藍さんの車にて ~似た者同士~
「あまり信じ難い事なんだが、創君が私の名字のタチバナを選んだように、私も創君の名字に因んだ『小鳥』を選んだって訳だ……本当に驚いたよ」
僕がネックレスを渡した時に、思っていた以上に驚いていたのはこれが理由だったようだ。
「あははっ、それは本当に吃驚ですね……でも何か嬉しいですね。想いが伝わっているようで」
僕は一度軽く笑った後、感慨深そうにそう言った。
「そうだな、言葉にしなくても伝わる想いっていうのもあるんだな……」
藍さんも軽く頷くと、僕と同じように感慨深そうにそう言ってきた。
「さて、私も創君に着けてやろう……」
藍さんはそう言うと、僕の手からするりとネックレスを取り、僕の首に下げてきた。
「あははっ、何か少しくすぐったいですね。二つの意味で……」
僕は首もとをさすりながらそう言った後、首に下がったネックレスをもう一度見つめた。二羽の小鳥の装飾が施されたネックレスは見ているだけで、楽しい気持ちにさせた。
「……気に入って貰えたか?」
藍さんは恐る恐るといったように、僕の表情を伺っているようだった。
「……」
僕は何とも言えない気持ちになって、無言のまま胸に手を当てながら眼を瞑った。
「……」
「……」
しばらくお互い無言の時間が続いた後、僕はゆっくりと目を開け、少しだけ悲しそうな表情をしている藍さんににっこりと微笑み掛けた。
「……ありがとうございます。どうですか? 似合ってますか?」
僕はにっこりと笑ったまま、誇らしげにそう言った。
「あぁ、似合っているよ、我ながら良いセンスだと思う」
藍さんは恥ずかしさを隠す為か、大げさに胸を張りながらそう言ってきた。
「あははっ、これは不知火先生にも今度ちゃんとお礼をしないといけませんね……ハウも呼んでパーティー何てどうでしょう? 僕の手料理だって言ったら飛んで来るんじゃないですか?」
藍さんの大げさな行動に、笑いながら僕はそう提案した。
「何でそこで響華の名前が出て来たのかは敢えて聞かないが、確かに……そういうのもありかも知れないな、今度響華に予定を空けとくように言っておくよ……」
そんな何気無いやり取りが物凄く幸せで、でも、それと同じくらい不安で……その不安な気持ちを表に出したくなかった僕は敢えて笑う事を選んだ。
「ありがとうございます……藍さん、貴女に逢えて本当に良かったです。ずっと一緒にいて下さいね?」
僕がそう言った後、藍さんの表情に少し陰がさした事に気付いてしまった僕は、どうしても不安が拭いきれなかった。




