藍さんの家にて 〜裸Yシャツ!?〜
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今日は生憎の土曜日で本来なら午前中のみの診療の所、また不知火先生に無理を言って午後になってから診察をして貰う事となった。その為、それまでの間に昼食やら何やら済ませようという話になったいた。
「さて……創君。汗をかいて気持ちが悪いだろう。シャワーでも浴びてきたらどうだ? そのくらいまで熱が下がっていれば問題ないだろう」
藍さんはそう言うと僕にバスタオルを投げて寄越した。
「そう……ですね。それではお言葉に甘えてお借りすることにします。……っとそう言えば着替えありませんね」
僕は促されるまま浴室へ向かおうとしたが、着替えが無い事に気が付いて僕は藍さんにそう言った。
「うむ、確かに困ったな。うーん、私の服くらいしか無いがそれで構わないか?」
藍さんは顎に手を当てながら考える素振りをした後、そんな冗談とも本当とも捉えられそうな言い方でそう言ってきた。
「それ『わーい』って返したら、僕ただの変態じゃないですか……心遣いは嬉しいんですが、流石に断らせて下さい」
だいぶ熱が下がっていた事もあり、僕も冗談が言えるくらいまでは回復しているようだった。
「分かった。貸してくれと言われたらどうしようかと思ったが、創君に女装癖が無くて良かったよ。まぁ、あったとしてもそれはそれで面白いのかも知れないが……仕方ないから創君がシャワーを浴びている間に、洗濯しといてやるよ。流石に上がってくるまでは乾かないだろうから、それまではこれを着ていると良い」
藍さんは少し口元に笑みを浮かべながらそう言った後、僕にYシャツを渡してきた。
「……」
「裸Yシャツという奴だ。一部のマニアには堪らないシチュエーションらしいぞ?」
藍さんはどこでそんな言葉を知ったのか不思議だったが、あまり詳しくは知らないようで棒読みでそう言ってきた。
「……それで萌えるのは女性が着た時だけです。確かに僕みたいな男の子でも……いや、何でもないです」
僕は色々と問題があるので最後まで口にすることは無かった。
「もえる? んーやはり良く分からないな。響華に昔そんな事を言われたのだが、残念ながら全く興味が無くてな」
藍さんは不思議そうな表情をしながらそう言ってきた。その後詳しく聞かせてくれとせがまれたが、のらりくらりと話題を逸らして事なきを得た。
最終的にはもう一着あったバスローブを借りる事になった。そんなものがあるなら最初からそれを貸して貰えれば、こんなやり取りをする必要が無かったんじゃないかと思う。
そう考えると、少しだけ不知火先生の入れ知恵に腹が立ったが、体調が万全では無かった事もあり、そんな事を気にする余裕は、今の僕には無かった。




