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エイジェンマ・フラグメント  作者: 狭凪
1. Ltra Ibeasama
3/95

シカラノタビ

 ゲームを開始してから数分くらいスタート地点にしたアルマティ王国ゼザイア砦の時計塔の近くのベンチに腰掛け呆けていた。

 何故ならあの落ちた穴から落下傘パラシュート無しのダイブを決め込んだからだ。あのあと一回死んでからのスタートがデフォルト、流星に乗ってきた感じらしくかなり怖かった。あと人が居ない場所に地形やNPCに当たらない設定で落ちるのだが、かなりの確率、小数点何千個のあとに1がつくくらいの確率でプレイヤーに当たらないらしいが、バッチし目が合って落下に巻き込んでしまったプレイヤーが1人……。南無にゃ~。

 そして、その時間が勿体なかったので触手ロンガーから貰ったアイテム、映像結晶を閲覧していた。そして終わった頃に肩を叩かれた。


「女の子っていいよね」

「なに言ってんだコイツ……。あっ、違った。なに言ってんにゃ~。コイツー」

「なんで言い直したか知らないが、同士ではなかったかやっぱり」


 革ジャンを着てグラサンを掛けた男性プレイヤーが少しだけ落胆した様子で横に座ってきた。


「女の子を連れた母親が居なくなってもずっと見続けていたから違うかも、いや偽装か? と思い声をかけて見たんだがなぁ……」

「お前だれにゃ~? いきなり失礼な奴にゃ~」

「猫語尾って……。ああ、それは言っちゃだめだな。すまない! 同士かと思い声をかけてしまったんだ」

「つまり勘違いで声を掛けたのにゃ~? うざい奴にゃ~」


 首に掛けた天使のネックレスを弄っているプレイヤーはグラサンを外して此方に顔を向けた。青とピンクのオッドアイの瞳はかなり作り込んでることがわかる。色だけでも±20程の差が用意されてるんだよあれ。


「その装備を見る限り始めたばっかりで、つまりさっきまでここに来た衝撃で呆けていたって訳か。わかるわ。ワシも最初は衝撃を受けたものだ」

「なんにゃ~、PKにゃ~? だったら受けてたつにゃ~。今宵の拳は血に飢えてるにゃ~!」

「違う違う。始めたばっかりのレベル0を(PK)しても経験値もアイテムもお金すら儲からないことはバカ以外しないさ。ワシのは新規プレイヤーにたいしての詫びと応援さ」


 そう言って腰に下げてた袋から小さな盾を取り出すと此方に渡してきた。


「呪いのアイテムとかじゃないだろうにゃ~?」

「あっはは。こんなよわっちい盾に呪い刻んだら壊れちまうよ。こいつはただの小盾だ。防御も一桁の初期装備と言っても過言ではない装備品。レベル0だとステオール10だから早めにレベルを上げることをオススメするよ」


 訝しいが今の俺の状態は最弱だから貰えるものなら全て貰っておこう。呪いでどうこうなってもマイナスはない。


「あ、そうそう。ステを先に確認した方がいいよ。最初って空から落っこちてくるだろ? だからって言うわけかアイテムが服と糞武器しか買えないお金しか持ってないだろ? でも、始めにレベル0(なにもない)から(ある)にする方法があってだな、ステ見たらわかるぜ?」

「どれのことにゃ~」


 言われるままにステータスウインドウを開きつらつらと確認する。俺が選んだレベルになるブロウワードは【剣】【打】【蹴】【身】【波】の5つ。どれもレベル0で戦闘を経て1以上にしなければ使えない。


「ブロウワードじゃなくて、ストレージの方。5個しか入らないがデスペナと窃盗無効のプレイヤー専用の鞄みたいなヤツ。そこに最初に入ってる腕輪が重要なんだ」

「これかにゃ~。キラキラ綺麗にゃ~」


 黒いが角度により太陽の光をチラチラ反射させている腕輪。名称は【黒星の欠片】となっていた。


「その黒星の欠片は初期装備として唯一何故か持ってる物なんだ。だけどそれが一番大事なんだよ。装備するとブロウワードのレベルが仮で1上がるって言う効果が隠されていて、仮だから本当にレベルが上がった時砕けてなくなるんだよ。ストレージの中でもな」

「にゃ~、初期サービス品だにゃ~。だけどコレクションには向かないにゃ~。なくなったら保管出来ないにゃ~」

「そうだな。最初はこれを気づかなくて何日間もレベル0のままモンスターを殴り続けて……はあ……」

「お気の毒にゃ~。でもこれは後発特権にゃ~。ありがとにゃ~」


 早速上がり難そうな【波】のレベルを仮1にすると5秒間だけ空気の波が出せるようになった。空気の波は音なので適当に使ってるとへんな音がする程度。意識すると音が若干上下する。


「なんだ?! その変なブロウワードは? 普通に攻撃用のブロウワードのレベル上げろよ……」

「面白いブロウワードだにゃ~。取ってよかったにゃ~」

「本人がいいならいいけど。よし、ならこれでレクチャー終わりな! あとは心のままに動きな。それがブロワーってもんだ!」

「ありがとにゃ~。すごく助かったにゃ~」


 盾と腕輪の重要なことを得たことでスタートダッシュに躓かないで始められる。


「そう言えば名前まだ聞いてなかったにゃ~。僕はアラバスター……」

「おっと、名前だけでいい。どこのだれかが聞いてるかわからないしな。名前はFBワード、必殺技のヒントになるからな。気を付けろよ」

「わかったにゃ~。でも名前は言っとくにゃ~。アラバスターって言うにゃ~」

「そうかアラバスター。ワシの名は有名だから教えておこう。ワシはロゥリコン。ロゥリコン・ダイソージョウ! 気軽にロゥと呼んでくれ」


 初っぱなからヤバイヤツと知り合ってしまった……。つまり同士って、あの呆けていた時の視線の先にいた女の子を見ていたと勘違いしたのか。通報物では?

 ロゥリコンはベンチから立ち上がるとグラサンを掛ける。


「我がクラン、『紳士淑女の場』はいつでも開いている。入りたくなったらこの場所へ来たまえ」

「にゃ~……。えっと、はい。あと、あそこのずっとこっちを見ている目玉の兜を被った人もそのクランの人ですかにゃ~?」


 なにかのメモを貰ったのでストレージにしまってから、先程から気になってた呆けていた時からずっと見ていた全身鎧フルプレートの目玉兜のプレイヤー(たぶん)のことを聞いてみる。

するとロゥリコンが一瞬止まると高いステによるチラ見をする。


「あれはいつ頃からいたのかね?」

「最初からにゃ~。どうしたにゃ~?」


 視線を向けると目玉兜が立ち上がる瞬間だった。


「あれは我がクランの天敵に所属するゴルゴンだ。あいつがいるってことは他の連中もいるってことだ。ではさらばだアラバスター。またいつの日か会うことを楽しみにしているよ!」


 なにやらアイテムを取り出すとロゥリコンの姿が薄くなって消えた。目玉兜、ゴルゴンも見失ったことで辺りを警戒しながら耳辺りに手を当てていた。このゲームではチャットやメールが出来ないから何らかのアイテムで連絡をしているのだろう。

 ゴルゴンはこちらを一瞥するとどこかに走り去っていった。


「さてどこ行くかにゃ~?」


 どうせあと四時間(一時間)は夏秋はイン出来ないから装備を見繕うかな。某アニメーション会社のアラビアンな感じの衣服だから素肌ノースリーブジャケットはまだなれないんだよ。


====


[ゼザイア砦 武具屋前]


 宿代は今は気にしなくていいのだが、如何せんおあしが少な過ぎて盾を装備した右手とは逆の左籠手しか買えなかった。それも少しだけ値切った。さらにちぐはぐな格好になったことは否めない。鉄の籠手だし。


「……でもうすぐ開戦らしい」

「そうなのか? だったら早く避難しないと」


 開戦? どっかで戦争でもあるのか? いやあ、レベル1(仮)だから巻き込まれたくないな。プレイヤースキル(PS)があると言ってもオール10のステだから風前の灯だし。

 屋台で果実水を売っていたので葡萄を買う。うえっ、渋い。


「あっ、あなたブロワーですよね! こんなところで油売ってないで早く集合場所に行きますよ!」

「えっ? お前誰にゃ~? 集合場所ってなんにゃ~! ブロワーってなんのことにゃ~」

「知らないなんて言わせませんよ。今日は大事な日なんですから!」

「知らないにゃ~! 誰か助けてにゃ~!」


 いきなり通りすがられた女性に腕を引かれ、貧弱を通り越してセカンドバッグばりに簡単に運ばれて砦の門の外へ連れ出された。そこはかなりのプレイヤーや現地人のNPCたちが集まっていた。


「あなた名前は!」

「アラバスターにゃ~。砦の外になんの用にゃ~」

「アラバスターね。はい、これ支給品。全力を尽くしなさい」

「ちょっと待つにゃ~。説明がまだなのにゃ~……」


 見た目は財布一つしか入らなそうな革の鞄を渡されて困惑する。演習……ではないよな。プレイヤーがいるし、モンスターの襲撃ならもう少しプレイヤーが増えているはず……。まさか!


「そうだ。戦争が始まるんだよ今から」

「まさかね~?」

「welcome、ニュービー!!」


 左右からがっしりと肩を捕まれどこかの天幕に連れていかれる。

 まさか噂話程度かと思っていたが、いまここで開戦するとは思わなかった。

 実は夏秋のログインが先延ばしになったことで、開戦の前に砦を離れると言った夏秋のスケジュールが狂ったせいと言うことは鶴城アラバスターは知らない。


「やあやあ、手荒い呼び出しをしてすまない。ドジっ子騎士ちゃんが初心者装備のお前さんを連れてるのを見たって報告があって保護させて貰ったわけだ。はっは~」

「そうですかにゃ~。いや~、ありがとうございますにゃ~」


 完全なる姉御肌の役割ロールをしているルビー色の髪に小麦色の素肌に赤いコートの用な装備を着た女性プレイヤーの前に座らされた。初日からこう新顔が続くと明日には忘れてしまいそうだ。


「あたしはこのアルマティ王国所属クラン『赤月の鉄騎兵団』のリーダーをしているブラッドマリーさ。お前さんは……やっぱりペーペーのニュービーかい。それにしても黒星の欠片を装備しているのかい。それは(リアル)では漏らさないように暗黙の了解だったはずだけど……」

「それなら親切な人に教えて貰ったにゃ~。ロリコンだったけどくれた情報は有益だったにゃ~」

「はあ? あの糞クランも居たのかい。……あんたあそこのじゃないよな?」

「にゃ~は一時間前くらいに始めたばっかりにゃ~。変な勘繰りやめて欲しいにゃ~」

「はあ。でだ、ここに来て名前を言っちまったからには戦争から逃げられない。いまどのくらい知ってるんだ?」

「なにも知らないにゃ~。アルマティ王国ゼザイア砦っていう場所くらいにゃ~。ブロワーって呼ばれたけどなんのことにゃ~?」

「そこからかい。まあ今は外で学んでこいって言える状態じゃないな。簡単に説明させるか。オイ」


 天幕の外に声を掛けると手持ちの黒板を持った燕尾服の老従者の人が現れた。優雅な動きでブラッドマリーの横に立った。


「ここがアルマティ王国のゼザイア砦だが、隣国のアテーシュ帝国がヒューデカン砦から攻めてくる。理由は色々と吹っ掛けているが、怨恨の類いは無さそうだ。あと侵略もな」


 話し始めると同時に老従者が地図を書き始め、名称と場所を詳しく入れている。その他にもあちらとこちらの人数やいつからやっているのかをも書かれていく。


「そんで、NPC、現地人とプレイヤーのことだが、此方ではNPCをヒューマリアン、プレイヤーをブロワーと呼んでいる。人間じゃどちらも人間だしな。ヒューマリアンの呼び名は昔から決呼ばれているらしく、そんじゃプレイヤーはどうするかで様々な呼び方から淘汰の道を通って今ではブロワーになった。スキルではなく技文字ブロウワードを使うからとか同じく文字を使うブロガーに掛けてとか言われてるが、本人の弁がないから沼の底だ」

「なるほどにゃ~。だからブロワーって呼ばれたのにゃ~」

「はっは、運が悪かったな! こんな時にここにいるんじゃ間違われても仕方ない。が、さらにドジっ子騎士ちゃんじゃ弁解もできないわな!」


 話すたびに書き換えられていた黒板を片付けた老従者が出ていった。それを見送るとまた両側から捕まれどこかに運び出されて行く。えっーと、どこに連れていかれるのかな?


「安心しろ。リーダーは優しいお方だ。始めたばかりの新人を戦場に出す気はない」

「クラン外のものでも保護をする。まだ戦場に出れない後方で学ばせている団員と一緒にいて貰うだけだ」

「こんなことは何回もあるのかにゃ~?」


 両端から多少はと小さく溢した声が聞こえた。件のドジっ子騎士ちゃんが原因なんだろうな。そのままずるずると戦場から離れた後方へ連れていかれた。

エイジェンマ・フラグメント溢れ話


」]

┃◎フ < 現地人のヒューマリアンとブロワー(プレイヤー)の違いについて


それだけだけど重要なちがいは職業《JOB》と技文字ブロウワード



ヒューマリアン

職業レベル上昇によってそのレベルで決められた能力値が加算される。

職業を持ちメインとサブに別れている。平均4、5個持っているが生まれつきの才能で決定する。

職業レベルによりスキルが解放されレベルに比例して強化される。スキルの能力はジョブレベルに依存する。

下位や中位、上位に分類されるものがありそれぞれ上の職業になるには条件を達成しなければならない。

下位:MAX50レベル 中位:MAX75レベル 上位:MAX100レベル

王族やとある血筋による限定職業や特殊職業が存在し、レベル上限がない。


ブロワー

技文字のレベル上昇によって固定値にそれぞれの設定された倍率に職業の補正を加えた能力値が加算される。

通常文字は一律MAX50レベル。

限定文字(リミットワード)があり強力なものは特定の条件を満たすと獲得できる。簡単なものから難しいものがあるがどれも強力なものでありレベル上限がない。しかし単体では意味をなさない。

固定値✕技文字(%)✕職業補正(%)=上昇値

職業はレベル上昇による能力の向上の補正と習得するスキルの適正を与えるもの。職業は変えられるが、覚えたスキルの適正がないと使えない。

就ける職業数は1〜10までは1つ、50で2つ、それ以上は100、200と増えるたびに1つ就けることができて最大5つ就くことができる。

職業スキルはアイテムで覚えられるが10レベルの能力に固定される。


判別方法

ヒューマリアン側はなんとなーく直感的にわかる程度なのでアイテムを使えばわからなくなる。

ブロワー側は人物鑑定スキル系統か判別系統がないとわからないが、ほとんど変な格好していたり言動をするのでだいたいわかる。

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