カラオケボックスにて 〜今日の気分はロックンローラー〜
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あっという間に半月が経ち、僕はハウと一緒に毎度の如くカラオケボックスに足を運んでいた。
「うーあーうー」
あの後毎日のように響華に連絡するなといった内容のメールが、まるで呪いのように一日に何通も送られて来ていたので、僕は不用意に不知火先生に連絡を取ることが出来ないでいた。
「あーもう。藍さんの事が知りたい。藍さんの事が知りたーい」
僕が駄々をこねる子供のように喚いていたのを、ハウは苦笑いして見ているしかないようだった。
「なぁ、創。別にその事に関してはどうこう言うつもりは無いが、マイクを使って叫ぶのだけはやめてくれ。周りの客にも迷惑だ」
しばらく傍観を続けていたハウは流石に痺れを切らしたのか、僕にそう言ってきた。
「うー何だ? やんのか?」
僕は頬を膨らませながら、まるで悪役のような口調でハウにそう返した。
「はぁー創。それ全く脅しになってねーし。それに創にはその口調似合わねぇよ」
ハウは一つ溜息を吐いた後、呆れたようにそう言ってきた。
「む……まぁ、それもそっか。でも、藍さんには困ったものだよ。そんなに昔の事を知られるの嫌なのかな?」
僕は少しむくれた後、考えを改め別の事を考え始めた。
「んー。でも誰にだって、知られたくない過去の一つや二つあるんじゃないか? 創だってあるだろう?」
ハウは少しだけ考える素振りをしながら、僕にそう言ってきた。
「はっ、もしかして藍さん僕の事、嫌いになったんじゃ? どーしよー? どーしよーハウー」
僕はふと、藍さんに嫌われてしまったのではないかと思ってしまい、泣きながらハウにしがみついた。
「だーもう。くっつくなって、暑苦しい。そうやって何事もマイナスに考えるのは創の悪い癖だぜ?」
しがみついた僕を振り払いながら、ハウは僕にそう言ってきた。
「でもーでもー」
僕はまだ納得がいかなくて、うじうじとしていた。
「今月は文化祭もあるんだし、折角だから橘先生を誘ってみれば良いだろう。そうすればそんな考えも吹き飛ぶだぜ?」
ハウはまるでたった今思いついたかのように手を一つ叩いた後、僕に向かってそう提案してきた。
「ハウにしてはそれは良いアイディアだね。そうだね。うん。誘ってみるよ!」
僕はハウの提案にあっさりと乗り、少し機嫌を良くしてそう答えた。
その後、僕らは毎度の如く『恋愛曲縛り』を……とはいかず、珍しく『ロック系』の曲ばかりを歌って休日を過ごしていた。




