グラウンドにて 〜騎馬戦で大暴れ〜
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クラスメイトにより連行された僕は、先程の三人の男子による騎馬の騎手として普段よりも高い目線に喜びを感じていた。
「うわぁー高い高い。ねぇねぇもっと高くならないの? ねぇねぇもっと動いてよー」
僕は競技が始まる前から大はしゃぎして、騎馬の三人に構わず上で大暴れしていた。
「痛いって、小鳥遊……参加してくれているから強く文句は言えないが、頼むからもう少し大人しくしててくれ」
騎馬になっているクラスメイトの一人が、僕に向かって申し訳なさそうにそう言ってきた。
「えー、折角こんな高い目線なんだから楽しまなきゃ損でしょ? それにもう競技始まるし、始まったらもっと暴れて良いんでしょ?」
僕はクラスメイトの言葉に耳を傾ける事無く、競技が始まってからも大暴れしていた。
案の定、長い間大暴れしていたせいで、騎馬の三人が耐え切れなくなり、競技の途中で騎馬が崩れ僕は地面に叩きつけられてしまった。
「っ痛ったー、けほけほっ、暴れすぎちゃったー、てへっ。ごめんね、みんなでも楽しかったよー」
競技の途中だという事もお構いなしに、僕と同じように地面に倒れているクラスメイトに向かってそう言った。
「てへっ、じゃねーよ。全く……怪我は無いか?」
クラスメイトは少し呆れながらも、僕の心配までしてくれた。
「んーちょっと頭を打った気がするけど、多分大丈夫だと……」
僕がそんな事を首を傾げながら答えると、遠くから駆け寄って来る藍さんの姿が見えた。
「創君! 大丈夫か? 頭を打ったように見えたが、意識は……あるようだな。でも何かあってはいけない。直ぐに病院へ向かうぞ!」
藍さんは珍しくとても慌てているようで、ここが学校だという事を忘れて僕を『創君』と呼んでいた。
「大丈夫ですよ。藍さん。これくらい心配無いですって。でも心配して貰えるなんて嬉しいな。てへへ……」
僕は頭を打った事よりも、藍さんに心配されたことの方が嬉しくてニヤニヤとしていた。
「はぁ、全く。頭は一番危険なんだから、念の為、病院に向かうからな。拒否権は無い」
溜息を吐いた後、普段の表情に戻りながら藍さんはそう言ってきた。
『拒否権は無い』 と言われてしまっては僕も断る訳にはいかなかったし、何より久しぶりに藍さんと一緒にいれると思ったので、喜んで病院に行く事にした。でも、念の為と言って僕を『お姫様抱っこ』でグラウンドから連れ出されたのは流石に恥ずかしかった。
幸い、藍さんが保健医だった事。グラウンドに大勢の人がいた事も重なり、特に何か噂になるような事は無かった。現場にいたクラスメイト達も特に何か訊いて来る様子も無かったが、ハウにだけはとことん冷やかされた。それだけは気に入らなかったので今度ハウの奢りで何処かに出かけてやろうと僕は心の中で強く誓った。




