藍さんの車にて ~『コトリ』のネックレス~
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僕たちはお土産屋さんから出た後、藍さんの家に戻る為、車を走らせていた。
「えへへっ……何処に着けようかなー」
僕は先程買ったばかりの『彦星と織姫』のストラップを手に持ちながら、だらしのない笑みを浮かべていた。
「そんなものが、そんなに嬉しかったのか?」
藍さんは運転をしながら、一瞬だけ僕に不思議そうな視線を向けてそう言ってきた。
「むーそんなものじゃ、ありませんー別にこれそのものには確かに意味は無いかもですけど、藍さんと『お揃い』って所が良いんですよ」
藍さんの言葉に対し、僕は頬を膨らませて抗議をするようにそう言った。
「うーむ。確かに……言われてみると『お揃い』とは魅惑的な言葉だな……でも、私としてはそれと同じくらい創君に貰ったこれが嬉しかったんだ……」
藍さんはそう言うと、首に下げたネックレスに触れた。
「うーん。言われてみると確かにそうかも知れません。今度は藍さんが僕に何かプレゼントを下さいよ?」
物なんかよりも大事なものを藍さんから沢山貰っているとは、心の中で分かってはいても、形に残る何かが欲しいと思ってしまうのは贅沢過ぎるだろうか。
「実はだな……」
藍さんはそう言うと車をパーキングエリアに止め、鞄をがさごそと漁り始めた。
「えーっと、あれっ、確かここにしまった気がするんだが……おーあったあった、ほらっ」
藍さんは鞄の奥底から、若干しわしわになった包装紙に包まれた小さな箱を僕に投げて寄越した。
「うわっとと……」
僕は急に飛んできた小さな箱を、慌てて受け止めた。
「これは?」
僕はしわしわではあったが、綺麗な色の包装紙に丁寧に包まれている箱を見ながら藍さんにそう訊いた。
「先週の休日に久しぶりに響華と出掛ける予定があってな、そこで見つけたんだ」
藍さんは少しだけ恥ずかしそうにそう言いながら、窓の外を眺めていた。
「開けても良いですか?」
僕は今にも飛び付いてしまいそうな勢いで、藍さんにそう訊くと答えも聞かずに包装紙を綺麗に剥がし始めた。
「……私が答える前に開けてるじゃないか……」
藍さんはそんな僕の様子を見ながら、少し呆れたようにそう言ってきた。
僕は律儀に丁寧に包装紙を剥がし終えると、箱を開ける前に一度生唾を飲み込んだ。
「ごくり……では、失礼します……」
僕は少し緊張しながら恐る恐る、ゆっくりと箱を開けた。
「? 鳥の……ネックレス?」
かなり予想外の物が出てきたので、僕は一瞬だけそれが何か判断がつかなかった。




