グラウンドにて 〜白昼の逃走劇〜
//////////
体育祭の本番まであと一週間と迫り、学校では毎日のように放課後に準備や競技の練習で時間を奪われていた。
「全く、飽きもせずよく毎日毎日練習するよな……ってまぁ、今日は月曜日なんだけど。はぁ」
僕は誰に言う訳でもなく、溜息を吐きながら文句を口にしていた。
「確かに。それは間違いないが、もう一週間切っているんだから仕方ないんじゃないか?」
「はぁ……藍さんにも逢えてないし。あぁ、藍さん」
「どうやらうまくいったようだな。良かった、良かった……ってかいい加減気づけよ!」
僕が一人でブツブツと呟いていると突然、横から声が聞こえてきた。
「うわぁ! 吃驚した。なんだハウか。驚かせないでよ。ってか何でハウなの? 何で藍さんじゃないの?」
僕は急に声を掛けられた事に驚きながら、ハウにそう言った。
「相変わらず滅茶苦茶な奴だな、創……」
ハウは少し呆れながら僕にそう言ってきた。
「……だって、ハウ見ても面白くないじゃん……藍さんを見ているのはとっても楽しいよ?」
僕は思った事をそのまま口にした。
「はぁ……まぁ、良いんだけど。本当にうまくいったんだな。創。良かったな」
ハウは本当に喜んでいるようで、しまいには目の端に涙を少し浮かべながらそう言ってきた。
「うん。ありがとうね、ハウ。まだ、付き合って下さいとは言って無い気がするけど。お互いの気持ちは伝わっていると思うよ……」
僕は普段ならあまり口にはしないが、今回ばかりは本当に感謝していたので素直にお礼の言葉を告げた。
「そうか。へへっ、何か照れるな、創に素直にお礼を言われるなんて……よしっ、今日終わったら、というか今からカラオケでも行くか!」
ハウは少し驚いた後、照れ笑いをしながら僕にそう提案してきた。
「おっ良いね、そうと決まればバレない内にとっとと抜け出してしまおう。勿論、今回もハウの奢りだよね?」
ハウの提案に同意して、そんな冗談を交えながらそう返した。
「まじかよ、今日くらいは創が奢ってくれよ。仮にも恋のキューピット役だぜ? 俺」
ハウは少し困ったような表情をしたまま、僕の後をついてきた。
僕らはこっそりとグランドを抜け出した後、僕の奢りでカラオケに行った。勿論、今回も『恋愛曲縛り』だったのは言うまでも無い。




