オカオニカヨル
雪原走ってて執筆停滞
[アルマティ王国:ログンギ 大通り]
ログインした後にちょいちょい町を散策してカフェ(ワニベロスが閉店させた店)でブレイクタイムをしていたら、通りの向こうからベスタがこちらを見つけ同席してきた。
「アラバスターもここを気に入りましたか。ここのケーキは絶品ですからね」
「……、そうだにゃ~。勢いでたくさん頼んだらワニベロスが気に入ってほとんど食べ尽くしちゃったくらいだにゃ~」
「まさかあの時閉店していた理由は……」
「さあ? どーだったかにゃ~」
俺の分の皿とグラスが空になったので新しく飲み物を頼む。対応する従業員に見覚えが三mmほどあるが思い出せないので二、三会話した程度なのだろう。飲み物が来るまで手持ち無沙汰なので煙管をペン回しのようにくるくると回す。
「今日はどうしたのかにゃ~?討伐のお金を渡すために探していた訳でもないだろうしにゃ~。政治?宗教?経済?なにか問題ができたのにゃ~?」
「いや、たとえその様な問題があったとしても貴方とは関係ないので話しません。まあ、あなた方ブロワーの内のママテラスと言う方が、変な宗教を国教にしないかと言う提言をしてきたくらいだがな」
「へー。だったらなんのようかにゃ~」
ママテラス・オオオカミという女性ブロワーが興した新興宗教がなぜか一部のニンゲンに人気を博してカルトじみた人数になっているとかだが、強制的な改宗や詐欺や洗脳じみた行動は一切してなく対応した騎士が断ったらすぐに退いたそうな。
頼んだ物がやって来て机に置いて去ると言った一拍を置いてベスタが口を開く。俺の手で回転する煙管はTEC補正なのかプロのペン回しのように、あるいはどこかの鉄球の技術のようにとてつもない回転になっている。
「この前教会に訪れたでしょう。にゃ~にゃ~言うブロワーが教会から転がり出てきたと風のうわさを耳にしました」
「あー、そうだよ。ちょっと気になったから少しだけ覗いてみたのにゃ~」
「ならわかっているでしょう。病人が罹っている症状について」
「ぞうだにゃ~」
回転させていた煙管を掴んで咥え、ぷかぷか水蒸気を吐きながら答える。ベスタは俺が持つ煙管に目をやっている。
「それはあの時のか?」
「ぞうだにゃ~」
「私も籠手を得たが、アラバスターのはなんと言うか独特なのだな」
「そうだにゃ~。初めて得た奴も仮面だったのにゃ~。能力があまり見えないからほとんど飾りなのにゃ~」
「能力が見えない? 鑑定してもらってもみえなかったのか?」
「それはしてないけどレベルか討伐によって見える仕組みだとおもうにゃ~。そういえばあの羊皮紙持っているのかにゃ~?」
「ああ、なにがあるかわからないから何枚か常備している。そう言えば欲しいと言っていたな」
「考えてる通りにゃ~」
ベスタから羊皮紙を一枚譲ってもらい、それに腰から外した[時刻祀る祭具面]を被せると文字が浮かび上がって来た。
QUEST
EXTモンスター【時縫刻限劍】の討伐
体長95cm 一対 ロングソード型
LV3000
ローブによって互いに繋がっている
両の己の刀身を使い切り裂いた物に干渉する
時刻を冠する者の武具の一つ
現在地:不明
浮かび上がった文字を確認したベスタは息をのんだ。俺も現れた内容に驚いた。俺が対峙したときのレベルは1300だったはずだが二倍になっているところを見るに弱体している。なんか少し間空いてるしここ知っている攻撃方法しか載らないのでは?
「剣のEXTモンスターの褒賞だったのかそれは。だがお前はこれを相手にして生き残ったのか?」
「いや~。特殊な場所に出てきたから何回か死んでるにゃ~。まあおまけってやつだと思うにゃ~。能力が詳しく見えないし」
「そうなのか。だがしかし……、現在地が不明なモンスターは何回か見たがこのレベルは」
「戦った時とはレベルが違うにゃ~。無理やり呼ばれて弱体化したって感じだろうにゃ~」
「……武具の一つ、と言うことは他にもいるのだろうが不明となると調べることもできないな。アラバスターこれをもう一枚してくれないだろうか。こちらでも少し調べてみる」
「別にいいにゃ~。現在地は調べても出てこないだろうし、戦ってもレベル上限がない奴でも簡単に倒せないはずにゃ~。最終的に妾が倒せればいいにゃ~」
「そうか。いつになるかわからないなそれは」
新しく印刷した方をベスタがしまうと思い出したかのように顔を上げた。
「そういえば最近、いやこの前の討伐以降から私を見る視線が増えた気がするがその原因が何かわかるか?」
「わかるかと言っても帰りに同行していないからわかるわけないにゃ~。兜被らずに帰ったとかではないのかにゃ~。てかなんであちしに聞くにゃ~?」
「お前は私の顔を見て何か言いかけたから聞いてみたのだ。そうか、そう言えば久しぶりに兜を被らずに帰ったな。それで見たことがないものが視線を向けているのか」
「ベスタは特徴的に美形だからどこかの世界で同じ顔がいたとかあるかもにゃ~。それで見られている可能性もなきにしもあらぶり」
このゲームの注意事項にネットリテラシーのことに対して、プレイによって精神の動向などのことのほかにNPCの姿かたちは現実の人間同様に家系、DNAのように様々な要素によってランダムで生成されるため他のゲームの登場人物と似通ってしまう場合がありますが、ランダムのため他の会社に迷惑をかけないことを明記されている。実際に『エイジェンマ・フラグメント』と同データ、ゲーム要素を抜いた生成実験を行い数社のキャラが何世代かの中に生まれるということを証明して版権についてクリアにしている。
その際生まれたキャラは待ち対空の格ゲーキャラやネトゲ代名詞の黒い剣士、ツインテ金髪お嬢様などが作成されている。ちなみに目の前の人物の顔はこの前零したようにとあるお嬢様に似てと言うかほぼそのままの顔と身長。しかし性格は全く違うのだが。
「それはそうとあのときのおじょうとは何だったのだ?」
「それは死ぬとき空気が抜けた音」
「そのまえに発したよな」
「……」
「……」
「お待たせいたしました」
「あ、用事思い出した――グボッ!?」
頼んだコーラを掴んで喉に一気に流し込み炭酸によって噴き出した瞬間に走りだしてログアウトを狙うが、かなり気になるのか追ってきたので【姿写し】と煙幕での追いかけっこが始まった。いい歳の大人が何しているんだと衛兵に怒られた。




