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スノードロップ  作者: 白城縁
高校三年生 秋
68/372

藍さんの車にて 〜告白の予告〜

//////////


 不知火先生とハウの提案により、急遽遊園地にデートをしに行く事になった僕たちは、藍さんの車で遊園地のある一つ隣の県まで向かっていた。

「思ったよりも遠いようだな。まぁ、ゆっくり行こうか」

 藍さんは車のナビに目的地を入力すると、少し驚いた表情をした後そう言った。

「この県に遊園地って呼ばれるものって以前はあった気がするんですけど、そう言えば少し前に閉鎖してしまったんでしたっけ?」

 僕は昔ハウにそんな事を言われたような気がして藍さんにそう訊いた。

「……それを私に訊くのか?」

 藍さんは呆れたように僕にそう言ってきた。言われてみれば僕ですらあまり興味が無い事なのに、藍さんが知っているのもおかしな話だと思った。

「何か、すみません……」

 僕は気まずくなってしまい、素直に藍さんに謝った。

「まぁ、別に何でも良いんだがな……確かに昔、私も響華にそんな事を言われた気がするからあながち知らなかったという訳でもないからな」

 藍さんも思い出したかのようにそう言った。

「何だ……知ってたんなら最初からそう言って下さいよ。何か謝って損した感じじゃないですか?」

 僕は少し呆れた後、口元に笑みを浮かべながらそう言った。

「? 何を笑っているんだ?」

 藍さんは一瞬僕の方に視線を向け、僕が笑っている事を不思議に思ったのか、そう訊いてきた。

「何て言えば良いのか分からないですけど……この何気ないやりとりが『幸せ』? だから笑ったんだと思います。うん」

 僕自身何で笑っていたのか良く分からなかったけど、藍さんにそう訊かれて何となくそう思った。

「『幸せ』ねぇ。随分と抽象的な言葉だな。でも、私もそう思うよ」

 藍さんも僕と同じように口元に笑みを浮かべながら、珍しく僕の意見に賛同してくれた。その事が何となく嬉しかった。

「好きだとか、付き合うとか。僕には無縁のものだと思っていたので、何か自分がその立場にいる事が不思議でしょうがないんですよね」

 僕は藍さんの横顔を見ながら感慨深そうにそう言った。

「それは私も一緒だよ。莱霧の事もあったし、そんな私が誰かの事を好きになるとか、ましてや付き合うなんて考えた事も無かったよ。そう考えると案外私たちは似た者同士なのかも知れないな」

 藍さんは僕の言葉に同意するようにそう言った後、煙草に火を着けゆっくりと吸い込むと煙を吐き出した。

「似た者同士だからこそ惹かれあったのかも知れません。そう考えるとあの時骨折したのは運命だったのかも知れませんね?」

 僕は最初に藍さんに逢った時の事を思い出しながらそう言った。

「あの時はまさか、創君と付き合う事になるなんて思いもしなかったよ。全く人生とは分からないものだな」

 藍さんもあの時の事を思い出しているようで、少し表情を和らげながらそう言った。

「そう言えば、まだ僕『付き合って下さい』って言って無かったですよね? 何か改めて今言うのは少し恥ずかしい気がするので、もう少し待ってもらっても良いですか?」

 僕はそんな普通なら本人に言わないような事を、隠す事無くそう伝えた。

「……それは、もう既に言っているようなものなんじゃないか? でも、そうだな。楽しみに待っているよ」

 そう言った藍さんは僕に軽く笑い掛けた後、運転に集中し始めた。

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