表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リザードマン戦記  作者: 灰色 人生
第1章 ミナフルレア王国西部戦線編
2/11

第2話・ウェスタンド攻略戦・前編

 



 レンスの目の前には整然と並び待機する、旅団員達の姿があった。



 レンスは1段高く設けられた、場所に立ち彼らに声を掛ける。


「旅団各員傾聴!」とガッドが言う。



「諸君。軍団長閣下より命令が下った。これより我ら黒龍旅団は、人間領はミナフルレア王国領最西部の街、ウェスタンドに進軍。これを占拠し支配下に置く。ウェスタンドにはミナフルレア王国軍2万が駐屯して居り、数の上では劣勢だが、諸君らなら必ずや攻略してくれると信じている。進軍開始!」


 レンスが腰の剣を引き抜き、天高く掲げると「「「オォォーー!!!」」」と雄叫びが上がり、進軍を開始する。



 攻撃三倍の法則からすると不利だが、その不利を覆すだけの力がある。とレンスは確信していた。



 レンスは愛竜の竜馬に跨る。


 竜馬はラプトルに似た存在だ。


 竜馬はあまり懐かない、性格の生物だが、不思議とリザードマン達とは相性が良い。


 本能的に此方が上だと悟っているのだろうか?




 此処からウェスタンド迄は4日の距離である。




 ■



 4日後……


 問題なくウェスタンドの街近くに到着した。


 ミナフルレア王国軍は籠城の構えを見せている。



 数では優っているが、やはり身体能力の高さでは人間は魔族には及ばない。



 今回は敵の殲滅では無く、街の占拠であるために包囲しない。


 まあ、此方は6,000しか居ないので、包囲しようにも出来ない。


 ウェスタンドの街の西側に、黒龍旅団は陣取る。



 此方は早速ワイバーンに騎乗した、飛竜騎兵部隊とグリフォンに騎乗した、鷲獅子騎兵を出す。




 ミナフルレア王国軍は、グリフォンの下位種であるヒッポグリフを出して来た。



 黒龍旅団800騎に対して、ミナフルレア王国軍側は、僅かに200騎と圧倒的に此方側が有利だ。



「制空権を確保せよ」と号令を下すと、800騎はそれぞれ、編隊を組み攻撃を仕掛ける。



「魔法砲撃隊、攻撃準備」淡々とレンスは命令を下して行く。


 空で激しい戦闘が繰り広げられている。



 そろそろ此方(地上)も行動を開始するか。


「魔法砲撃隊、準備は完了しているか?」


「はい。いつでも砲撃可能ですレンス様」

 レンスの問いに答えたのは、副官のガッドである。



「では、砲撃開始。魔法砲撃隊に続いて、弓部隊も一斉射撃開始。前衛部隊は突撃を開始せよ」



 此方が魔法砲撃を開始すると、ミナフルレア王国軍も負けじと魔法を放って来る。


 だが、此方は独自に開発した複数人での複合魔法に対して、敵は個々人が放つ魔法でしかない。


 その為に威力は此方が断然上だ。


 だが、それでもあの数の魔法部隊の攻撃は厄介である。


「魔法砲撃部隊に、敵魔法部隊への砲撃を集中させろ」


「了解しました」


 伝来を受けた兵士は、すぐに駆け出して行く。




 敵も魔法だけでなく弓矢を放つが、リザードマンの鱗は硬く、辛うじて鱗に傷を付ける程度である。


 まあ、リザードマン以外の種族も、それぞれの種族適性を生かして敵の矢の攻撃を防いでいる。



 空を見上げると、敵のヒッポグリフ部隊は壊滅しており、制空権の確保に成功していた。


 ワイバーンやグリフォン達が、上から爆撃して行く。



 此方が使っている爆弾は、魔石に融解ギリギリまで火魔法を込めて、樽の中に油と一緒に入れて落とすだけだ。



 落下時の衝撃で、魔石が砕けて一気に爆炎を撒き散らすのである。


 もちろん魔石には予め細工を施している。


 人間側も真似しようとしたが、失敗している。


 それもその筈だ。


 此方には前世の記憶があるのだから。


 樽の中の魔石は二種類あり、火魔法を込めた魔石と、風の魔法で火山ガスを込めた、魔石の二種類を用意しているのだ。




 この世界にはまだ、ガスの概念が無いのである。




 なので彼ら人間は、魔法のだけで爆発を起こしていると、考えている。


 確かに爆炎魔法は存在するが、行為の魔法で使える術師は少ない。魔石に爆炎魔法を込め様にも、その場合は高価な魔石で無いと耐えられない。


 それよりも直接相手側に放った方が、安上がりである。



 前衛部隊が、正面門に取り付き、破城槌で攻撃を食らわせる。



 そして、いよいよ門が耐えられなくなり、閂の割れる音が此処まで聞こえて来た。



「では、王手をかけに行くか」とレンスは呟き、この場の指揮をガッドに任せる。


「では、後は頼んだぞガッド」


「お任せ下さい。レンス様。グリット、レンス様の事は任せたぞ」


「了解。ガッドの旦那。レンスの事は任せな」


 そう答えたのは、青色の鱗をしたブルーリザードマンである。


 グリットはレンスの幼馴染で気心の知れた間柄である。


 竜馬騎兵部隊隊長であり、レンスが竜馬に乗り突撃する時、その護衛役をしている。


「グリット。レンス“様,,でしょ?」


「アーリン。ちゃんと部下の前では閣下って呼んでるぜ?」


「はぁ。わかったわ。今は忙しいから後で話しましょう」


「行くぞ」


 このままでは、話が長引きそうだと感じたレンスは、声を掛ける。



 そしてそんなやり取りの間に、門は音を立てて崩れ落ちて行く。



「竜馬騎兵!我に続け!」とレンスが号令して、飛び出して行く。


 その後をグリットが続き、竜馬騎兵達も後を追う。



 レンスを先頭にした鋒矢の陣形で突撃した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ