藍さんの家にて 〜まるでお正月のおせち料理〜
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藍さんの家に着いてから直ぐに、僕はキッチンへと向かい食材の下ごしらえを始めた。まるでお正月に食べるような所狭しと並べられた食材を、一つ一つテキパキと処理をしていった。
「うわぁーこんなの捌いた事ないよーうわぁーこれもだぁー」
僕は無邪気な子供のような表情で、一喜一憂しながら調理を進めた。
「相変わらず手際が良いな、もう殆ど下ごしらえまで終わっているじゃないか……」
僕が一喜一憂しながら料理を続けていると、藍さんから声を掛けられた。
「えーそうですかー? でも、言われてみると普段使わないような食材ばかりなので、少し張り切ってしまったかも知れないです……」
僕自身、多少どころか一ヵ月振りに藍さんに料理を作る事もあり、普段の数倍テンションが上がっていたようだった。
「まぁ、楽しそうで何よりだ。ただ、はしゃぎ過ぎて怪我だけはするなよ?」
藍さんは口元を緩めながら、僕に向かってそう言った。
「大丈夫ですよー僕がそんな初歩的なミスをっ痛っ」
やはりと言うべきか、お約束と言うべきか、普段なら絶対にありえない事が起きてしまった。
「っ大丈夫か、創君!」
藍さんは僕が手を切ってしまうと、直ぐに駆け寄ってそう言ってきた。
「あははっ……少し指を切ってしまいました。失敗、失敗……」
僕は舌を出しながら、バツの悪そうな表情でそう言った。
「はぁ……傷口が深くないようで良かった……直ぐに処置するから着いて来い」
藍さんは物凄く心配そうな表情をしていたが、直ぐに呆れたような表情に変わった。
「はーい」
僕は有無を言わせない、藍さんのそんな言葉に大人しく従った。あっという間に処置をして貰った後、僕はキッチンに戻り料理の続きを始めた。その間中、藍さんが僕の事を心配そうに見ていた事は言うまでもないだろう。そんな藍さんを横目に料理を続けたが、特にハプニングが起こる事も無く、一時間もしない内に料理は完成した。
「ふぅ、やっと出来た。今日はあまり時間が無かったから、かなり時短してしまったけど大丈夫かなー?」
僕は一息吐いた後、出来上がった料理を見ながらそう言った。」
「いや、こんな短時間でこれだけの量を作っているんだ。十分過ぎると思うが……」
藍さんは僕が皿に盛りつけた料理をテーブルに運びながらそう言ってきた。
「そうですか? まぁ、もっと時間がある時にするべきだったのはありますけど……仕方ないです。食べますかー」
僕は納得のいかない表情をしたまま席に着いた。
「そうしよう……それにしても改めて並べてみると、まるで正月のおせち料理並みの豪華さだな……」
テーブルに並べられた料理を見ながら藍さんはそう言ってきた。
「まぁ、そうですね。柄にもなくはしゃぎ過ぎてしまいました」
僕は少し反省した表情をしながらそう言った。
「良いんじゃないか? まぁ、これが毎日だと少し困るが。うん、やはり美味しい」
藍さんは僕が作った料理を口にしながらそう言ってきた。
「うーん。やっぱり時間が短かったか……これはこうした方が……」
僕は独り言のようにブツブツと呟いた。
「ははっ、創君は本当に相変わらずだな。何も変わらないようで安心したよ……」
藍さんは急に笑い出しながらそう言った。
「えっどうかしたんですか?」
藍さんが急に笑い出した事に僕は驚きを隠せなかった。
「いや。創君は創君って事だよ……」
藍さんはそんなよく分からない事を言ってきた。
そんなやりとりをしながら僕たちは料理を食べ進めた。話が弾み一時間程経った頃には、結構な量があった料理は殆ど無くなっていた。




