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スノードロップ  作者: 白城縁
高校三年生 秋
55/372

藍さんの家にて 〜まるで漫画のワンシーン〜

//////////


 僕がシャワーを浴び終わってリビングに戻ると、珍しく少し困っている藍さんの姿が見えた。

「どうすれば良いんだこれ?」

 どうやら藍さんは洗濯機の前で悪戦苦闘しているようで、何故かそこら中が泡だらけになっていた。

「……これ、どうしたんですか?」

 僕はその様子を見て少し呆れながら、藍さんにそう声を掛けた。

「上がってきたか、だがすまないな、洗濯をしようと思ったんだがご覧の通り、洗濯機が言う事聞かなくてな、もうしばらく時間が掛かりそうだ」

 藍さんは僕に気が付くと泡だらけになりながら、こんな状況なのに何故か落ち着いた様子でそう言ってきた。

「いやいや、どうしたらこうなるんですか……漫画やアニメじゃないんですから、普通あり得ないですって……はぁ、はぁ」

 僕は目の前の状況があまりにも現実離れしていたので、捲し立てるように藍さんにそう言った。心なしかまた少し熱が上がったような気がする。

「そんな事を言われてもな。私は何も悪くないぞ? 確かにより綺麗になるだろうと、ここにあった洗剤を全て入れてみたのだが……そもそも、こいつが言う事を聞かないのが悪い」

 そう言いながら藍さんは洗濯機を軽く蹴飛ばした。その拍子にまた泡が溢れ出してきて更に酷い状況になっている。

「はぁ……僕が後はやりますから『出来ない子』の藍さんはリビングにでも行って待ってて下さい」

 僕は『出来ない子』の部分を敢えて強調しながら藍さんの背中を押した。

「ちょっ、誰が『出来ない子』だって? そうだとしても病人の創君に任せられる訳が無いだろう?」

 藍さんは多少は自覚があるようで、そんな事を言いながら慌てて僕を押し返してきた。熱があったせいもあり、力の差は歴然でいつの間にか逆に僕が押される形になってしまった。

「……はぁ、分かりました。一つずつ丁寧に教えますから……それで今回は納得して下さい」

 僕は溜息を一つ吐いた後、僕が自分でやる事を諦め、藍さんに教えてやって貰う方法に切り替えた。

「む……良いだろう。それで妥協しようじゃないか。ただ、創君は指示を出すだけで決して手を出すんじゃないぞ?」

 藍さんは僕にそう言いながら、僕の為に椅子を用意してくれた。こんなおかしな状況ではあったが、そんなちょっとした気遣いが僕にはとても嬉しかった。

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