表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リザードマン戦記  作者: 灰色 人生
第1章 ミナフルレア王国西部戦線編
6/11

第6話・城郭都市サンカウレ

 

 ヴェネラの転移魔法で転移した先には、巨大な城郭が三重もある、巨大な城郭都市であった。




「此処は?」


「此処は城郭都市サンカウレよ。このミナフルレア王国でも最大級の規模と、防備を誇る都市よ。此処はもし樹海の魔物が、大挙して侵攻して来たときに備えて、建設された都市なのよ」


「見たところ、城郭はそれほど傷付いて居ませんね。流石は師匠ですね。この様に巨大な都市を落としてしまうとは」



「そうね。多分使い捨てのスケルトン兵を大量に使ったのでしょうね。あちこちに小さな骨の欠片が落ちて居るわ」



 ヴェネラが指差す方を見ると、確かに地面に骨の欠片があちこちに落ちて居る。



 それを一瞥してから、二人は門のところに向かう。



 門の兵士は、師匠であり軍団長のガインドが作成して、通常のスケルトン兵よりも数段強くなったスケルトン兵士だ。


 此方が身分を名乗ると、すぐに中に通された。



 都市内では、普通に占領下になったが、市民達が歩いて行動して居た。



 多分この手際の良さから、判断するに、師匠では無く、副団長のアルラウネのミネルバさんだろう。


 ミネルバは緑眼紫眼をしている女性で、上半身は人間の女性に似た姿で、大層美しい見た目をしている。


 下半身は赤い薔薇であり、それをドレスの様な見た目にしており、人間の令嬢の様に見える。


 それにしても、見事な内政手腕である。



 三重の城郭を抜けて、この都市の中心に位置する、サンカウレ城の中へと入る。



 通されたのは、大会議室であった。


 既に大会議室内には、ヴェネラを除いた3人の師団長が揃って居た。


 後ろにはレンスと同じように、護衛が一名付き添っている。


 彼ら3人も軍団長ガインドの弟子である。



 そして上座の席には、この魔王軍第3軍団の軍団長である。ガインド・ボルス・ファラオンが座って居た。



 微動だにせずに座って居るが、よく見たら寝ている事がわかる。


 そして、そのガインドの横に座る魔王軍第3軍団の副団長で、ガインドのお守り役のミネルバ・アランフォードはガインドの頭を叩き、ガインドを起こす。



「ん?皆揃ったようじゃの」と好々爺然とした態度で、何事も無かったかのように話し始める。



「さて、話と言うのはじゃな。魔王からある情報が届いてな。

 何でも人間側に勇者が誕生したそうじゃ。それと召喚でもう一人勇者を異界から呼び出した。とも報告書には記載されておったな。

 まあ、それよりもその召喚のプロセスが儂は気になっておる。だから勇者召喚をした国に赴き、その召喚陣を手に入れに行こうか。と思って居たんじゃが、残念ながら召喚した国は、此処から遠くてな。儂一人でも行こうかと思ったんじゃが、魔王とミネルバから止められてのぅ。

 ……お主ら何か良い知恵はないか?」とさらりと爆弾発言して、更には勇者には興味が無く、勇者を召喚した魔法陣が欲しいとのたまう。


 師匠の相変わらずな発言に、師団長達とミネルバは溜息を吐く。




「魔法陣よりめ勇者の方が、今は大事です。ガインド軍団長」とミネルバが言う。


 ミネルバが師匠では無く、ガインド軍団長と呼ぶ時は大抵怒っている時だ。


 今回は呆れの方が強いが。


「そういきり立つなミネルバ。婚期を逃すぞ?」とデリカシーゼロ発言をする。


 すると大会議室の空気が凍る。


「だ……誰のせいで!婚期が遅れてると思ってるんじゃ!テメェ!巫山戯んなよ!ぶち殺すぞ!」と鬼の様な形相でガインドに摑みかかるミネルバに、ガインドは「儂はもう死んでおるぞ?頭大丈夫か?」と火に油を注ぐ発言をする。



 このままではヤバイ!と周りの皆が判断した。


 妹分であるヴェネラがミネルバに、声をかける。


「落ち着いて、ミネルバ姉さん。確かに師匠のふざけた発言には頭に来るでしょうけど、今は勇者についての対策を相談しましょう?師匠の事はその後で、煮るなり焼くなり好きにしたら良いわ。でしょう?」



 ヴェネラの発言で、ミネルバは少し平静を取り戻し、咳払いをして話を戻す。


「コホン。そうね。みんな少し興奮してしまったわ。ごめんなさい」


 見れば、護衛として付いてきた者達は、レンスを除き気絶して居た。


 ミネルバの強烈な殺気と、魔力の奔流に当てられたのだろう。



 ミネルバが手を叩くと、兵士達が気絶した護衛を診療室に運んで行く。


 それを師団長達は気の毒そうに眺めている。


 この中でミネルバは、師匠のガインドに次ぐ実力者であり、彼女を止めるとなれば、師団長全員が決死の覚悟をして、更に自分の部隊を率いて、漸く五分五分に持ち込めるかどうかである。


 それ程までにミネルバは強い。


 それと言うのもミネルバは、ガインドの一番弟子であり、長い間ガインドの元で研鑽を積んだのである。



 そして、そんなミネルバよりも数十段ガインドは強く、それに匹敵する魔王も規格外の強さの持ち主である。



 はっきり言って、ガインドに部下は必要無く思えるが、ガインドは魔法以外は駄目人間である。


 そしてミネルバは、そんなガインドのストッパー役であり、ガインドが変な事をしないように。と魔王本人から直々に頼まれている。


 実際ガインドはその昔に、魔法の実験として放った魔法が、思いの外威力が高く謝って、国一つを消しとばした事がある。


 その当時はまだ人間であったが、それが原因で人間側から追われる立場になった。と過去の失敗談として、修行時代に面白おかしく語った事があった。





「さてと。今現在確認されている勇者の動向についてだけど、異界から召喚された勇者はまだ、それ程強くはないらしいわ。私と師匠の知識と、文献によれば異界から召喚された勇者は、最初のうちは通常の騎士達よりも多少強い程度よ。

 でも、異界の勇者の成長速度は凄まじく早くて、数年が経つ頃には、人間の中でもトップクラスにまで成長して、そのままより強く成長するそうよ。

 そして、この世界で勇者認定された勇者は、初めから強いわ。

 でも、まだ完全に覚醒しきってないからまだ強くなるわね。

 でも、最終的には異界の勇者の方が強くなるそうよ。

 因みに、勇者として突如覚醒するそうだから、どの様な条件で勇者になるかはわからないわ。

 教会が勇者と認定して、初めて世間から勇者と認められるらしいから、もしかしたら教会が何らかの秘術で誕生させてる可能性もあるわね」とミネルバは勇者についての情報を話してくれる。



「それで、異界の勇者は現在は、召喚された国に留まって鍛錬をしているそうよ。それに厄介な事に、召喚された勇者には、同じく異界から召喚された仲間がいるそうよ。

 その者達の強さは今のところ未知数ね。

 で、こちらの世界の勇者は現在北部に派遣される事が決まったわ。

 北部の方は激戦になっているらしいからね。

 それも魔王軍有利で、それを人間側は挽回したいのでしょうね」と勇者の動向についても話してくれる。


 それにしても魔王軍の諜報組織は優秀だな。


 チラリとガインドに視線を移すと、ガインドもへぇ〜そうなのか。と感心した様な顔をしている。

 やはり実質的にこの第3軍団を動かしているのはミネルバだな。と改めて思う。




「それで魔王様から何か指示は来ているのですか?」と第4師団長である、風の精霊であるシルフィ師団長が発言する。


 シルフィ・サラスティアは風の精霊の中でも、最上級の精霊の一人である。


 見た目可愛らしい緑髪緑眼をした、少女の様で、少し透けて居るが、立派な師団長である。



 精霊は元々は人間に力を貸して居たが、彼らの傲慢で欲深い態度に呆れて、彼らの元から去ってしまったのだ。

 中には彼らに手を貸す精霊も居るにはいるが、殆どはエルフとだけ契約を結んでいる。

 エルフも多少傲慢はところはあるが、それでも人間よりはマシであり、精霊を信仰して讃えて居る。




「いえ、今のところ我々第3軍団には、引き続き、ミナフルレア王国の攻略を継続するように。としか御達しされてません」



「なら、ミネルバの姉御。そろそろまた侵攻を開始しても良いんだよな?」と次にミネルバに話しかけたのは、第2師団長のジャッカル・グスターボである。


 彼はミノタウルスであり、怪力自慢で些か脳筋思考である。


 強いものが正義と憚らない性格をしているが、弱者を虐げる者を嫌い、それを部下にも徹底している。



「ええ、その予定よ。でも貴方の師団は突出しやすいから注意してよね。シレーヌ悪いけど、貴方の師団が一番広範囲をカバー出来るから、頼むわね」


 ミネルバに声を掛けられたのは、シレーヌ・ミスロバティは、第3師団長である。


 シレーヌの種族はセイレーンであり、足が鳥で、背中に翼がある以外は、人間の様に思える。


 美しい姿形をしており、黒髪青眼の美女である。


 彼女の師団は、飛行能力がある種族が大半を占めており、その為に他の師団などを上空から援護する役目も担っている。


 特にジャッカルの指揮する第2師団は、肉対戦を主体にした者が多く、遠距離戦は苦手とする。


 なので、シレーヌの師団から派遣された、部隊が上空から援護するのだ。




 その後も色々と話し合い、1日でも早くこのミナフルレア王国を支配する事に決まった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ