遊園地にて ~続。伝家の宝刀~
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「あははっ、どんどん高くなりますねー」
観覧車に乗ってしばらくして、頂上へ近付くに連れどんどん高くなっていく景色を見ながら、僕は大喜びでそう言った。
「絶叫系のアトラクションはダメなのに、高い所は大丈夫なのか? 不思議な奴だな」
僕が外の景色を見ながら大はしゃぎしていると、藍さんも同じように外の景色を見ながらそう言ってきた。
「僕は別に高い所が苦手で、絶叫系のアトラクションがダメな訳ではないですからね……って別に苦手でじゃないですもん」
僕はあまりにも自然に藍さんからそう言われたので、僕も何も考えずそう返したが、途中で気が付き慌てて否定した。
「はいはい。分かっているよ創君」
藍さんはまるで子供をあやすようにそう言ってきて、僕の隣に腰を下ろし頭を撫でてきた。
「むぅー、くすぐったいですよー」
僕は始め、頬を膨らませて抗議しようと思ったが、あまりにも藍さんの撫でる手が気持ち良くて、そんな気持ちは何処かへ消えていってしまった。
僕にとっての伝家の宝刀が『上目遣い』なら、藍さんにとっての伝家の宝刀は『頭を撫でる』事なのかも知れないと、この時僕は思った。
「全く……創君は仕方の無い奴だな」
藍さんはそう言うと頭を撫でた手をそのまま、僕の顎まで持っていき、僕の顎を上げると、まるで補食するサメのように僕の唇を塞いだ。
「ん!?」
僕は夢見心地で、藍さんにされるがままだったので突然のキスに驚きを隠せなかった。
「ふふっ、慌てているな、さっきからずっと私ばかり恥ずかしい思いをしているからな、仕返しだ」
藍さんはそう言うと、一瞬舌を出して僕から視線を外した。その行為自体藍さんにもダメージがあったようで、少しだけ、頬を赤くしているのが印象的だった。
「もう、藍さんも恥ずかしそうにしてどうするんですか……慣れない事はしない方が良いですよ?」
僕はそう言うとさっきの、仕返しとばかりに今度は僕の方から藍さんにキスをした。
「ん!?」
僕から視線を外していたせいか反応が遅れ、避ける間もなく藍さんは僕にされるがままだった。
「んっぷはっー、さて、そろそろ頂上ですか。藍さんに渡したいものがあるんです」
僕は今キスをしたばかりだというのに、特に慌てたり恥ずかしがる様子も無く、普段通りの口調で急に話題を変えた。
「……何だ?」
藍さんはそんな僕の様子に少し呆れた表情をした後、頬は赤くしたままそう聞いてきた。
「藍さん、僕と付き合って下さい!」
僕は背筋を伸ばすとポケットに入れて生い立ち『あるもの』を取りだして、藍さんに渡しながらそう言った。
「!?」
予告をしていたとはいえ、こんなタイミングで言われるとは思っていなかったようで、藍さんはかなり驚いた表情をしていた。




