イツカマキリクルト
鳥蜥蜴を倒したことで漸くレベルが50になったから新しく職業を得ることができるようになった。2個目の職業を得ることでレベル上昇の際に上がる能力値が更に伸びる様になる。上昇補正が更に掛かるのだ。
「今パン屋だからな~。STRとTECが高くなってるからな~。魔法職にでもついて魔法を覚えてもいいかもにゃ~」
大部屋以外の敵はだいたい気絶の状態異常を与えるコルク銃が通じるから楽に倒せるようになっていて、気を抜いていても死ぬことがない。なんなら鼻歌混じりでも余裕綽々でシャクシャクな感じ。
「って言ってもここリスポン固定だけで職業変えれないから地上に出てからになるんだよな~。その間の上昇値が勿体なく感じるにゃ~」
バシバシ弾いていなくてもそこそこ強いヨーヨーを振り回しながら小鬼を倒していく。まあ、職業の上昇値については50からレベルが上がりにくくなるようだから、積極的に倒しに行かないレベルが上がらないから今はあまり関係ないと思うが。
おっ、宝ば……コイツモンスターだ! 射程範囲を間違えて微かにピクッた宝箱にコルク銃を乱射して気絶したところを三重強化したヨーヨーをぶつけて倒す。落としたのは一回り小さい宝箱……マトリョーシカか?
ドロップアイテムの癖に律儀に鍵がかかっているそれは持ち運び出来るようだからストレージのアイテムボックスに入れて後回しにする。ダンジョン内の宝箱は基本動かないからその場で開けるしかないから開けているが、動かせるなら安全なとこで開けるわ。
「くそっ、こっちにクソデカ蟷螂居やがる。迂回じゃ、迂回しよ」
進む先にアイアンサイスに攻撃されていても悠々捕食している更にデカい蟷螂がいた。八本ある腕と脚全てが鋭い鎌になっているクソデカ蟷螂。あの蟷螂には前に六回殺されているからかなり忌避感が強い。今居る一本道の手前に分かれ道があったのでそこを曲がって接敵を回避する。
前にも戦ったあのクソデカ蟷螂、最初から隠し鎌だった物を合わせて四本の鎌を最初から振り回すし歩く程度でも上から四本脚の刃の雨霰で、おまけに風系のスキルを所持している厄介極まる害虫だ。近距離で鎌、遠距離で四本の腕の鎌で飛ばしてくる風スキルで何度も殺されている。蟷螂が嫌いになりそうだわ。
そいつを回避した道の先に開けた、いつも通りの大広間があった。何度も入った経験のパターンからそこに入ると、その部屋の近くの大型を呼び寄せているようで接敵を回避した大型がやってくることもしばしば。
「クソデカ蟷螂は嫌だ。クソデカ蟷螂は嫌だ。クソデカ蟷螂は嫌だ。クソデカ蟷螂は嫌だ」
「ギチギチギチチッ」
「クソデカ蟷螂いいぃぃぃぃいい!!」
嫌な予感ほど当たると言うが、ここまで嫌がらせされるのはいつぶりだろうか。そんな感情を抱きながら、今までの鬱憤と覚悟を決めてクソデカ蟷螂に歩きだした。
「━━━━━━ッッッ!?」
「ギ━━━━」
嫌な感覚が全身を固めた次の瞬間、薄黒いローブを纏った時計の針の様な巨大な二本の剣を持った何かが俺と蟷螂を一瞬で切り裂いた。いつからいたのか、いつ現れたのか完全にわからない。
切り裂かれた俺の方は安全祈願のお守りを所持していたので死亡は回避したが、はなから持つことができない蟷螂は即死してアイテムをドロップしている。アイアンサイスと同様の鎌かと思っていたが鎌の刃を直接剣にしたかの様なものが落ちていた。
『限定召喚【時縫刻限劍LV1300】』
『アナウンス:【時縫刻限劍LV1300】が限定召喚されました』
『召喚制限時間まで生き残って下さい』
「突如運営アナウンスが入ったと思ったら完全に俺死亡パターンキタコレにゃ~!! 制限時間は何分にゃ~!!」
【01:30】
何分?
一時間半? いやいや、まさか一分半の間違いでしょう。HAHAHA。
『残り時間、一時間半』
「くそがぁぁぁぁああ!!」
アナウンスからの無慈悲な応答にやけくそ気味にアイテムボックスからコルク銃を取り出す。道中でさらに複製した二丁を両手に持って交互に撃つ。流石に多大なレベル差なので効きもしないだろうと思いながらも撃っていたが、壁に阻まれるかのようにコルク弾がパンパン弾かれるのは流石に意味がわからない。
倒せるわけないのでコルク銃で牽制しながらバックしながら出入口へ向かい逃げようとするが、その道との境界で不思議な壁に阻まれて内から出られない。
知らないのか、ボスモンスターからは逃げられない。これ世界のルール。
「酷いものを見たにゃ~。手持ちの武器じゃ攻撃が通らないだろうし。でもイケるにゃ~。嘘だけどにゃぁぁぁぁぁ?!」
一瞬の現実逃避も現実のモンスターが向かって来たことにより虚しくも無意味を突きつけられた。振り上げられる剣の脇を跳び前転でくぐり抜ける。
抜けた先で振り替えりコルク銃を撃つと弾かれずにローブに当たった。だが2、3発当たったところでまた阻まれる様に当たらなくなる。どんなギミックでガードしているのか、ヒントは【時縫刻限劍】の文字のみ。
「いやあ、ここまでヒントを出されているとファンタシー初心者以外はわかるだろうにゃ~」
名は体を表すと言う諺通りだと時間が関係していると推理できる。時刻に刻限、その文字がブロワーと同じなら力の源は合っているだろう。
「つまり何かの時を止めて阻んでいる感じかにゃ~。と言うか空気だろうけどにゃ~」
最初に現れた時の嫌な感じは周囲の空気を固められて体が動かなくなったせいなのだろう。だけどそれに対してどうこう出来る対抗スキル持ってない、と言うかレベル50にそれを期待してたらスタート組は時間停止無効が標準とか、なにそれコワ。
「と、そんな感じなのだけど君鳴くこと出来ないの? ほら喋ってみてにゃ~」
「━━━━━━」
「やっぱ駄目かにゃ~。意外と人型だからモンスターだけど喋れそうなんだがにゃ~」
人型のモンスターはここには出てこなかったから喋るかわからないが、別のゲームでは喋る奴も居たから一応確認してみたけどコイツは喋ることが出来ないようだ。
「ちょっと喋ろうにゃ~? 牢屋からダンジョンの中まで太陽の光が無いからちょっと気が滅入って来てるからお喋りしようにゃ~」
「━━━━━━」
「ほら君の中身とか気になるじゃん? そのローブどこで買ったのかとかその剣の能力とか知りたいにゃ~」
一定距離を保ちながらコルク銃を撃っているが一瞬で距離を詰めてくる時があって、その瞬間を気にしていれば死ぬことはないはず……、いやこれフラグじゃん!
「ほら二段階来たよ! ほら死にそう死にそう死にそう」
脇を抜けたあとに振り替えったら目の前にいて反射的に【弾き】したら意外といけたが、次も出来るとは限らないので慎重に避けることに念頭をおく。何もしなくても一撃で殺られる。お守りが一撃で破壊されたから日付変わるまで何新しく持つことができない。次やられたら牢屋送りにされ……。
「ごふっ?! 何でやられた? 何をされたんだ、いったいなにされたんだ」
何かに刺さったように腹から血が出て体が固定された。傷口を触ると何か見えない硬いものに触れる。形状的には三日月で端が鋭い。つまり移動した先にあったこの何かに突き刺さって固定されていると言う状況だ。つまり。
エイジェンマ・フラグメント溢れ話
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