、ベスタさん居ました! おーい!」
「普通は忍び込むものだろぉぉぉ!!」
中には噴水のようなインテリアと壁に十字に貼り付けられているベスタさんが元気に叫んでいます。兜を取られている以外なにもなくて何よりです。
その近くに裏切りの元スラッシュブルーが居ます。他には……。
「危ないですよ。いきなり襲ってくると判断が付かないんですからね」
扉横に配置していた感じの大きいゾンビだった腰からと肘から先を残して転がりました。ゾンビだとダメですね。こう、もにょもにょとする感じがするのが若干おいしくない。
「その程度の死霊ではダメか。ブロワーと言うものは力量の差が激しすぎる」
「逃げたかと思ったがここにたどり着いたか。だが、生身じゃあ俺の相手はできないぜ」
「この者らは君のレベルでは敵わない。他の者を呼んで、いや、逃げろ!」
ベスタさんの他にかなり匂う二人とは別に生きていない匂いが沢山しますね。なんかここにふさわしくないきちんとした皮張りの椅子に座って、フードで顔を隠した人からたくさんの匂いがします。周囲には姿が見えないから伏兵として召喚できるってことなのでしょうか?前にモンスターを召喚していた人がいましたが、あれは今の状況とは異なりますから参考にできませんね。アラバスターなら別のゲーム知識で補うかもしれないですけど僕には無理なんですよね。
それにしてもアラバスターがいませんね。部屋のなかにも匂いがしないからどこに行っているのでしょう。
「と言うか各々で喋られると話の筋が分からなくなりますね」
「考察、慢心、心配。それぞれ喋るとどれに反応していいか困るなガシュガシュ」
「私たちの身体は一つしかないのですから三つ共に反応することはできないですよザシュザシュ」
「呑気に会話している場合ではないだろう。早く支部のブロワーを呼んで」
「無理でしょうね。背を向けず逃げても物量で抑え込まれそうですザシュザシュ」
「俺の技文字が分からなければついさっきの様に動けなくなってなぶり殺し確定なんだよ」
「まあ、だいたい技文字の候補はついているからどうにでもなるんだよガシュガシュ」
「そこのブロワーから聞いてはいたが自由に力が選べる、最初から初期限界が見えていると言うのはアドバンテージになる。そしてその者の性格から多岐に渡ると言うのが難点だな」
「そうですね。僕みたいな感じは珍しいと案内役が言っていましたし、アラバスターみたいな人もいますから一概にこう強いって言えないですね」
「「「……あれ?頭が三つあるから意外と対応できましたね」ガシュガシュ」ザシュザシュ」
そう言えば反応できる頭があるのが僕でしたね。つい現実の方で考えてしまうのでいけませんね。
この場はそうですね、アラバスターが来るまで頑張りましょう。ついでにベスタさんも助けれたら助けましょう。
「ふん、なら俺の毒を耐えてみろ!」
「私が直接相手をしたいが手が離せなくてね。【死霊召喚】。行け死霊たち。あのブロワーのサポートをしろ」
「逃げろワニベロス!」
目に見える毒煙を撒きながら走ってくる裏切り者の後ろからさまざまな服装をしたゾンビが現れ、その勢力を目にしたベスタさんから再三の逃走を促されましたが僕は頑張りますよ!
技文字を発動して先に到達したゾンビが付けていた盾と鎧ごと体を削りとり、口の中に残ったゴミをゾンビの集団に向けて飛ばします。行儀が悪いですけど戦いの最中だから目をつむっていただきましょう。




