スイロワキイレル
ベスタに連れてこられた場所は以前ひったくりに轢かれて飛び込んだ用水路だった。いや、偶然っちゃ偶然だけど主人公みたいな先回りフラグはやめてくれない?
その場所には先に集まっていた人たちがいるようで騎士とブロワーで埋まっていた。前見たヒーロークランの人たちも混ざっており、さっきいたスパルタのクランから数人借り受けてもいる。他の騎士と合流したベスタは部下の騎士達が広げている地図に新しく出した地図を重ねている。
「間違いはないようだな。集まっていただいたブロワー方々、今回の件はあなた方に関わりがなく、我らで終息させるつもりであったがあなた方、ブロワーが関わっていることがわかった故に協力を乞いました」
今回の毒撒き事件の犯人はヒューマリアンであったが俺たちの誰かが荷担したことで要請を出したらしい。まあ、ヒューマリアン同士なら高レベルのEXTジョブ持ち以外なら数で圧せばなんとかなるが、そこにパンドラの箱のパチもんみたいな俺らが加わると一気に難しくなる。俺だって以前のレベル帯のヒューマリアンなら一文字技だけでも多対一で連勝可能だ。ジョブなんぞただの付録に過ぎないからな。
周りを見ると色分けされた旗槍を持った騎士が等間隔に立っていることに気づいた。
「では待機していた間に決められた班へ分かれてくれ。支給品は作戦開始と同時に配る。では持ち場についてくれ!」
集まっていた人らがそれぞれ離れていく騎士が持つ旗の色へ着いていく。あれ?俺色分け聞いてないけどどこ行きゃいいんだ? 視線を周囲に行ったり来たりしているとワニベロスが腕を掴んで引っ張っていく。事前にベスタから聞いていたのかまっすぐベスタの方へ俺を引っ張っていく。と言うか鮫と鰐で引っ張られるからちょっとヒュンッってなる。腕がなくなりそうで。
そのまま引っ張られていると俺が着替えた洗い場のようなところに降り、先にいた騎士とヒーロー二人が待っていて俺らの後ろからベスタが下りてくる。
「ここが一番怪しい。この前もブロワーが殺されたという情報があったが、ブロワーのため情報の精査ができなかったが、そのほかの情報の結果ここから私たちが突入する」
……その死んだブロワーは多分ひったくりをした奴だろうな。
この場所から突入するメンバーは騎士二人とベスタ。ブロワーからは俺とワニベロス、ヒーロー支部から二人。熊竜の時のスラッシュブルーと初めましてな炸裂戦隊ダイナマイザーのダイナテンスとポージング付きで挨拶された。
「他の場所に待機した部隊は私たちが突入したあと、数分後に突入する手はずになっている」
「隊長、準備が整いました。突入します」
「わかった。では突入する。では残りの者は手はず通りに」
「「はっ!!」
残った騎士とその他のブロワー達が備える中、俺たちは用水路の中の通路を伝って中へ入っていく。レベルも上がったがまだ速度上昇の水薬を服用して先行する騎士たちについていくとダイナテンスから話しかけられる。
「なあ、お前のレベルいくつだ? この作戦に参加するんだから二百くらいあるんだよな」
「いや~? レベルは100ちょい超えたくらいかにゃ~。職業もようやく3つなのにゃ~。お前はワニベロス?」
「僕も同じくらいですね。ちょっと職業の取得に手間取りましたが」
「そうなのか。だったら俺たちを頼りな。こういうのに参加する奴らはカンストに近い奴だから安心だぜ?なっ!」
「…………」
スラッシュブルーは前会った時も無口なキャラで何も喋らずに騎士たちについて行っている。ダイナテンスは連れねーと愚痴るがいつものことなのかその表情は笑ったままだ。
そのまま他愛無い話をしてくるダイナテンスを聞き流しながら新しく就いた職業と増えた技文字を含めて一新した文字技能を確認しながら、二文字技以降の技文字を改めて作り直していく。
「ん?なんか通ったかにゃ~?」
「浄化の魔法だろう。と言うことは後発の部隊が突入したと言うことだ。さらに速度を上げる」
「了解にゃ~」
「わかりました!」
速度上昇の水薬の1つ上の物を服用し、ワニベロスの分の空き管を仕舞いながら答えると直ぐ様速度を上げて通路を駆けていく。
入り乱れる通路を右左と曲がりながら行くと唐突にスラッシュブルーが声を出した。
「……待て」
「どうした。ん、敵だ。奴さん早くも手を打ってきたようだな。ダイナスティンガー!」
瞬時に自分の武器を取り出したダイナテンスが騎士の頭を越え先頭に躍り出た。現れた敵は腕や足が変な方向に曲がっていたり欠損をしているもの、首の角度や耳が生えている、新たに別のパーツがつけられていたりと生者ならあり得ない状態のものだった。
それをダイナテンスが武器で切り裂くと数度の爆発が起こり、よろけた敵が纏まった方へ倒れ込むと大きく爆発して大半を巻き込んで消滅した。
「敵は死霊術師か。聖別された剣を抜刀。対処せよ」
「「了解!!」」
騎士も武器を持ち替え死霊に対応する。俺も騎士の打ち逃しを殺すために、後ろで待機しておく。出番が来たらかなりヤバイ時だろうし。ワニベロス?ワニベロスなら真っ先に獲物に食らいつきに行ったわ。
前衛で戦っている四人により現れたゾンビみたいな奴らはドンドン倒されていき、足元にゾンビの骨が散らばる。他のゲームならここから骨格のみのスケルトンだとか集まって巨大な怪物になるんだろうけど、ドロップアイテムは倒した側の物なので改めて拾うまで術の対象にならない。まあ、一般的な魔法やスキルならだが。
そんな杞憂なことは起こらず残りのゾンビが数体までに減少しようやく前に進めるようになる。
「……片付ける。頸狩斬劇圏」
スラッシュブルーが前に出て技文字を発動させる。腰だめにしていた派手な武器を翻し、頸を狙う剣先が光源に煌めく。
「……【屍の模倣技術】」
そしてスラッシュブルーが小さく呟いた言葉を聞いた瞬間、俺の身体が水路の方へ押し出された。
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
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|◎フ < 死霊術について
この世界での死霊は霊的モンスターのゴーストの他に存在しないのでヒューマリアンの魂を束縛して従えるなんてことはできない。
ゾンビ、スケルトン、キョンシーなどのモンスターを作成する場合主体となるコア、魔力の塊となる脳ミソか魔石が使用されそこから伸びる魔力の線によって筋肉や骨が動いている。筋肉に電気を当てて痙攣していたり、操り人形のように吊って動かしているくらいだがそれでも命令系統を判断する能力はある。
……死んだ瞬間に消えるブロワーをなにかの方法により使役できた場合に出来るのは?おや?




