アラタメテコノクライ
負けた騎士が外した鎧を着直し、もとの場所に戻るまでそう時間はかかってはいないが、その間誰も言葉を発しなかったので暇なのでアイテムボックスの中にまだあるスキルスクロールを二、三個開いてエフェクトを眺めていた。
「我が騎士が時間を取らせたな」
「いや、いいにゃ~。別に怒ってはいないけど賠償を求めるにゃ~」
「ああ、いいぞ。その前に、お前は私に雇われる。引いては我が帝国に所属するということになるが、いいか?」
「それはもうしょうがないにゃ~。ここまで固められてたらあとはどうとでもなれにゃ~」
「ふむ。ならば先払いにお前の壊れている武器を直してやろう。それとお前が言う賠償。何を求める?」
「んー、……あっ、スキルスクロールが欲しいな。使わないとか被って個数が増えたとかで貯蔵しているやつ。そこから1個くらいなのと、こっちのダブったやつと交換とかしたいのにゃ~」
武器とか防具とか、なんかすごいアイテムとか考えたけど、今はちょっとスキルが欲しい。技文字のレベルが上限に到達しないと次の技文字が選べないので貧弱なステをスキルでなんとかしたい所存。
「その程度か。良かろう。ベスティリーベ卿、案内をしてやれ」
「はい、畏まりました」
「ではこれにて解散とする。各々職務に励め。……リンドス卿。貴殿は自らの驕りを改めるがよい」
「「「はっ!」」」
「……はっ」
一瞬にして案内を任された騎士以外がその場から消えていく。ほんの差だが一番最後に消えたのはさっきの戦った騎士だ。
それを見送った皇帝が消え、一番関わりが多い案内の騎士がこちらに歩いてくる。
「手を出せ」
「そんなぁ、いきなぐぺっ」
冗談で頬に手を当てくねる仕草をしたらためらいなく首を掴まれ、次の瞬間にはなにやら堅牢な扉の前に立っていた。
「ここが宝物庫だが、反対側の扉にも外からの鍵がかかっている。それに宝物庫の場所はこの移動方法以外では辿り着けない場所になっているらしい」
らしいと言うことは詳しく聞かされていないって事だろう。あの十人の騎士以外は入れないと言うことはないだろうが、金庫番的な人は皇帝以外知らなそう。
そう思いながらもペチペチ首を掴んでいる腕を叩いて窒息を注意しているが無視されている。窒息の苦しさは仕様上のフィルターで軽減されているが運動したあとくらいに苦しいので早く放して欲しい。そしてその願いは、そこから更に移動して絢爛豪華なこれぞ皇帝の宝物庫な場所でようやく解放された。
「少し遅かったな」
「下手に盗みに入らぬよう注意をしていましたので」
宝物庫の中にはなぜか皇帝がいた。プライベートルームかのように宝石で飾られた机と椅子を使い、成金趣味みたいなティーセットで紅茶を飲んでいた。ストローで。
「なんで鎧を脱がないのにゃ~」
「それはお前のような外部の者がいるからだ」
「鎧姿だけでいる方が、脱いだときに誰かわからなくなるだろ」
「陛下!」
お忍びをしたい年頃なのだろう。鎧でくぐもっているから若いのか老いているのかわからないが。
皇帝の目の前にあったティーセットからお菓子を1つ取ってむしゃりと食べる。やべっ、本場スコーンだったから味がもそい。
「お前……」
「よい。それで、武器の修復だが」
「……んく。ああ、ヨーヨーを直してくれるって話にゃ~?」
ストレージから風船ヨーヨーの残骸を取り出すと、手元のゴムの先に膨らませる前の風船が付いていた。この状態からだと中身が入れられないから普通じゃ膨らまないよな? まあ普通のヨーヨーじゃないけど。
「そこで取り出すのはこの装置。古代の錬金術師が作り上げた簡易錬金装置なんだが、武器の修復なんかにも使用している」
「えっ、無駄遣い……」
「無駄遣いではない。お前の持っているようなダンジョン製の物は普通の鍛冶士では直せない。ゆえに直ぐに直す必要性のものに限り利用している。本来ならお前などに使わせる物では……」
そんなものを使うのか。それじゃあありがたく使わせて貰うとする。若干、皇帝の口調が砕けているが良いのだろうか?
外見は直方体に近く、上部に投入口があり横にレバーが付いている。素材を入れてレバーを引くと出来るのかな?
「では、まず最初に合成元になるお前のそれを先に投入しレバーを引く。そして材料になるこの鋼材を入れてもう一度レバーを引く」
だいたい想像した通りの方法で装置が起動する。削る音だったり燃える音がするのだが明らかに必要ない音まで混ざっている。鐘の音とかどこで使うんだよ。
「そしてこの前面にある回転している絵柄の下にあるボタンを3つ押すと」
「ステイ」
見た目とレバーを引いてから聞き覚えがありまくる音楽をあえて無視していたが、それが伊達や酔狂で飾り付けられていると言うわけじゃ無いことがわかったのでボタンを押し掛けた皇帝の手を掴む。
「むっ、何をするか。ボタンを押さなければ完成せんぞ」
「わかっているにゃ~。ものすご~くそれはわかっているのにゃ~」
「ならばなぜ止める」
「これ明らかーに別の世界のデザインだよにゃ~」
この簡易錬金装置についているボタンを適当に押しても成功するだけならおまかせするが、明らかに違う絵柄が色違いの絵柄の中に混ざっているのが見えた。俺よりかなりのレベル差がある皇帝が気づかない訳がないからこれは身体能力でどうこうできるものじゃないと見た。
ならばここは俺の出番だ!
「輝け! 俺の変運!」
人によっては今日の運勢占いの良し悪し程度に感じられるかもしれないが、そんな1位12位、大吉大凶、生か死かの二択で計れないほどの俺の運。今こそ発揮するとき!
「…………あっ」
「黄色が揃ったな」
「はい、揃いましたね」
変則的なタイミングでボタンを押し終わったときに気がついた。俺あんまり願ったらいけないタイプだった。ポヨンッと排出されたヨーヨーは色が変わった以外は完璧に直った姿で出てきた。
「ま、まあ? 運なんてそんなもんにゃ~。できる出来ないで? やるものじゃないにゃ~」
「おい、風船をそんな速く弾くな。思い通りにならないことなんて良くある事だろ」
「べ、べつに恥ずかしいから弾ませてないんだからね。これは耐久試験であって八つ当たりじゃないんだからね!」
バスバスと弾ませつつ目を放流する。俺の運は気負うと5厘の確率で、虚無状態だと7割の確率で最大の成果を得られる。ほぼほぼ意図しないタイミングで最大発揮してくれる俺の変運に普段は期待してなかったのだが忘れてて気負ってしまった。
「音が鈍くなって来ているぞ。そろそろやめろ」
ヨーヨーの音が重低音になり始めた時にストップがかけられた。
修理ついでに強化されたヨーヨーは曲がる回数が一回増えて強化値が底上げされていた。そこそこ強化されているが、絵柄が揃わない場合はただの底上げ程度だろうか。
「すごいしぶしぶな表情になっているが修理程度だと言っただろう」
「いやまあ、成功する確率があるなら狙いたくもなるにゃ~」
「因みに強化する素材で成功率が変わる。今入れたのはちょっといい鋼材だからあまり成功しないがな」
「それ先にいってにゃ~」
気負って損した分スキルスクロールを選ぶときは頑張った。凄く頑張ったが二、三個しかゲットできなかった。けど面白い『召喚術』を覚えたのであとで試そう。
「よし、お前に与える最初の皇命は隣国の姫を堕としてこい」
「…………物理的に?」
「精神的にだ」
「う~~~~~~~~~~~~~~~~ん??????」
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
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|◎フ < 簡易錬金装置について
この世界の古代、神代呼ばれた時代の後の過去の話でとある稀代の錬金術師が自分の成果を手伝い、それ以前に弟子にすらも教えたくなかったために作り出した装置。
自分が生み出したレシピや時間がかかる錬金を短縮するために作ったために表向きは公に研究や依頼されたものを作るために使ってはいるが、稀代の錬金術師だけが知るある手順を踏むととんでもないことができるようになる。
各国が所持するダンジョンから出土した高性能なものはのちの弟子が残っていた手記の中から性能は落ちるが複製に成功したものである。いろいろな街にも持っている店はあるが、それはさらに複製して錬金の短縮しかできないものである。
そして大本のオリジナルはその錬金術師が没する前にどこかへ壊したとも隠したとも伝えられている。
形状は
四方向型スロットマシーン
一方向型スロットマシーン
レバー付き箱
ネタバレ
一応年代的には合ってはいるが、作り出したのはゲーム制作者の内の?型AIを創ったジンブツ。世界を創ったはいいがスキルや魔法があるのに思ったより2000年位発展が遅いので技術促進をするためにテコ入れをした。
勿論その制作をしたジンブツはいちいち手順とか制作方法から考えないタイプなのでオリジナルの装置の中身はギアとか魔法結晶体とかそんな技術と魔法でできたものではなく、開けてびっくりショゴス箱のように触手型AIと粘菌型AI、それに球根型AIを空間を弄って詰め込んでできたものなので後処理に駆られた蟲型AI担当の二人が技術を用いて複製を突貫で作った。
〝章題〟
1.I am Alabaster
〝終了〟




