カフェにて 〜人生で一番長い夏休み〜
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夏休みに入って半分くらいが過ぎた頃、僕はハウに呼び出しをくらい、普段よく利用しているカフェにやってきていた。
「創。俺が言うのも何か違う気がするけど、大丈夫か?」
そんな僕に対してハウはかなり深刻そうに訊いてきた。
「……何が?」
僕は冷たい視線と言葉をハウに向けた。
「何って、夏休みに入る直前の創の雰囲気が、出逢った頃みたいに戻って話を聞いて、心配になってな……」
ハウは少しも僕の目に怯える事無く、真っすぐ僕の目を見てそう言ってきた。
「普通の人なら、話し掛けることすら無いはずなんだけどな。まぁ、仕方ないか。良くも悪くもハウだし」
僕自身、昔のように人を寄せ付けないオーラを出している事に気が付いてはいたが、自分でどうこう出来るものではないので気にしていなかった。
「正直な話。他人だったら俺でも、流石に話し掛けることは無かったと思うぞ。逆に言えばそれくらいやばいって事なんだけど」
僕がわざと戯けたように言った事に、気を遣ったのかハウも同じように戯けたようにそう言ってきた。
「ははっ、ありがとう。ハウ。何かすごい久しぶりに笑った気がする」
僕は少し苦笑いをしながらお礼を言った。
「その笑顔を常にしていれば、もっと沢山の友人が出来るだろうに……」
ハウは少し残念そうな表情をしていた。
「やだよ。ずっと笑ってるのなんて疲れるし、人といるのなんてもっと疲れるし……」
僕は心底嫌そうな表情をしながらそう言った。
「まぁ、確かに。創が常に笑顔でいたら逆に恐怖だな」
ハウはそんな風に戯けながらそう言った。
「んっ言ったなーまぁ僕もそう思うけど……さて、今日はせっかく誘われたんだからカラオケでも奢ってもらおうかな」
僕はニヤニヤした表情をしながらそう言った。
「はぁーちっ仕方ない。貸し一だからな。今日はとことん付き合ってやるよ」
少し顔をしかめた後、溜息を一つ吐いてからハウはそう言ってきた。
「やりー最近バイト頑張っているようだし、この位余裕だよねハウ?」
僕はもう一度ニヤニヤとした表情でハウにそう言った。
「ちっ何でバレてるかな……誰にも言うなよ。バイト禁止なんだから、うちの学校」
バツの悪そうな表情でハウはそう言ってきた。
「まぁ、どうせ藤林さんへのプレゼントとかの為だろうから、別に無理して奢らなくても良いよ?」
僕は少し遠慮気味にそう言った。
「ったくそんな事、気にすんなって。カラオケ代の一人や二人分ぐらいじゃ、どーって事ねーよ。気―遣うなって」
ハウは呆れたようにそう言ってきた。
「ふぅー。じゃ、お構いなく沢山頼んじゃおーさぁ、行くよハウ!!」
僕は一息吐いた後、無邪気な子供のような笑顔でハウにそう言って、目的地のカラオケボックスへと足を向けた。
「ちょっ、おい。待てって。そんなに沢山は注文するなよな……ったくしょうがない奴だな……」
背中からハウのそんな呆れたような声が聞こえてきた。




