遊園地にて 〜アトラクションは逃げない〜
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「天ノ川遊園地何て凄い名前ですね。やっぱり星っぽいアトラクションが一杯あるんでしょうか?」
藍さんと共に入場ゲートの目の前で、看板を見上げながら僕はそう言った。
「そうかも知れないな。思っていたよりも何か楽しそうじゃないか」
心なしか遊園地を目の前にして藍さんの表情は、普段よりも明るい気がした。
「じゃあ、いつまでもこんな所に居ても仕方が無いですし……早速、入場券を買ってくるので、藍さんはそこで待っていて下さい」
僕は藍さんにそう言って直ぐに入場券を買う為、受付へと向かって走り出した。敢えて藍さんの言葉を待たずに急いで走り出したのは、そうでもしないと私が払うからとか言い出しかねないからだ。
「ちょっ、創君!?」
藍さんは急に走り出した僕に驚いているようだったが、気にせず受付へ向かって猛ダッシュしていた。
「はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ……流石に準備運動無しの全力疾走は辛い……それと風邪気味だった事すっかり忘れてた……」
僕は自分が風邪気味でさっきまで病院に行っていた事をすっかりと忘れ、全力疾走した事を受付の目の前で後悔していた。
「お客様!? 大丈夫ですか? そんなにお急ぎにならなくてもアトラクションは逃げませんよ?」
受付の目の前で乱れた呼吸を整えていると、受付の女性からそう声を掛けられた。
「……ん? 僕を子供だと思って……馬鹿にしているんですか? アトラクションが……逃げる訳無いじゃないですか?」
僕はまるで子供扱いされたようで気に障ったので、息絶え絶えにそう言いながら、少し睨みつけるように受付の女性に視線を向けた。
「それは失礼致しました。それで入場券を買いにいらしたんですよね?」
受付の女性は僕の視線に怯える事無く、というよりむしろ微笑ましく思っているようで、口調は丁寧ではあるが、若干まだ子供扱いされている感じがして仕方が無かった。
「まぁ、良いです。そんな事よりもそう、入場券です。大人二枚下さい」
僕は渋々といった表情をした後、そう言った。
「大人二枚ですか? 一応年齢を確認出来るものをお持ちですか?」
そう言った僕の事をまだ、子供だと疑っているのか不思議そうな表情をした後、受付の女性はそう言ってきた。
「むー。これで満足ですか?」
僕は頬を膨らませた後、学生証を見せた。その学生証を見て僕が高校生だという事を分かって貰えたのか、申し訳無さそうな表情をしている。
「分かってくれたなら良いです。それでいくらですか?」
「大人二枚で……今からですとナイトパスになりますので、お一人様2500円になります」
受付の女性はそう言うと、料金表を見ながら説明を始めた。
「それじゃあこれで……」
僕は5000円札を出して受付の女性に渡した。
「それでは、丁度お預かりしますね。こちらが入場券になります」
そう言うと、受付の女性は入場券を二枚僕に渡してきた。
「ありがとうございます。それと一言だけ、見た目で人を判断するのは辞めた方が良いですよ? 僕だから問題無かったですけど。クレームの元ですよ?」
僕は最後に冷たい目で一瞥し一言だけそう言って、受付を後にした。
「ごっごゆっくりお楽しみください……」
流石に反省したのか、そう言った受付の女性は苦笑いをしているようだった。




