廊下にて 〜夢見心地な気分〜
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文化祭まであと一週間と迫り、学校では文化祭の準備で全校生徒が右往左往としていた。その中僕はその様子を一瞥して藍さんに逢う為、保健室へと向かっていた。
「はははっ、みんなご苦労―よきにはからえー」
僕は周りに訳の分からない言葉を掛けながら、優雅に廊下の中央を歩いていた。時折、僕の事に気が付いたクラスメイトが何やら言っていたようだったが、周りの雑音でと言うか僕自身全く聞くつもりがなかったので、笑いながら華麗にスルーをして目的地へと向かって歩みを進めていた。
「あはははっ、面白いなぁー。みんな頑張れー」
僕は意味も無く、道行く沢山の知らない人たちに声を掛けまくって歩いていた。
「おいおい、創君。流石の私でも今のキミには声を掛けづらいぞ?」
ほとんど無意識で言葉を発していた事もあり、直ぐ近くまで藍さんが来ていた事に声を掛けられるまで気が付かなかった。
「あー藍さんじゃないですかー珍しですねーこんな所でー」
僕は藍さんに声を掛けられた瞬間から、満面の笑みを浮かべていた。
「こんな所とは言っても、ここは保健室の目の前だぞ?」
藍さんは不思議そうな表情を浮かべながらそう言ってきた。
「ん? あれー全く気が付きませんでした。ここまでほとんど無意識でここまで歩いて来たので、今初めて気が付きましたー」
僕は藍さんの言葉で初めて、もう保健室の目の前に辿り着いていた事に気が付いたので、思った事をそのまま口にした。
「って事は……今の今まで無意識であんな言葉を発していたのか? それは流石にヤバい奴だと思うぞ?」
藍さんは本当に心配しているようで、先程よりも少しだけ僕に近づいてきた。
「うーん? そんなに僕おかしな事を口にしていましたー? 全く記憶に無いんですけどー」
僕は本当に無意識でここまで歩いて来ていて、全く記憶に無かったので首を傾げながらそう答えるしかなかった。
「本当に大丈夫か、それは? あまり頻繁するようなら良い病院を紹介するぞ?」
本当に心配しているからか、冗談を交えながらではあるが、藍さんは少しだけ困ったような表情をしながら僕にそう言ってきた。
本当に藍さんが心配してくれているようだったのが嬉しくて、僕は終始ニコニコとしたまま藍さんを見つめ続けていた。




