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リザードマン戦記  作者: 灰色 人生
第1章 ミナフルレア王国西部戦線編
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第5話・交易都市トランザクション

 レンスの直属の上司に当たる、第1師団長はレンス達黒龍旅団が占拠した、ウェスタンドから然程遠くない都市を占領下に置いて居た。


 竜馬の足で、2日程度で第1師団長が座す、交易都市トランザクションに辿り着いた。



 交易都市と言うだけあり、トランザクションは、他の都市よりも一回り大きく作られて居たが、防壁はお世辞にも良いとは言えない。


 交易で成り立って居たので、そこまで軍事力に重点は置かれて居ないのだ。


 このミナフルレア王国はあの魔物が跳梁跋扈する樹海と、西側全域が陸続きで、繋がっているの為に、軍隊の数は多く。更に各地から冒険者と呼ばれる者達も集まる国である。



 冒険者は基本的に国同士の争いには、不干渉を貫いてきたが、(個人で参加するのは自由)今回の魔王軍との戦争には全面的に強力をしている。


 その為に、普段ならミナフルレア王国に居た高ランク冒険者達が、北部に移動したので一気に戦力ダウンしたのである。



 そのおかげで、当初予定して居たよりも比較的楽に攻略が出来たのである。


 魔王軍第3軍団は、ミナフルレア王国西部の半数をその支配下に納めたのである。



 今現在ミナフルレア王国は、貴族軍も招集して反撃準備中との噂である。





 レンス達一行は、問題無く通されて交易都市の貴族街の中でも、一番大きな屋敷に通される。


 ここに第1師団・通称【吸血師団】の師団長ヴェネラ・スカーレットが滞在している。


 名前の通り、師団長のヴェネラは吸血鬼の真祖であり、その直属の部下達は同族と眷属で固められている。なので吸血師団と呼ばれ、ヴェネラ自身【吸血姫】との異名を持つ。


 そして、レンスとヴェネラは直属の上司と部下の関係以外に、同じ魔法の師の元で学んだ中で、ヴェネラはレンスの姉弟子である。



 二人とも闇魔法の適性が一番高く、よく一緒に訓練したものだ。



 屋敷の前の兵士は、二人とも吸血鬼である。



 人間達の間では、吸血鬼は太陽の光を浴びると、灰になる。と迷信があるが、実際は少し体力などのステータスが下がるのだ。


 まあ、それも下級吸血鬼のみで、中級以上は全く問題無く、太陽の下でも活動出来る。


 にんにくは苦手な者も居るが、普通に食べられる。


 心臓に木の杭を打っても、ダメージは受けるが即死はしない。


 銀の武器は多少他の武器よりも、ダメージ量は上がるだけだが、上級以上には効かない。



 などなど、数々の誤解がある。


 まあ、人間に倒された吸血鬼が、下級であったのだろう。



 門の二人の兵士から敬礼を受けて、中へと通される。


 レンスの魔王軍第3軍団内での評価は高い。


 最初のうちはリザードマンを下に見て居たもの達も、今ではそんな奴は居ない。


 まあ、リザードマン達は魔族とあまり関わらず、独自の生活を送って居たので無理もない。


 リザードマンは戦士の部族であり、幼い頃から戦闘訓練を欠かさず行って居る。


 実際に村を襲って来た、人間軍は多大な被害を受けて居た。


 一つの村のリザードマン約300人程度の村に、6倍以上の2,000人で攻めて来た人間軍は、勝利してリザードマンを全滅させたが、2,000名のうち、半数以上が死傷して、残った者達も傷だらけであった。


 その為により一層の危機感を募らせた人間達は、リザードマンに派遣する軍を増強して、精鋭部隊を送り込んだのである。


 それでもリザードマン種族を滅ぼす事は叶わず、こうして魔王軍に所属して復讐している。


 それに、各村・各部族ごとにバラバラで暮らして居たリザードマン達は、こうしてレンスの元で一かたまりになり、より強くさせてしまったのだ。




 ■



 レンスとグリットと10名のリザードマン達は、出迎えた執事に案内されてこの屋敷の現在の主人である。ヴェネラの元へと案内される。


 護衛であるグリット達を別室にて、待機させてレンスはヴェネラの待つ部屋の前へと通される。


 執事が扉をノックしてレンスの到着を知らせる。


 中から入室の許可が出たので入る。



 中には銀髪赤眼の絶世の美女が居た。


 赤いドレスを身に纏い、その陶器の様に白い肌をより一層際立たせて居る。


 彼女こそ第1師団長ヴェネラ・スカーレットである。



 執事は一礼して退室する。


「よく来たわね。【黒龍将軍】。それともドラゴルン子爵と呼んだ方が良いかしら?」


「やめて下さいよ。なら俺も【吸血姫】もしくはスカーレット伯爵。と呼んだ方がいいですか?」


 二人は楽しそうに、軽口を言い合う。


「ふふ。やめましょうか。レンス」


「そうですね。ヴェネラさん」


「さてと。冗談はこのくらいにして、レンスには私の護衛役としてこれから軍団長いえ、師匠の元へ行くわよ」



 レンスとヴェネラの師匠は、この第3軍団の軍団長であり、更に魔王軍全体の中でも、魔王と並ぶかそれ以上と言われるほどの魔法の使い手である。


 従って魔王軍の中の、それも魔法が使える将校以上の者は、殆ど彼の弟子と言っても過言では無い。



「わかりました。目的は今後の第3軍団の方針ですか?」


「さあ?わからないわ。あの師匠の事だもの。珍しい遺跡なんかを行軍中に見つけた。って理由で行軍を停止させたりも平気でする人よ?」


「それもそうですね」


「まあ、一応名目上は今後の予定についての会議。って事になってるわ」


 そうでもしないと、下の者達が動揺するだろう。



「さて、ここから師匠の居る場所までは遠いから、転移魔法で行くわよ」



「わかりました」


 転移魔法は時空間魔法の一つで、使い手は滅多に居ない。



 転移出来るのは、行ったことのある場所に限られるが、それでも使い勝手は良い魔法だ。


 そのかわり、習得難易度はとても高い。



 転移をする前に、レンスはグリットに此処で待機する様に言うために、待機して居る部屋に向かう。



「話は終わったのか?」


「グリット。これからヴェネラ師団長と転移で軍団長の所に向かう。お前はこの屋敷で待って居てくれ」


「わかった。レンスが戻ってくる間、都市の中を見て回っていいか?」


「そうだな。一応大丈夫だと思うが、許可を得てからなら行っていいぞ」


「了解。じゃあ気を付けてな」


「ああ。問題を起こすなよ」



 グリットと別れてヴェネラの元に戻る。


 ヴェネラの部下に言付けを済ませて、こちらにやって来た。


「さて、じゃあ行きましょうか。私が場所を知って居るから、私が発動させるわ」


「わかりました。お願いします」


 ヴェネラが転移魔法を発動して、軍団長が居る場所へと転移した。

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