遊園地にて ~お約束~
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僕たちは余韻に浸りながら、先程見つけたお土産屋さんに向かっていた。
「こっちですよー藍さん」
僕は藍さんの手を引きながら、ニコニコとした表情で後ろ向きのまま歩いていた。
「全く……そんな風に後ろ向きで歩いていたら転ぶぞ?」
藍さんも僕と同じような笑みを浮かべてはいたが、少し呆れたような表情をしていた。
「だいじょーぶでーす。そんなに簡単には転びませんよーだっと、うわぁ!」
お約束と言うべきか僕は藍さんが危惧していた通り、案の定バランスを崩して転んでしまった。勿論手は繋いだままだったので藍さんも巻き込んでしまった。
「ったたー大丈夫ですか、藍さん? 巻き込んでしまってすみません」
転んでも尚お互い手を離さなかったのは、何処かに意地のようなものがあったのかも知れない。
「……はぁ、本当に転んでしまってどうするんだよ……怪我は無いか、創君?」
藍さんは僕と同じように地面に座り込んだまま、一つ大きな溜息を吐いた後、そう訊いてきた。
「えへへっ……」
藍さんが呆れながらも、僕の事を真っ先に心配してそう声を掛けてきてくれた事に嬉しくなり、僕はただただ笑う事しか出来なかった。
「……何だよ、創君。随分とだらしのない表情をしているな……」
藍さんはそう言いながらも藍さん自身の口元もかなり緩んでいるのが見えて、更に僕は幸せな気持ちになった。
「さて、何時までもこんな所で座り込んでニヤニヤしていたら、注目の的になってしまうので気を取り直してお土産屋さんに向かいましょうか……」
先程から何組かのカップルの視線を感じていた僕は服に付いた汚れを落とすように、軽くズボンを叩きながらゆっくりと立ち上がって、藍さんと手を繋いでいない、もう片方の手も手を差し出した。
「……ありがとう」
藍さんは一言だけそう言うと、僕の手を取ってゆっくりと立ち上がった。その勢いで僕はそのまま抱き着いた。
「こちらこそ、ありがとうございます……藍さんといると何だか凄く温かい気持ちになります。これが人の温かさ何ですかね……」
藍さんは僕のその行動に少し驚いたようだったが、しっかりと抱き締め返してくれた。
「そうかも知れないな、私も同じような気持ちだよ、創君……さぁ、行こうか。急がないと時間が無くなってしまうからな」
僕たちは少しだけ名残惜しそうに離れた後、藍さんは僕にそう言ってきた。
「はい。行きましょう」
僕はそう言ってもう一度、右手を差し出した。藍さんは悩む事も無くその手を掴み、それを確認した僕はゆっくりと歩き出した。




