昇降口から保健室にて ~あの日の繰り返し~
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「あれっ? 小鳥遊じゃないか? 今日は休みと聞いていたが体調でも良くなったのか?」
僕は全速力で、学校に戻ると丁度授業が無かったのか担任が昇降口辺りをうろうろとしていた。
「あー先生、おはようございまーす」
僕はにっこりとしたまま、担任に挨拶をした。
「お、おう。おはよう。と言うよりはこんにちはだがな……」
僕が三年も一緒に居て、一度たりとも見せたことの無いような満面の笑みだった事に驚いた表情をしていた。
「? 確かにこんにちはですねーあははっ……そうだ先生。僕決めました」
僕は一瞬考えるような素振りをした後、担任の言葉に納得してそう言った。
「決まったって……まさか、進路か?」
今の今ままで本当に頭を抱えていたんだろう。最近ずっと暗めの表情だった担任に久しぶりの笑顔が見えた。
「はいっ、でも、その話は後でゆっくりとしますから、今は失礼しまーす」
僕は元気よく返事をしてそう言うと、感動している様子の担任の横を意気揚々と抜けていった。
「お、おい、いう事だけ言って早々に立ち去る奴が……」
担任が何やら言っていたが、僕は最後まで聞く事はせず目的地である保健室へ向かって真っ直ぐに進んでいった。
――――――
「頼もー」
僕はそう言いながら道場破りでもするように勢いよく扉を開いた。無意識にそんな行動をしながら、僕は最初の頃藍さんを訪ねる為、保健室に来た日の事を思い出していた。
「……創君か……懐かしいな、随分とあの日から経った気がするが、まだ半年しか経っていないのか……」
藍さんもあの日の事を思い出しているようで、何処か遠い目をしながら僕にそう言ってきた。
「怒ってないんですか?」
一昨日僕は藍さんに何も言う事をせず、逃げるように帰ってたので、敢えて明るく振る舞っていたが、あまりにも藍さんは普段通り過ぎて、そう訊いてしまった。
「創君が怒るならまだしも、どうして私が創君を怒らなければならないんだい?」
藍さんはさも当たり前のように、あっけらかんとした表情をしていた。
「……あははっ……そういう人でしたね……藍さんは。何か気にしていた僕の方が馬鹿みたいじゃないですか……」
僕は肩の荷が降りたようにほっと胸を撫で下ろすと、笑いながらそう言った。
「まぁ、確かに私も馬鹿だが、創君もそうとう馬鹿だと思うぞ?」
藍さんは僕の空気が変わった事を感じ取ったのか、そんな冗談を言ってきた。
「……ふぅーさて、場の空気も和んだ所で申し訳無いんですけど、少し真面目な話をしてもいいですか?」
僕は一瞬だけ目を閉じて一つ深呼吸をした後、藍さんの方に真っ直ぐ視線を向けた。




