ヒトトナリ
代金を払って貰ったゲームなのでご飯を食べて一息ついてから早速インストールしてダイブする。
先ほどまでいた空間を認識するとふわふわと海月がやって来た。
「おかえりですジェリ。インストールしたゲームはどこに置きますジェリ?」
「いつものところで」
「了解ジェリ」
触碗に絡ませていたインストールデータを前のゲームが置かれていた場所へ落とされるとそこから扉が生えてくる。
『エイジェンマ・フラグメント』
そう書かれた扉には沢山の人物が闘っていたり日常を歩んでいる姿がテレビ画面の様に映し出されている。
「これは時間加速がいままでとちょっと違うジェリ。いままでは2倍程度ジェリ。このゲームは4倍ジェリ」
「いままで以上に時間にシビアになるな」
たしかいままでだと鯖が不安定になるとかで2倍が限界とかテレビで言っていたが、そうか、だから今まで人気を得ているのか。
一人納得して様々な光景が映し出されているその扉に手をかける。
「行ってらっしゃいジェリ」
クラゲの送り出される声を聴き、パッと目の前が明滅してなにやら青い、青一色の部屋にやってきていた。
「ブルスク……」
「そーゆうのは冗談でも止めるニョロ~」
家具などもなく青一辺倒の部屋のどこからか声を掛けられ周囲を見渡すが、隠れるところもないはずの部屋の中に声の主の姿が見えない。ブルスクの影響か?
「初めましてニョロ~」
「うわっ?!」
地面から同じ色をした触手が生えてきたので一歩後ろに下がった。改めて見渡すが、うちの海月が迷い混んできた訳ではないようだ。まあ設定上あり得ないが。
「私は案内用のAIの伸びる者ニョロ~。よろしくニョロ~」
「あ、ああ」
先がつるんとしてるからいいが、少しでも変形するとモザイクがかかった方がいいフォルムに近くなる。レーティングに引っかからないと良いな。
「いやがらせか?」
「いやがらせならもっとヒドイのが来るニョロ~。黒い忍者か臭い忍者ニョロ~」
「ヒドイ嫌がらせを聞いた」
今回はまだましな……ましか? 触手だしなぁ……。
「じゃあ君のアバターを作るニョロ~!」
「ほいほい」
下から生えてくるように操作盤が現れて、その前にマネキンのアバターが映し出される。
えっとぉ、アバターの種類は……うげっ無限の組み合わせじゃんか。おっ、プリセットあるじゃん。そっからえーっと、今までしたことのないアバターは……っと。
肉体言語で会話しそうな細マッチョの褐色部族を真っ白い肌にして大理石のような色の短髪にしてっと、完成。
「これでいいニョロ~?」
「オッケー! ……とと、アバターに変わるんだから口調も変えないと」
オンラインのフルダイブ式ゲームをプレイする時は毎回口調を変えている。だって、別ゲーでやってた様々な因縁で場を乱したくないし。前回も合わせてヤバイの何個かあるし。
前の口調はたしか世紀末覇者風にしてたっけ? だから今回は。
「これでいくのにゃ~」
「アバターも同期したニョロ~。次に名前を決めるニョロ~。一度決めたら変えれないニョロ~」
同じ操作盤から名前を打ち込むらしい。今回の見た目は大理石にしたから、
「アラバスター……、ザ・ワン?」
外国みたいにファーストネームとファミリーネームを決めるようだ。ちょっと悩んでさっき最期に取得した『ザ・ワン』にしようかと思ったが、捻りが欲しくなった。
「ざ……ざい……ざっと、うん、ザット・ワンにするにゃ~」
目の前のウインドウにアラバスター・ザット・ワンと表示カタカナとアルファベットの表記が出る。ちょっと違ったので直して決定する。
「最後にブロウワードを決めるニョロ~」
「ブロウワード? 職業とかスキルじゃないのか?」
「職業はあるけど成長性補正しかないから後でどうとでも決めれるニョロ~。スキルは今から決めるブロウワードニョロ~」
「えーっと、ブロウワードが他で言うスキルってことでいいのかにゃ~?」
「そうだけどそうじゃないニョロ~。スキルは現地人、ヒューマニアンやモンスターが持つ物で、君たちプレイヤーはブロウワードを持つニョロ~」
「スキルとブロウワードの違いってなんなのにゃ~?」
言い方の違いで別に違ったところはないと思うが、一応聞いてみる。
「今から行く世界の生き物は職業が強さニョロ~。職業にレベルがありそれによってスキルも覚えるし、必殺技みたいな超絶スキルも取得するニョロ~。それで、君たちプレイヤーは職業のレベルが増えない、だからスキルは自動では覚えないけどその代わり技文字を持っているニョロ~」
すごく違ったようだ。
「? レベルが増えないなら強くならないにゃ~?」
「そう、そこで君たちに与えられる技文字になってくるニョロ~」
触手がくねると四角を作るとテレビ画面のようになる。そしてそこに触手と学士帽を被った触手が背景に『なぜなに技文字説明【触手編】』と掲げられている。触手編ってことは他にも種類があるのか……。
『せんせ~、技文字の特徴ってなんですニョロ~?』
『いい質問だニョロ~。技文字にはレベル、つまり力があるニョロ~。プレイヤーはこの技文字の総レベルが自分のレベルになるニョロ~』
『ど~ゆうことですニョロ~?』
『つまりは、ここに【剣】【打】【防】【魔】【突】がLV5だとするニョロ~。そしてその合計のLV25がプレイヤーのレベルになるニョロ~』
『そうなんですニョロ~。でもそれだけだとヒューマリアンは職業レベルで強化されるから簡単に負けるニョロ~』
『いやいや、それぞれレベル上昇で得られる補正がかかるからそんじょそこらのヒューマリアンにはまけないニョロ~。上昇率は教えられないけど、攻撃や魔法とかの数値がレベルアップごとに加算されていくニョロ~』
『じゃあプレイヤーはスキルを使えないニョロ~?』
『いやいや、スキルは普通に使えるニョロ~。ただし、特定の職業と特別なアイテムが必要でプレイヤーメイドの文字技能の方が能力値が高いニョロ~』
技文字の説明が長すぎる。下手したら免許の講習ばりに長くなるなこれは。
「ロンガー。これ最後まで見ないといけないのかにゃ~?」
「別に大丈夫ニョロ~。でもせっかく作ったから最後まで見て欲しいニョロ~」
「えーっと、別データで貰えるかにゃ~? 後で見れたらって思うにゃ~」
「わかったニョロ~。後で送付しておくニョロ~」
しょぼんとしたからダメもとで言ってみたら貰えてしまった。と言うかAIの手作りなのか。登場触手が触手なだけにモチーフにして作られた映像じゃなかったのか……。
「じゃあ、ブロウワードを決めるニョロ~。この中から選ぶニョロ~」
テレビ画面になっていた触手が引っ込み、操作盤の方の画面に候補が現れる。上下にスクロールすると思ったより少ない感じがする。
「文字が少ないみたいだけど、これって何か意味があるのかにゃ~?」
「そうニョロ~。さっきの映像の中に説明があったニョロ~。プレイヤーは決められた初期文字とランダムに選ばれた一般文字の候補から5つ選ぶニョロ~。一文字のブロウワードは再使用時間がほぼないニョロ~。その代わり性能も少なく、剣なら切る時、殴るなら打つ時に効果が乗る程度ニョロ~」
「なるほどにゃ~。だったらこの震えるとか力とかの場合はどうなるにゃ~」
「そういうのはレベルに対応した時間使えて、全部消費したらリキャストニョロ~」
つまり、出力的に考えると、一発ずつ撃つ狙撃銃と連射するマシンガンみたいなものか。まあ、威力はレベル準拠のお察しらしいけど。
文字を見ていて気づいたことがあるのでロンガーに聴いてみる。
「そう言えば獅とか竜とかの動物の文字や神とか滅びとかの超強系文字がないのにゃ~?」
「そういった文字は限定文字に分類されるニョロ~。全プレイヤー中一人しか所持できないニョロ~」
「理由としては強すぎる感じだからかにゃ~」
「取得方法は自分で探すニョロ~。ブロウワードの中でもリミットワードの条件はかなり厳しいニョロ~」
ブロウワードの中と来たか。リミットワードの他にも細かく散らばっているようだ。操作盤をまたいじくり回して、どんな型にするか悩みながらも思った通りに出来た気がする。後々変わるから気がする程度だが。
「出来たにゃ~」
「ニョロ~。じゃあ、ジョブ、職業はなににするニョロ~? 後で決められるけど今決めるニョロ~?」
「う~んと……、じゃあパン屋で」
「ニョロ~? ジョブは育たないって言っても補正や適性が付くニョロ~。ホントにそれでいいニョロ~?」
「戦士とか魔法使いとか沢山してきたにゃ~。だからこういった時には変なのを選ぶようにしてるにゃ~。それでもこの死人は選ばないかにゃ~」
同じ画面に映し出された職業欄の中からコック、料理人の内のパン屋を選んだ。理由は何となくだが。戦うパン屋。なんか格好いい雰囲気が作れる!
「いつでも変えられるし増やせるからいいけど、頑張るニョロ~」
そう言って画面が切り替わり、世界地図の様なものが出てきた。
「じゃあ、スタートする場所を選ぶニョロ~。国家間の移動はプレイヤーは邪魔がなければ自由に移動できるニョロ~。大抵のプレイヤーはどこかの国に属国するニョロ~。でもするもしないも自由ニョロ~。どこにするニョロ~?」
ぐるぐると地図を回してその特色を見ていくが、始める前に夏秋からメールでここにいるってあったからそこから始める事にしよう。
今まで設定した項目が出て来て間違えていないことを確認すると確定のボタンを押す。
「出来たニョロ~。それじゃあ行ってらっしゃいニョロ~!」
足元が光り、魔方陣が描かれ輝きが増し始める。
「あ、いい忘れてたけど、君たちのフィニッシュブロウワード、必殺技の命名って君達の名前になるから気を付けてニョロ~!」
「は? えっ? にゃぁぁぁぁあああああああ?!」
そういわれた瞬間、足元の魔方陣が古典的送出方法が空いて体が宙に浮かび真っ暗な穴の中を数秒落ちた次に成層圏からの非パラシュートダイブに変わった。
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
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┃◎フ < 案内用のAIの上には段階的にセキュリティクリアランスの上がった根幹に関わるAIが連なり、最終的にはいくつかのものになる。
案内用AIの種類
獣型 種によって対応まちまち。外れ枠のラーテルは噛みついてくる(ふたつの意味で)
虫型 大抵大人しい。ただ赤い甲虫は我が道を行き黄金鬼鍬形(cv関さんか檜山さん)は傍若無人
鳥型 大半お喋りで聞いてないあれこれを喋り素直に聞いてると一時間以上経過する。ハシビロコウは逆に喋らないので違う意味で時間がかかる
魚型 自由気ままに説明してよく脱線する。ア ソ ボ
?型 おやおやおやおや
zg@kiy:@yq、qkd]!
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