ヤクソクテガタク
「━━それでですね、レベルを上げるためにこの森に入ったのはいいですがなにも考えずにあっちこっちに歩いたせいで迷子になっていたところにアラバスターが現れたんですよ」
「そーかそーかにゃ~」
「食べ物は町で買い込んだ分とここでゲットした分で賄っていたのでそろそろ心もとないなーと思っていたんです。これ美味しいですね。カニですか?」
「カマキリにゃ~」
「へー、カマキリってカニみたいな味がするんですね」
あのあとワニトロス、ワニナノカが不承不承と言う様子でパーティを組むことを認めて街まで一緒にいくことになった。その道中、お喋りな性格なのかここに来た理由を数日前から話し始めた。その最中にお腹が減ったと言い出したからカマキリの太い腕を冗談で出したら躊躇い無くムシャった。いや、出した俺も俺だけど普通躊躇うだろ虫食は。と言うか現実でも蟷螂食べるなよ? ここだからカニの味がしてもおかしくないからな? 現実は寄生虫いるからな?
「アラバスターはなんでアルマティの首都を目指しているんですか?」
「いやぁ、定住する予定も無かったのに変なクエスト受けちゃって、期限はないんだけど凄く大変だから手近で済ますかにゃ~とこっちに来てるだけだにゃ~」
「そのクエストの内容って何ですか?」
「それは言えないにゃ~。依頼主の沽券に関わるにゃ~」
「そうなんですか。僕が受けた依頼のなかで一番面白かったのは恋愛相談事でした。なにせそのかたの━━」
守秘義務がありそうなクエストの中身をペラペラと喋り出すワニベロス。それでも技文字やスキルの話になるとワニトロス達が嗜めたり物理的に口を塞いだりしているのでどのくらいの力を持っているのかはわからない。
「因みにこのパーカーとパペットって、あっ! アラバスター、あそこで誰か戦ってますよ!」
「変なところで切れるのにゃ~お前。ん~ほうほう、ホントだな。あれはモンスターに襲われているにゃ~」
だいぶ森の中を進んだ頃にモンスターに襲われている馬車をワニベロスが見つけた。豪華な装飾が施され、全身鎧を身に纏った複数の人達が守る馬車はそりゃもう高貴なお人が乗っている事だろうと推測する。
「さぁて、どうしようかにゃ~。なんでこんなところでお約束イベントしてるのか不思議だにゃ~」
「よし、行きましょう! あれではあの方達が不利です。助けに行きましょう!」
「えっ、あー……ああ、うん! そうしようかにゃ~」
キラキラなお目目を此方に向けての美少年ビームに押され引き気味に返事をする。顔が良い。アバターの俺も顔が良いが生来のワニベロスの輝きが精神を焼き始める。
その輝きの勢いそのままに飛び出しそうになっているワニベロスの首根っこを掴んで引き留める。
「何してるんですか! 早く行かないと手遅れになりますよ!」
「いやいや、急いては事をしそんぬと言うにゃ~。あれだけの数をぎりぎり、表面張力分の頑張りでなんとかしてる群れをわんと君だけでなんとかなると考えてるのかにゃ~? 下手するとこっちに気をとられてタワーディフェンス失敗なんてこともあるにゃ~」
「じゃあどうするんですか? 僕らが動かなかったら時間の問題ですよ」
早く駆けつけたいワニベロスを宥めたのはなんと俺を嫌っているはずのワニトロス。
「お前の意見に賛成したいのは山々だが、この胡散臭いのの言うとおり俺らだけじゃ無理だな。下手すると全滅なんてこともあるガシュガシュ」
「そんな! だったらどうすれば!」
「そのためのこの胡散臭いのだろうが!で、出し惜しみしてるのかそうじゃないのかはっきりしろガシュガシュ」
「オールァイ! じゃあ早速今ある手持ちでの策をサクッと成功させようかにゃ~?」
「ぷふふっ」
「二点」
「四点」
「はて? なんのことにゃ~?」
打ち合わせもそこそこに後は行き当たりばったりで行ってみようか! あと若干の駄洒落はお茶目にゃ~。
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[アルマティ王国:ブレラナ森林]
木漏れ日が射す普通ならのどかな憩いの場に近い場所で、煌びやかな馬車を守る鎧の集団が森の獣ベースのモンスターに襲われ、馬車と鎧共に様々な傷を負っていた。モンスターは一匹ずつ倒されドロップアイテムに変わっていき死体が残らないがすでに100近くは葬っているだろう。しかし、その馬車に近づくモンスターの数はいまだに衰えてはいない。倒されるたびに森の中から補充され全体数が変わっていない。
「皆、まだ堪えろ! 馬を使った仲間が援軍を連れ戻るまで時間を稼ぐんだ!」
「た、隊長! 本当に来ますかね?」
「弱音を吐くな! 吐けば己を弱くするぞ!」
「し、しかしですね隊長……。あいつらが助けを呼びに行ってから3時間くらい経ってます。近くの街なら既に先見隊が救援に来ている筈です。それなのに」
「言うな! 我らは馬車を守るだけだ!」
心が折れていない者、折れかけている者がいるが折れるのも時間の問題である。そして、そこへ人影が落ちて来る。
「あぁぁぁぁぁぁああ回り受け身!!」
着地の衝撃で砂煙と衝撃が周囲に広がり、一時的に戦闘が止まる。鎧の戦士達はその方へ意識を向けつつもモンスターへの牽制を怠らない。モンスター達は落ちてきた者に警戒をして周囲を歩いている。
「おや? 思ってた反応と違うがまあいいかにゃ~。でもBANG!BANG!やって行くにゃ~」
落ちた場所とは違う場所から声が聞こえると次々にモンスターの一部がが倒れていく。モンスターが倒れたその場所に白いブロワーが銃を構え立っていた。その事に気づいた近くの熊のモンスターが襲いかかるが、
「【波打】」
ブロワーが投げ付けた何かによって阻まれ、銃で撃たれて倒れる。横やりを入れられ脅威度が高いと判断したのか半分ほどのモンスターがそのブロワーに集中する。
「なにかお困りのようだったから邪魔するにゃ~。する事ないならモンスターをこの縄でふん縛っておくんなましにゃ~」
「な、なぜ縛るのだ?」
「だって殺したら召喚の空きが出来るだろ? ……あ? それは別ゲーだっけ? まあいいか。増える可能性を潰した方がいいしにゃ~」
次々に気絶させていくブロワーから渡された縄は少しばかり丈夫なものらしく、気がついたモンスターが暴れても千切れる様子は見えない。見えないがもしものために改めて気絶させていく。
「雑多の中の狼の群れとかめんどくさいにゃ~。連携とかすると対応が遅れそう、━━にゃあぁぁぁぁぁぁああ!!」
強化された大声が轟き前方の直線上のモンスターを打ち据える。細かい音を拾う動物の仕組みのため大音量による気絶を起こしていく。さらに首を振ることで他のモンスターも気絶させていく。鎧の戦士達はもろとも。
「……助太刀、すまない。だが」
「お礼なら多分いる元凶を追っている方に言ってにゃ~。ワータシは彼に賛成したから助けたにゃ~」
「そうする。もしだが、お前一人ならどうしていた」
「ん? さっきの奴の最大強化をもろともぶちかましてただけにゃ~」
「ある意味助かったわけだな。だとするとお前の相方の方も実力はあるのだろう。お前を止めるのだからな」
「え? 実力なんて知らないにゃ~」
「はあ?! お前のパーティメンバーなのだろう?」
「ついさっき会ったばかりの人の力量なんて直ぐわかるわけないのにゃ~」
バカにするように両手の人差し指を向けるブロワーに対し、怒りより先に疑問が口を動かす。
「だったらなぜ行かせたんだ!」
「だぁって、出来るって言うもんだからそりゃ任せるよね?」
鎧の戦士はあっけらかんな雰囲気に怒りを通り越し気を呆けてしまった。
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[アルマティ王国:ブレラナ森林]
「くそっ!なんなんだ途中で入ってきたブロワーは!この森から人を排して、日程を入手して、御者を用意して、ようやく罠に掛けて時間を掛けた俺の作戦が台無しじゃねえか!!」
僕の技文字でモンスターを操ってた人物を見つけたけど、なにやらイラついているみたいだ。アラバスターが頑張ってるのかな? 僕も頑張らなきゃ。
「くそっ! こうなったら召喚モンスター潰してコスト全部使う手持ちで一番の奴をぶちかましてやる!」
「……おい、早くしねえとやべえんじゃねえのかガシュガシュ」
「……早く行かないと取り返しのつかないことになりますよザシュザシュ」
「……そうだね。早く止めないと」
僕がもたもたしているうちにアラバスターと馬車の人たちがやられちゃったら大変だもんね。そう意気込むとその人の後ろから近づく。
「ねえおじさん!」
「ん? なんだこのガキ……?! なっ、お前ブロワー! まさかあいつの!?」
「おいおい、なんで奇襲しねえガシュガシュ」
「いちいち声をかけちゃだめでしょザシュザシュ」
「くそっ、【解放】」
「あっ! 向こうにに迷惑かけたらダメですよ!」
僕たちの姿を見た瞬間にモンスターを放つ仕草をしたので急いで止めるために近づく。だけど止めるのは遅すぎたみたいで、スキルを発動した後に持っていたショートソードで切り付けられた。
「うわー、びっくりしたー。いきなり斬りかかってくるなんて酷いですね貴方!」
「なっ、なんで斬れないんだ!」
「ひどいなー、ひどいなー。いくら鈍だからって斬りかかってくることはないだろうガシュガシュ」
「そうですよ。あまりダメージが入らないからって斬られる方は怖いのですよザシュザシュ」
僕に当たって折れた刀身を拾ってワニパペットでパカパカ挟む。う~ん、これ不味いね。
「襲い掛かってくる可能性があるって言っても殺そうとする人は悪い人だなガシュガシュ」
「そうですね。話し合う余地があるのにそれを捨てるって言うことは悪い人ですねザシュザシュ」
「なに言ってやがる! 俺の作戦の邪魔したからには生かして返せねえんだよ!死ねっ!」
僕に物理攻撃が通じないと判断すると水の魔法を何発も放ってきた。
「明言したぞ。こいつ悪人だガシュガシュ」
「はっきり言いましたね。悪人決定ですザシュザシュ」
「じゃあ食べちゃおう【始食】」
水の魔法に対して右手のワニナノカを当てると跡形もなく消えた。それに対して驚いている悪人だけどそんなの関係ないよね。
「ちゃんと殺した人にあの世でごめんなさいしてくださいね」
「り、理不尽すぎるぞブロワー!!」
「【食前食】」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ━━」
これで馬車を襲っていた人は居なくなったから大丈夫だよね? あっ、そう言えば何かのスキルを使用してたから早くアラバスターと合流しないと。なにかあってからじゃ遅いもんね。
「【食終】」
アラバスターのことは心配してないけど馬車の人達の方が心配だからちょっと急いで戻らないと。
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
」]
|◎フ < 今回のほろり
ブロワーはヒューマリアンに対して大物喰らいしやすい
こう、なんというか可愛い男の子の主人公気質設定だったはずがなんでこう脳内で合体事故起こすのかな? キャラが濃くないと発言権がない作品の中で一般人って書きづらいね。
p.s
小説の方のツイ作り @syousetu_no_hou
本垢でもそんな呟かない人だけどまあどうぞ




