遊園地にて 〜繋いだ手の温もり〜
「もう、失礼な受付だったな。はぁ、藍さんとの折角の初デートなのに何か邪魔された気がする……」
文句を言いながら受付から藍さんの所に戻ろうと歩き始めようとした時、ようやく藍さんは僕の所まで追いついてきた。
「全く……今回は目的地が分かっているから良いものの、あのスピードで走られたら見つける事は私には無理だぞ?」
藍さんは僕の姿を見つけるや否や、そう声を掛けてきた。
「むーそうでもしないと絶対藍さんがこれ買っちゃうじゃないですかー」
僕はまだ先程の子ども扱いを引きずっていたので、頬を膨らませた後手に持った入場券をひらひらと動かした。
「確かにそうだが……ん? 何か機嫌が悪いようだが何かあったのか?」
そんな僕の様子を見て察したのか、藍さんは僕にそう訊いてきた。
「聞いて下さいよーあの受付の人僕の事を終始子ども扱いしたんですよ? 全く失礼な人です……」
僕はそう言って受付の方を指差した後、藍さんに泣きつくように抱き着いた。
「……確かに見た目の問題も少なからずあるとは思うが、創君自身のこういう行動にも問題があると私は思うぞ?」
藍さんは少し呆れてそう言った後、僕をなだめるように頭を撫でた。
「はわぁ、何か凄く落ち着きます……」
僕は藍さんに抱き着いたままとろけたような表情をしていた。
「まぁ良い。時間も惜しいし早速入るとしようか、創君」
藍さんは僕にそう言うと頭を撫でていた手を、すっと僕の左手に重ねてきた。
「藍さん……」
「人が沢山いる所に行くんだ。創君が迷子になってしまうと面倒だからな……仕方無くだぞ?」
そう言った藍さんは少しだけ頬を赤くして、僕から視線を逸らした。
「ふふっ、どんな理由でも藍さんと手を繋いで歩けるなら、僕は構いませんよ? 僕は凄く嬉しいですから」
僕は満面の笑みでそう返したが、藍さんはその僕の表情を一瞬だけ見ると物凄い勢いで再び視線を逸らしてしまった。
「どうかしたんですか、藍さん? 顔赤いですよ? んっ」
手は繋いだままで背伸びをすると、僕は藍さんの耳元でそう囁いて頬に軽くキスをした。
「ちょっ創君……勘弁してくれ……」
僕のその行為に藍さんは驚いていたが、その慌てている表情を見て愛おしく感じ、今度は唇にキスをした。
「もう、本当に勘弁してくれ……あまりに悪戯が過ぎると創君を置いて帰るぞ?」
藍さんは先程よりも更に頬を赤くして、僕にそう言ってきた。
「むー仕方ないですね……こういうのは二人きりの時にします。藍さんもそれなら構わないんですよね?」
僕はまるで藍さんの気持ちが分かっているかのように、そう言い切ったが図星だったようで藍さんは恥ずかしそうにそのまま俯いていた。




