エイユウコトナシ
「赤き情熱の一撃! レッドブレイク!」
「スラッシュブルー!」
「ギャオォォォ!!」
「ラッタロッサ!!」
「「「四人揃って! ギルド『H&Hインダストリアル‐アルマティ王国支部‐』」」」
「ギャオォォォ!!」
特撮ヒーロースーツを来たイロドリ戦隊のような二人に、怪獣に容赦がない感じに人間大の怪獣が改めてポーズを取って自己紹介をした。軽めに聞いたらこの四人は技文字レベル50×10らしく、熊竜ならソロで10匹は簡単に倒せるらしい。今回は救助者がいたので必殺技でさっさと倒したようだ。
「君たち運がいいね。たまたま暇をして駐屯してた僕らがいたのだから」
「まあ、何人か死にましたから手遅れだったがにゃ~」
「うっ、……現実はそんなに甘くないと言うことだよ」
助けに来てもらったギルド『H&Hインダストリアル』は現実の特撮ヒーローに憧れている人達が集まってできたギルドだとか。特撮だと台本、脚本があるから人死にがコントロール出来るが、ここはゲームのなかだとしても取り返しがつかない現実なのだから仕方がない部分だ。
「色が被っていたり、怪獣がいたりするのはメンバーが揃っていなかったからなんですね!」
「そりゃそうだろ。こんな戦隊がいたらもうコメディだろガシュガシュ」
「打ち合わせもなにもないならこのようになるのは当たり前ですねザシュザシュ」
「そうだよ。この私、レッドブレイクは本来五人組のチーム『破城戦隊ブレイカーズ』のリーダーで、スラッシュブルーは三人チームの『武装戦隊アームズ』、ギャオルァは子ギルドの『ヴィラン支部』、ウォゥム・ロッソはソロでやっているからね」
「本当にニチアサヒーローズだにゃ~」
彼らに護衛してもらいながら森を抜ける最中に彼らの事を聞いていると、かなりの数脱退や引退を繰り返しながら大きくなっているギルドのようだ。自分の矜持を持っている人達が多そうだからな。初期組とか年号変遷組の一期二期とかをこだわる人はこだわるからな、あのクラスタ。因みに俺は普通に全部楽しむ派。
熊竜モンスターが出てきたと言う異常事態なので護衛されているのだが、ギャオルァと言う怪獣の姿をしたブロワーの背に乗って森を移動している。始めて見たときには俺と同じぐらいの大きさと同じ程度だったが、今は6人乗ってもまだスペースがあるかなりの大きさになっている。
「ギャオルァさんって技文字で怪獣になってるんですよね? なんで喋らないのですか?」
「ギャオギャオ」
「えっと、なんて言っているんですか?」
「俺に聞かれても、俺達にも怪獣状態のこいつの言葉はわかんないんだよ」
「それで大丈夫なんですか?」
「いや、怪獣状態同士、テイムモンスターとかだと会話が出来るけど、それは『ヴィラン支部』の連中じゃないと無理なんだよな」
ヒーローは一部を除いて怪人、怪獣になる作品は少ないからヒーロー役割するギルドにはいなくて、ヴィランギルド内パーティだと同じ同志がいるので会話できるから気にしていないのだろう。
「アラバスターはギャオルァさんの言葉わかる?」
「いや、そういったスキル持ってないと会話が」
「ん? 昔とった杵柄と経験則で多分どうにかなるにゃ~」
「出来るの?!」
かなり前にテイムモンスターの癖に意志疎通が簡略化されてない経験則によるコミュニケーションを行わないといけないゲームをプレイしてた経験と、完全にマッコウクジラやってるネッ友との会話のために頑張った経験があればなんとかなるだろう。
フムフム。
「ギャオルァが喋らないのは基本的な怪獣は喋らないこととそう言った怪獣が好きで喋らないらしい」
「ギャァオ! ギャオギャオ!」
「フムフム。近年の喋る人間大の怪獣もいいが野生味が溢れる善悪がない怪獣が一番だと」
「ギャオ!」
「ちなみに俺みたいに人語を話せない怪獣と会話できるのはヒーロー物としては地雷って落そうとか思ってないよにゃ~?」
「まて! ギャオだけにそれだけの意味を圧縮するな」
ギャオルァからの反応で俺が言っていることが合っていると判断したらしいが、俺も二文字だけにそれだけ込められるとちょっと引く。……まあ警笛かブブゼラみたいな音の長短で喋り出した友人を解読した俺も俺だけど。ちなみにコツは相手の性格と話題で判断すること。
「ん?」
「どうしたアラバスター。気になるモノでも見えたか?」
「ああ。なんかちらっと緑色の人間が日光浴してるのが見えたけど、なに? 森の妖精?」
「げっ、あいつこっち来てたのかよ。気ぃ付けろギャオルァ」
「ギャオ!」
いままで木々を気にしていなかったギャオルァが明らかによけ始めた。さっき見たのと関係しているのか。
「すまない。絡まれるとちょっと厄介でな」
「別にいいのにゃ~。それより誰なのにゃ~」
「見たのが本当ならそれはアイビー・ギフテッド。こっちでは過度の自然主義者だ。仕事の関係なのかわからないが数日に、こっちの世界で数日に一度森林浴をしている」
「それがどうして厄介なんですか?」
「ほら、現実だと自然環境がアレだろ? 保護とかしてるけど。あいつは一応我慢しているみたいだが、こっちに来るとそのタガを外しているみたいで移動でできた道とかなら許容範囲らしいが、森林破壊だとか開拓とかで自然に手を出そうとすると枝やら蔓やらで絞め殺しにくるんだ。前に無理やり開拓しようとした悪徳領主が部屋で養分にされていたって噂だ」
「二つの意味で絡んでくるんですね! でもそれじゃあ森とかの中で戦えないんじゃ……」
「そこは害獣駆除的な、間引き的なことで出る被害として許容してもらった。それでも被害が大きいと殺しに来るが」
「やばい人ですね!」
「まあ、基準が旧石器時代じゃなくて江戸時代だから緩いほうだけど。見えてきたぞ。王都から片道一週間の街『ログンギ』だ」
砦の街と違い大きな壁に囲まれている大都市が見えてきた。ログンギの街はMMORPGでは当たり前に近いほとんどの設備や店がそろっているらしい。まあ帝都と比べると一回り小さいみたいでちょっと新鮮味はない。と言うか他のゲームで見慣れているくらいの大きさなので驚くということはない。
「わー! 凄い大きいですねアラバスター」
「ん? あれ、ワニベロスはこの町から来たんじゃなかったのかにゃ~」
「え? ちょっといかつい人たちが乗せてくれた馬車が森を通った時に囮として馬車から落とされましたよ? まあ、レベル上げるためにその人たちについていきましたからそんな慌てることでもなかったです。道に迷ったのは慌てましたけど」
「なあ、ブロワーはこんなのが多いのか?」
「それをわーに聞くのかにゃ~」
「…………」
「えっと、まあ……否定はできないかな。人それぞれだし、人生もいろいろあるし」
ワニベロスの反応に最初に俺に聞いてきたが語尾にゃ~の変なやつだと暗に言ったら、俺からレッドブレイクに視線を移すとレッドブレイクが視線を彼方に向けて否定も肯定もしない言葉を言った。そりゃ人様の世界でヒーローごっこしている自分からはっきりと答えが出せなかったのだろう。
「『H&Hインダストリアル』みたいに元の世界では出せなかった中身を出してる人の方が多いと思うにゃ~。助けに来てくれた彼らみたいににゃ~」
「そうか……。お前は?」
「にゃ~?」
ニコッと笑って鎧戦士からの問いかけを曖昧にしてその場を流す。質問してこなくなるまで。
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
」]
|◎フ < ギルド『H&Hインダストリアル』について
ギルド『H&Hインダストリアル』は名前の通り特撮ヒーロー系が好きな人が集まってできたギルド。ライトなファンからコアなファンまでそろっていて様々なヒーロー活動をしている。変身ヒーローは勿論、戦隊、異星巨人、メタルヒーローにロボットヒーローなどをモチーフにしたブロワーが在籍している。
勿論ヒーローなので悪いことは御法度。破るとどこからともなくリーダーが駆けつけてデスペナにしていく。
支部は各国に存在していてそれぞれの国で高い評価を受けていてほとんど自由に活動ができる。だけど戦争などの場合、各人が持つヒーロー像に従って参加はできるがほとんどの場合参加しない。なぜならジャパニーズヒーローだから。怪人、怪獣は倒すが人間に手にかけるヒーローはいない。勿論アメリカンヒーローのギルドはあるが問題行動の方が多かったりする。
ギルド『同上‐ヴィラン支部‐』が存在しているが彼らは本当の怪人として活動しているわけではなく、怪人役だったり大道具や脚本、物販などを担当している。時々各国の首都で行われるヒーローショーは彼ら主体で行われており子供受けや大きなお友達受けも激しい。ちなみにここにはヒーローショーでファンになったなどの理由から手伝いとしてヒューマリアンも在籍している。
時々犯罪ギルドから依頼も来るがヴィランの名の通り手を貸している。なぜならヒーローに対して悪の敵は往々にして用意されたものではないという共通見解からである。
彼らは最初の一人、ギルドオーナーに憧れて集まってきた人たちで構成されていたが有名になったことで大陸中に広がる大ギルドに成長した。ギルドの運営についてだがオーナーはヒーローを体現しているかの如く様々な土地を渡り歩いているから全くかかわっていない。と言うかそのせいでギルドが大陸中に広がったのではないかとの噂。
ちなみにギルドオーナーはどこかの国に召し抱えられており、かなりのポストで重宝されていると風の噂が飛び交っている。
副オーナーは『クラッシングシルバー』。王国所属。オーナーのファン一号。限定文字持ち。
最近の悩みはギルド運営の総監督なので忙しくて実地に出れなくてバーチャル胃痛罹患中。




