病院にて 〜不知火先生の連絡先〜
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久しぶりに不知火先生と会話をしたせいもあり、本来の目的であった診察が終わる頃には一時間近く経っていた。
「響華すまないな……忙しい所、無理を言って」
今更ではあるが藍さんは不知火先生に向かってお礼を言ったので、僕も慌てて一緒になって頭を下げた。
「いや何。親友の頼みだからね、これくらい別に問題ないさ」
僕たちが頭を下げると、不知火先生は笑いながらそう言っていた。
「それに……少しずつ、昔の藍に戻ってきているようで私は嬉しかったしね。これも創君のおかげだ。ありがとう……」
逆に不知火先生の方が僕に向かって、頭を下げてきた。
「あっ、折角ですし。まだ時間があるようなら子供の頃の藍さんの話、聞かせて貰えませんか? 藍さんに訊いても全然答えてくれないので……」
僕は少しだけ照れ臭かったので、敢えて話題を変えるようにわざと慌てたようにそう返した。
「話してあげたいのはやまやまなんだが、すまないね。創君。これから次の患者さんと会わなければいけないんだ。その件はまた今度にしよう」
不知火先生は少しだけ残念そうな表情をした後、僕にメモ用紙を渡しながらそう言った。
「これは?」
「私の連絡先だよ。藍伝いで連絡しようとしたら、いつまで経っても私に伝わる事は無いだろうからね……」
近くにふわりといい香りがしたのと、耳元で囁くように言われてのも相まって僕は顔を真っ赤にした。
その僕の様子を見てか、不知火先生の行動に対してか藍さんの視線が物凄く痛かった。
「何を吹き込まれたかは知らんが……響華。昔の話なんて絶対に創君にするなよ? ばらしたらただじゃすまさないからな」
不知火先生を睨みつけながら藍さんはそう言った。
「はい、はい。分かっているよ藍。じゃ、さっさと出て行ってくれ。後がつかえているんでね」
そう言った不知火先生の表情はニヤニヤとしていたので、それを見た藍さんはただただ、溜息を吐く事しか出来ないようだった。




