保健室にて ~気合ではどうにもならない事もある~
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そんなとんでもないやり取りをしている内に、あっという間に時間は過ぎていき、文化祭も終わりの時間に近付いていた。
「ぐぅー」
変な緊張感がある静寂の中、僕のお腹は正直で隠し通す事は出来ない音を立てた。
僕は恥ずかしさと気まずさから必死にお腹が鳴らないよう、我慢しようとしたが、気合いでどうこう出来るものではないので、無情にももう一度音を立てた。
「……あははっ、相変わらずだな創君は……」
一度目は軽く視線を向けただけだったが、二度目は流石に耐えられなくなったようで、藍さんは大笑いしながら僕にそう言ってきた。
「だってーだってー」
僕は藍さんにお腹の音を聞かれた事が恥ずかしくって、駄々をこねる子供のように椅子に座ったまま足をバタバタとさせた。
「そんな事を言ったって……何もこんなタイミングで……ははっ」
藍さんはツボにはまってしまったのか、笑いを堪えられないようだった。
「むーだって藍さんだって、お腹空いてるでしょ? そんな事言うならこれあげないもんねーだ」
僕は先程よりも更に駄々をこねる子供のようにそう言って、机に置いてあった焼きそばを隠すように後ろに回した。
「む、それは困るな。機嫌を直してくれ創君。流石の私もお腹が空いてるんだ。目の前にそんな美味しそうな焼きそばがあっては我慢が出来ない」
藍さんは僕の言葉に反応して、困ったような表情をしながらそう言ってきた。
「どーしよっかなー確かにこれは僕が作ったので間違い無く美味しいですけど……さっきの事を考えるとなー」
形勢逆転した僕はここぞとばかりに、畳み掛けるように藍さんにそう言った。
「……お願いします。その焼きそばを私にも食べさせて下さい」
藍さんは背に腹は代えられないようで、僕に頭を下げてきた。
「うーん。そこまで言うなら仕方ありませんね。でも、そのかわり食べさせて下さいよ。僕も藍さんに食べさせてあげますから」
僕は悩んだ結果、名案を思い付き満面の笑みを浮かべながらそう言った。
「うっ……し、仕方あるまい……良いだろう」
一瞬、藍さんは渋い表情をした後、意を決したようにそう言ってきた。
「そうと決まれば、藍さんこっちに来て下さい」
僕はそう言うと、来客用のソファーの所まで手招きをした。
「……?」
藍さんは僕の意図が分からなかったようで、不思議そうな表情を浮かべたまま、ゆっくりとソファーへ座った。
僕はそれを確認した後、焼きそばを手に持ったまま藍さんの膝の上にすっぽりと収まった。




