ウバウトキアルカ
「【奪う】アーンド、リリースッ!」
周囲の見えない刃を雨粒で視認出来るようになったが、一瞬でも牽制を止めると目の前に跳んできて斬りかかってくる。これが起こる原理はわからないが隙きを見せたら来るとわかっていれば怖くない。
今の俺の手札に生き残る手は2つある。1つはこの時間稼ぎのまま残り15分を乗り切ること。ただし限定召喚と言うワケわからないもので呼び出されているので0に何が起こるかわからない。倒すのは無理だからどう時間切れにするかが問題なのだ。あ、1つだったわ。
ほかにわかったことはあの剣やコルクを弾くもの。さっきから地面に転がっているそこら辺の物を適当に掴んでは投げ掴んでは投げを繰り返していると、時々すり抜けるタイミングがあることを発見した。したのだが、あまり意味ないかもしれない。憶測の上に希望観測まで入っているから。
「いやそれに賭けるか。賭けるしかないよな【奪う】」
現在のSTRで持てる最大の岩を足元の地面から切り出し叩きつけるように投げる。牽制のヤケクソが止またため目の前に構えて現れるがその上には巨大な岩石が降ってくる。それを剣で切り裂いて回避をした時縫刻限劍にアイテムボックスから剣を空になるまで投げる。
なにかの制約に引っ掛かったのか剣の雨を切り払い出した時縫刻限劍だが、飛んでくる剣の中に混ざった何かを斬った瞬間に動きが鈍くなった。
「賭けは俺の勝ちだな」
剣の雨の中に紛れ込ませた『在りし日のヨーヨー』が割れて中身が時縫刻限劍のローブに染み込んだ。ヨーヨーの硬化は風船なのか液体なのか、それとも気体のどれかが原因か解らなかったがローブに染み込んだ液体が硬化の要因のようだ。弾く、つまり衝撃を与えると固まる性質らしく時々【波】派生の技文字を使っていると弾いてないのに固くなったから衝撃を与えると固くなるとわかっていた。そこでこの作戦だ。
このヨーヨーはいつか直るから壊れても惜しくはない。というかゴムと別れた状態からどう直るのかわからない。結べば早く直るのか?
さっきまでのように動くとローブが硬化して動けなくなった時縫刻限劍が無理やり動いて切りかかってくるが、速度がないため簡単に避けられる。なので、人間の両腕に当たるローブの袖を残ったヨーヨーの紐で結んでもう一方にからませて引っ張る。硬化していることでちょっと硬いがSTRがうまく働いてないのか妨害もなく両袖を合わせるようにできた。そうすると糸が切れたかのようにバサッとローブの形が崩れる。
「ほほう、つまり剣の方が本体みたいだね」
抗議するかのように袖先の、詳しく見ると剣の柄にある輪にローブが結ばれていてそれを隠すかのようにダボつかせてた部分を伸ばし、結んだゴムを切ろうと曲げようとしている。こいつもしかして自身を操れない操作方法なんだろうきっと。人を乗っ取る魔剣に似た力みたいだな。
「すぅぅぅうう。にゃぁぁぁぁああぁぁぁぁああぁぁぁぁああぁぁぁぁああ!!!!!!」
それは問屋が卸さないと【波】で強化した大声で衝撃を与え固めるとハンマー投げのようにぐるぐる回す。それでも抗い剣身が遠心力を無視して回転の先の方向に先を向けた。これは投げ飛ばされたあとのことを考えてわざと遠心力に逆らっているようだ。
「だけど、ハンマー投げじゃなくてただのハンマーだったりして【波打】」
技文字込みで地面に叩きつけて剣身を埋める。そのあとにローブの上に乗って、剣でローブごと縫い止める。意外にこのローブが頑丈で切れずにそのまま地面に埋まった。
あと数分で制限時間になるので今までの借りを込めてコルク銃を剣に向けて連射する。
「気絶しろ気絶しろ気絶しろ気絶しろ気絶しろ気絶しろ」
最後の足掻きで此方の命が取られないように二丁のコルク銃の気絶付与が発動するまで撃つ。ついでに【波打】をコルク銃を撃つ瞬間に開放して威力の底上げを行う。コルク銃の装填時間と【波打】のCTが被らないため時々空く攻撃の間に若干動くため【波】を溜めた大声で抜けた分を押し戻す。
そして何もできないようにさせてから残り時間が三分を切ったときにやはりそれは起こった。周囲に降らせていた小雨で浮き上がっていた見えない刃が動き始め、小雨を切り裂きながら近くの同じ刃を取り込むと次の刃に向かっていく。
「おやおや~、ちょっと不安すぎることが起きてるにゃ~」
顔に作り笑顔を張り付けながら周囲を飛び回る見えない刃が大きくなってるのがひしひしと感じる。主に大きくなる風切り音で!
怖い! 超怖い!
でもここを離れると完璧にこいつ動き出すから! 構図的に2対1になるから! だからこの作業をやめることができない。
ひゅんひゅん風を切る音が段々と近づいて来ている。
「気絶しろ気絶しろ気絶しろ気絶しろ気絶しろ気絶しろぉぉぉぉぉおお!!」
タイミング的に最後のコルク弾がヒットした瞬間に背後からとてつもない突風が襲ってきて時縫刻限劍の上から吹き飛ばされた。
【00:00】
『制限時間まで生き残りました』
『アナウンス:【時縫刻限劍LV1300】が限定送還されました』
『限定送還【時縫刻限劍LV1300】』
『称号【時縫刻限劍の時奪】を獲得しました』
『称号【魔法を繰りし者】を獲得しました』
『称号【勇ましき者】を獲得しました』
『生存報酬を獲得しました』
『遭遇報酬を獲得しました』
『戦闘報酬を獲得しました』
なにか称号を得たようだがステータスの方に表示されないし、条件も効果も確認することしかできないので得たことしかわからない。マスクデータに関わることなのだろう。あってもなくても関係ないということだ。
壁際まで転がされてさかさまで止まった状態から起き上がると報酬の確認をする。遭遇報酬と戦闘報酬は消費アイテムの詰め合わせで中身がわかるランダムボックスのようなものだった。アイテムボックス機能の付いた袋ではないが、ステータスの表示からどのアイテムボックスに移動させるかができるようになっていたので、ストレージ内の特大ボックスにこの二つは移動させておいた。
「で、生存報酬がこれなのかにゃ~」
生存報酬は装備品、しかもスキル付きの装備品だった。
[時刻祀る祭具面]
VIT+70%
【装備者固定】アラバスター
所有者が変更できず所有者と共に再生される
たとえ奪われても必ず戻ってくる
【?????】
?????? ? ??? ?? ?????
【?????】
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【空白】
なにもないなにか
さっきの時縫刻限劍をモチーフとしたお面だった。プラスチックで作られているような安い造りのお面ではなく、木からそのまま彫り出し着色したかのような立派な造りをしているものだ。神楽や歌舞伎で使っているものに似ている。
このお面スキルが四つもあるくせに内2つは文字からしてわからないものだし、最後の空白については意味が分からない。だからこいつの今の性能は壊れても直る上に盗まれないちょっと良い装備程度になっている。
正直に顔に付ける……ことはせずに今は腰の横に結んで付けておく。ちょっと腰回りに違和感が生じているが少しすれば慣れるだろう。
戦闘で削れたHPを回復の水薬で戻して準備を整えると、入ってきた方ではない通路に進んでいく。そこからは一本道で大部屋もなくモンスターも出現しなかった。そしてかなりの時間歩いていると厳かな雰囲気を持った岩盤を荒く削りだしたかのような部屋に到着した。そこには一本の見覚えのある大剣が切り出したような台座に刺さっていた。
「ほう、ようやくここまでこれたか。まあその前に一回死んでいてくれ」
そしてどこかで聞いた声がしたかと思ったらいつの間にかHPが全損していた。
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
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|◎フ < EXTモンスターについて
EXTモンスターとはエイジェンマ・フラグメント内の超強力ボス、いわゆるレイド並の強さを持つモンスターである。
彼らはいかなる場所にも存在していて例えばありきたりな強者の象徴である龍や神様の細分された分身だったり、世界に存在しているモンスターの中から生まれたイレギュラーが育ったものであったりする。最低レベルは700からで生物、器物問わずに限定文字、職業持ち抜きの国1つの全武力で相打ち近い勝利ができるかどうかのが平均の強さである。弱いものは戦闘とその他が50:50のカンストした人物がタイマンで勝てるものもいる。
例えば成長しきっていたら大陸1つ腐敗させる毒を生み出す鶏甲虫だとか、生まれた瞬間にたまたま始めたばかりのブロワーに巻き込まれたさきで衝突した二足歩行の巨大サイだとか、左右非対称だからと潰されたり強化された多大なる物量によって蹂躙されたりするものがいた。
EXTモンスターに遭遇し生存したらその時の行動によって報酬が現れることがある。大半はMVP最大ダメージ量や生存時間、その他から選ばれる。ヒューマリアンはそれを神からの賜り物と教えられている。
報酬はアイテムの場合は汎用性が高いものの詰め合わせだが、武具の場合そのEXTモンスターと人物のデータからランダムに生成される。大抵はその人物に合った物が出てくる可能性が高いが、悪ふざけのせいでとんでもない物が出てくる可能性もある。
エイジェンマ・フラグメント内で得られる称号はこのEXTモンスターが関わるときだけであり、その他の人物から得られる称号は、EXTモンスター関係で得る称号が世界大会で付く二つ名だとすると県内でついたあだ名くらい違う。
称号はブロワーが積み重ねているデータに外部要素として入力されるyを分別するラベル的なマスクデータなので普通にプレイしているだけだどほぼいらないもの。
EXTモンスターはイレギュラー個体がなったものはオンリーワンで絶対個性なので似たようなものでも完全に一緒なものはいない。何対で一体といった裁量がなされているもの以外。




