藍さんの車にて 〜少し弱気な僕〜
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あの後からずっと僕はニコニコとしたまま、藍さんの傍に居た。現在も助手席に乗りながらニコニコとしている。
「……大丈夫か? 創君。いつにも無く表情が凄い事になっているのだが」
藍さんは丁度、信号待ちで車が止まった際に、僕の方を見てそう言ってきた。
「えへへー何がですかー? いつもと同じですよー?」
僕はここ数時間特に夢見心地のようにふわふわとした感覚だったので、ニコニコと言うよりはニヤニヤとしながらそう言った。
「もしかして創君……」
藍さんはそう言いながら、路肩に車を停め、僕のおでこに自分のおでこをくっつけた。
「藍さーん。珍しいですねー? 藍さんの方から僕にくっついて来るなんてーあははっ」
僕は純粋に藍さんの方からくっついて来た事に大はしゃぎしていた。
「……やっぱりか。気付かなかった私も悪かったのだが……どうしてこんなになるまで気が付かないんだ? キミは」
藍さんは呆れたように僕にそう言ってきたが、僕には何の事を言ってるのかさっぱり分からなかった。
「何がですかー?」
素直に何の事を言っているのか分からなかったので、僕はそう訊き返した。
「はぁ……創君。凄い熱だぞ? よくこの状態で学校に来ていたな」
藍さんは溜息を一つ吐いた後、僕にそう言ってきた。
「? 熱?」
通りで朝からずっとふわふわした感じが抜けなかった訳だ。僕は藍さんの言葉でその事に今になって気付かされた。風邪をひくなんて、あまりにも久しぶり過ぎてこの感覚を忘れてしまっていた。
「全く、相変わらずおかしな奴だ。そうと分かれば今日は家に帰ってゆっくり休んで、明日病院に行くと良い」
藍さんは呆れた表情のまま、僕にそう言ってきた。
「あっでも、家に誰もいません……藍さんと一緒に、いたいです。僕、藍さんと離れたく、ない、です……」
僕は風邪という事に気が付いてしまったせいか、いつもよりも不安が大きくなってしまい、まるで子供のように藍さんに抱き着き、目の端に涙を浮かべていた。
「……分かった。今回だけ、今回、だけだからな。どうせ病院もこの時間ではやってないし、取り敢えず私が診てやる。良くならない事は万に一つも無いだろうが、良くならなかったら、明日病院へ連れてってやるよ……」
藍さんは少しだけ困ったような表情を浮かべた後、覚悟を決めたのか僕にそう言って、又車を走らせ始めた。
藍さんのその言葉を聞いて僕は安心しきったのか、僕はそのまま眠りについてしまった。




